例年3月に、スペインのバルセロナでモバイル関連機器の国際展示会・MWC(Mobile World Congress)が開催されます。今年も「MWC Barcelona 2025」が3月3日~6日の期間で開催されました。もちろん私は現地に見に行けるようなご身分ではありませんが、どんな発表や展示があるかは気になるイベントの一つです。
イベント自体「モバイル」を銘打っているだけに、スマートフォンやウェアラブルデバイスの展示は数多くあります。昔とは違い、グローバルに販売されているスマートフォンが日本でも普通に使える可能性が高くなっているので、そうした意味での興味はありますが、スマホを乗り換えたばかり(しかも型落ちモデルに)の私からすると、そちら方面への熱量は低かったかも知れません。
今回発表されたモノの中でいちばん気になったのが、レノボの新しいノートPC。外側に折り曲げられる巨大な画面を持った「codename Flip」や、天板にソーラーパネルを貼り付けた「Yoga Solar PC」のようなコンセプトモデルも相変わらずぶっ飛んでいて面白かったのですが、それよりも、近々登場予定の新製品の中に「お、これは?」と目を惹くものがありました。

ThinkPad X13 Gen 6は、その名のとおり13.3型の画面を持つモバイルノートPCで、この名前を持つ製品としては第6世代ということになります。ThinkPadの中ではハイエンドという位置づけではありますが、X1 CarbonやX9よりは一段下のランクということになるのではないかと思います。
現行モデルのThinkPad X13 Gen 5は、CPUに100番台のIntel Core Ultraを載せたプラットフォームで、「Copilot+ PCになれないAI PC」ということになります。14型画面を持つX1 Carbonよりも、少々厚みはあるもののひとまわり小さく、持ち歩くことを想定して作られている製品だとは思うのですが、残念なことに、重量も最低で1.12 kgからと、X1 Carbonより重いんです。まあ、そこがX1 Carbonのプレミアムたる所以ではあるのでしょうけれど。
この最大のネックが、Gen 6では大幅に改善されるそうです。リリースによると、今回の最軽量モデルは933 g。200 g近くのダイエットに成功し、X1 Carbon Gen 13よりも軽くなっています。これなら、「X1 Carbonの廉価版」だけでは語れないメリットが出てきます。
そしてもうひとつ、ThinkPad X13 Gen 6について私が注目したポイントが、Intel版の他にAMD版も登場するということ。Intel版には、Core Ultra 200H/200UシリーズのCPUが載せられるのだそうですが、これらはNPUの能力が足りず、相変わらず「Copilot+ PCになれない」ままです。
一方のAMD版にはRyzen AI PRO 300シリーズが搭載されるようで、こちらはCopilot+ PCになれる資格があります。ちなみに、名前に「PRO」が入るRyzenシリーズは企業向けにセキュリティ機能や遠隔管理機能を強化した製品で、Intelで言えば「vPro版」ということになるのでしょうか。
NPUに関しての話だけではなく、Core Ultra 200HシリーズやRyzen AI PRO 300が載るのなら、ピークの演算性能ではCore Ultra 200Vシリーズを載せたThinkPad X1 Carbon Aura Editionを上回れるはずです。何しろコア数・スレッド数が全然違いますからね。メインメモリーも最大64GBを搭載できますし、外出先で本格的にAIを使ったり高度な計算をさせたりするニーズがあれば、「X1 Carbonではなくてこっちがイイ」という話も出てきそうです。
X1 Carbonよりも厚い筐体は、見た目には今ひとつ高級感がない印象を受けますが、それでも天板はカーボン製。ThinkPadを名乗るからには、モノとして相応の品質は確保されているはずです。機能面でも、USB4(Intel版はThunderbolt 4かな)×2系統に加えてUSB Type-AやHDMI出力のコネクターが付いていたり、顔認証と指紋認証の両対応だったりと、X1 Carbonに負けるところは特になさそうです。
プレスリリースによると、画面にはタッチパネル付きを、通信については5GのワイヤレスWANを選択できるとのこと。しかもそれだけてんこ盛りにしても1 kg切りの重量は達成できそうで、これなら私も是非欲しいです。何より、プレミアムなX1 Carbonよりはかなり安価でしょうし。
ただ、不安なのは今回はあくまでも海外でのプレスリリースで、日本には実際にどんな仕様で入ってくるのかわからないこと。さすがに日本で販売されないとは考えにくいのですが、それでも心配になります。「2025年の年明けには始まる」と聞いていたX1 Carbon Gen 13のカスタマイズも、まだ始まりませんし…。まあ、X13 Gen 6は海外での販売開始も6月以降とのことなので、気長に待つのか、それともどこかであきらめて踏ん切りを付けるのか、です。
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