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卒FIT、迫る

少々昔の話になりますが、2月のアタマに、中部電力ミライズから1通の封書が届きました。入っていた手紙の表題は、「買取期間満了のお知らせ及び満了後の買取契約のお手続き方法について」。さらに、「固定価格買取制度にもとづく買取期間満了後のご対応について」というリーフレットも同封されていました。

どちらも漢字ばかりの長いタイトルで、読む気力を削ぐには十分な威力がありますが、そうも言っていられません。今年我が家が解決しなくてはならない最重要課題に関する、正式な通告文であることは理解していたからです。


我が家では、2015年の春に母屋の屋根に太陽光発電のパネルを載せました。発電した電気は、自宅で使えるのはもちろんのこと、余った分は中部電力に売ることで収入を得ることができました。言わば「我が家発電所」の事業を10年間続けてきたわけです。

我が家発電所の料金収支:年度は4月~翌年3月(以下のグラフも同様)

導入当初は、この売電収入で電気代分をほぼペイできるだろう…と見込んでいましたし、実際にほぼ目論見通りに進んでいました。ここ5年間の状況を見ても、変動はあるものの、年間を通して見てみると、売電-買電の収支は黒字で推移しています。

比較のために太陽光発電導入前の2014年度も載せていますが、当時と比べると、請求金額も大きく下がっていることがわかります。発電した電力は全て売るわけではなく、自分で使える分を使ってから余った分を売る…という流れになるので、こんな形になります。

ちなみに、年間売電額にすると20数万円に相当しますが、売電収入は雑収入ということになり、雑所得が20万円を超えれば確定申告が必要…となります。とはいえ、設備の減価償却等を経費計上できるので、このレベルでは雑所得が20万円を超えることはまずありません。


…というのはともかく、こんな計算ができたのも、「固定価格買取制度(FIT : Feed-in Tariff)」があったからこそ。太陽光発電などの再生可能エネルギーから作られた電力を、電力会社が一定期間、一定の価格で買い取る制度です。我が家の場合は「10年間、33 円 / kWh」という契約になっていました。

FITによる定額での買い取りは、今年の5月末で終了します。巷では「FITを卒業する」という意味で「卒FIT」なんて呼ばれますが、その後は発電した電力はどこでも買ってもらえるようになります。「自由競争」と言えば聞こえは良いのですが、実際のところは優遇措置に守られていた状況が終わり、はるかに低価格な売電市場の中に放り込まれることになります。

添付のリーフレットにはそのあたりの案内が書かれていたわけですが、何もせずにそのまま中部電力に売り続けるなら、売電価格は7 円 / kWhに激減してしまいます。中部電力ミライズでは割高に買い取れるオプションをいくつか用意していますし、売却先を他社に変更する方法もありますが、それでも10 円 / kWh以上にするのは非常に困難です。

我が家発電所の電力収支

先ほど、「売電-買電の収支は黒字」と説明しましたが、金額ではなく電力で買電と売電の収支を見てみると、常にプラスになっていたわけではなく、最近5年間の合計では買電の方がわずかにですが超過しています。黒字が続けられたのは、FITによる超高額の買い取りがあったからこそです。

現状のまま継続すれば、収入が3割以下に落ち込むことはほぼ確定ですから、我が家発電所としては大幅赤字に転落するしかありません。…まあ、FIT期間中に払いきることを念頭に10年でローンを組んだので、その分の支払いが無くなり、少々身軽にはなるのですが。


とはいえ、そのまま6月を迎えようとは思っていません。どう対応していくのかは考えています。

先に収支のグラフを過去5年分で示していますが、これは2019年に離れの方にも太陽光発電を増設し、同じ条件では比較ができなくなったからです。実はこのときの目的は太陽光発電そのものではなく、家庭用蓄電池を導入する際に、購入費用の一部を肩代わりさせるために発電量を増やすことを選びました。離れの屋根の日照対策が意外にタイヘンですが、確実に黒字を出せるようになりました。

蓄電池については、長期停電や災害などの際に、緊急電源として必要だと思い導入したわけですが、もちろん普段から昼間の発電分を貯め込んで、他の時間帯に自家消費することも可能です。とはいえ、FITの期間中は昼間の電気は高く売ってしまい、深夜の安く買える電気で充電した方が収支としては有利。本格的に自家消費にシフトするのは卒FIT後…ということになります。

時間帯別電力消費量

発電量が大幅に増えたことで、安定的に金額収支が黒字になった…というのは当たり前ではあるのですが、それに加えて時間帯別の電力購入のバランスが大きく変わりました。太陽光発電導入前の2014年度に加えて、蓄電池導入前の2017年度のグラフも加えて示していますが、既にほとんど昼間の電気は買っていないのがわかります。細かく見ていくと、雨の日にときどき買うことがある程度で、全く買っていない日が大部分です。

見方を変えれば、昼間の電気はほぼ自給できている上に、売電量も相当あるわけで、卒FIT後を見据えてここから収支構造を変えていくためには、昼間に自宅でさらに電気を使える方向を考えなくてはなりません。どうも蓄電池だけでは使い切れなさそうで、さて、どうするか?…なんですが、続きはまた回を改めて。


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