金曜日・25日から、レノボの直販サイトで「GWセール」が始まりました。5月15日までの期間限定でセット商品が提供されたり、ポイント倍率がアップしていたりします。まあ、あそこではいつでも何かしらセールは開かれているので、これが通常運転ではあるんですけどね。
このタイミングで、新しく投入された製品やカスタマイズもあります。ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionには、ついに5G対応のワイヤレスWANが搭載できるようになりました。とはいえ、搭載できるのは今のところ「【GW限定特別セット】」として販売されている1モデルのみ。他のモデルのカスタマイズメニューには、相変わらず表示されません。

このワイヤレスWANを追加すると48,400円の増加。とはいえ、このセットには4割近くの割引率が設定されているので、実際に増えるのは3万円ほどです。ディスプレイは標準で1,920×1,200ピクセルのタッチパネル付き液晶なので問題なし。あとは自分の希望に合わせてSoCやSSD、触覚タッチパッドなどもカスタマイズに加えると、本体価格は35万円を少し超えるくらいになります。Webカメラが標準のフルHDしかないのは少々残念ですが、一時期のようにWeb会議ばかりやっている状況ではなくなりましたし、そこはあまり重要視していません。
これで私の要望がほぼ叶うThinkPadが出来上がる…はずなのですが、いざとなるといろいろ気になること、悩むことが出てきてしまいます。
「このGW限定特別セット」にはバックパック、Bluetoothマウス、GaN採用の小型のACアダプター、そして1年間の「プレミアサポート・プラス」が付属しています。それぞれ通常の販売価格を見れば、お値打ちなセットになっているのはわかるのですが、どれも正直なところ必要なものではないんですよね。
バックパックは、既に自分のニーズに合わせたものを購入しています。マウスは、ThinkPadロゴとトラックポイントをイメージした赤いホイールのデザインで、これはこれで悪くないんですが、どうせならMX Master 3をケースに入れて持ち歩いてしまえば良いのでは?と思うところです。ACアダプターも、クラウドファンディングでもっと小型のものを入手しています。まあ、このACアダプターは、普通に同時購入しても110円にしてもらえるらしいので、もらっておけば良いかな?とも思うわけですが。
そしてプレミアサポート・プラスは24時間365日対応のコールセンター、翌営業日のオンサイト修理、液体こぼしや盗難・紛失まで保証…と至れり尽くせりなのですが、さすがに私のような個人のヲタクユーザーにはあまりにも過剰なサービス。むしろ通常のセンドバック修理でいいから、分割払いの間くらいは保証期間を延ばしたいところです。パーツを送っていただければ、喜んで自分で分解して交換しますし。
そんなわけで、どれも別に要らないから、もうちょっと安くして欲しいなぁ…と感じてしまったわけです。このあたりは、チャットサポートの担当さんへの個別見積依頼などで、もしかしたら何かしら融通が利くのかもしれないのですが。
しかし、もっと深刻なところで迷いが生じてしまっているんですよね。原因は、このタイミングで同時に投入された「新製品」の「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 IAL」にあります。
このGen 13 IALは、3月に投入が予告されていたCore Ultra 200H/200Uシリーズ(Arrow Lake)搭載のX1 Carbon。名前のとおり筐体自体はGen 13 Aura Editionと同じものを使っているわけですが、Core Ultra 200Vシリーズ(Lunar Lake)を搭載しているAura Editionとは違い、NPUの能力不足で「Copilot+ PC」を名乗ることができません。Windows 11で使える機能に差が出てしまう…ということで、3月当時は検討対象には入れていませんでした。
しかし、Intel・AMDのx64プラットフォームでのCopilot+ PC向け機能の展開は遅々として進まず、ようやく3月末から製品版で使えるようになり始めたところ。どうもMicrosoft社にやる気が感じられません。本気で、今後はARM陣営と手を携えてともに歩む腹づもりを決めたんだろうか…。
一方で、Intel社のNPUに個別に対応するアプリの数は、Core Ultra 100シリーズ(Meteor Lake)のデビュー以降少しずつ増えてきています。例えば、ウイルスバスターの詐欺メール対策もIntelのNPUを認識して処理に使うのだとか。このパターンの場合、Copilot+ PCの要件にされている40 TOPS以上の演算能力は求められません。「Copilot+ PCになれないCore Ultra」でも大丈夫です。
Core Ultra 200H/200Uシリーズは、搭載CPUコア数がCore Ultra 200Vシリーズ(P-core×4+LP E-core×4の8コア)よりもかなり多い(最大でP-core×6+E-core×8+LP E-core×2の16コア)こともあり、NPUを使わない基本的な処理能力では優位です。なかなか出てこないCopilot+ PCの機能にばかりこだわるよりも、こちらの方が実質的な満足度は高いかも知れません。
そしてもう一つ気になっているのが、Core Ultra 200HシリーズのGPUに、100U/100H/200Uシリーズには載っていない(200Vシリーズには載っている)「XMX」と呼ばれるユニットが搭載されていること。これは行列演算を高速に行う機能に特化したものだそうです。役割としてはともかく、機能としてはNPUと非常に似ているものということになります。
能力的に40 TOPSを超えているのかはわかりませんが、ソフトウェア側で何とかすれば、高性能のNPUとして(つまりCopilot+ PCとして)振る舞える可能性があります。実際に、NVIDIA社は既に自社のGPUをCopilot+ PCのローカル処理に使えるようなソフトウェア開発を進めていることを公言しています。もうずいぶん前の話で、その後続報が聞こえてこないのは心配ではありますが…。
Intel社からは今のところそんな話は聞こえてきませんが、内蔵GPUに載せきれず、Core Ultra 100シリーズでは一度は外していたXMXを改めて載せてきたのは、同様の企みを持ってのことかも知れません…というか、そうだといいなぁ。Core Ultra 200HシリーズのGPUを「AI処理性能は最大77 TOPS」と紹介したくらいですから、意識はしているはずです。
とはいえ、Microsoft社が「ARMにぞっこんLOVE」状態に見える今、Core Ultra 200HのCopilot+ PCへの対応を期待するのは相当な博打になりそうな気がします。Intel社の次世代のSoCでは、現在のAI対応のチグハグさは解決していくのでしょうけれど、それを待っていては来年になってしまうでしょうし、他社のプラットフォームにもそれぞれ不安や不満はありますし…どういう買い物をしようか定まらず、かなりモヤモヤとしているところです。また、延びるかな(汗)。
ちなみに、X1 Carbon Gen 13 IALは既にフルカスタマイズが可能で、Core Ultra 7 255Hを搭載して、先ほどのAura Editionとほぼ同様に5GのワイヤレスWANなどを載せた構成にすると、33万円台後半で買うことができます。4K解像度・MIPI接続のWebカメラに変更すると34万円強、さらに本体重量が軽くなるタッチパネル付きOLEDに変更しても36万円台に収まりそうです。絶妙に悩む価格差ですね。
実はもうひとつ悩んでいるのが、そもそもワイヤレスWANって要るのかしら?というところ。「それを待ってたんじゃないの?」というツッコミが多々ありそうですが、これにはこれで、その後の状況の変化があります。

2月に新調したスマートフォン・Pixel 8は、Wi-Fi 6Eを内蔵しています。電波環境としては他のユーザーが少なく比較的クリーンな6 GHz帯を使って、最大約1.2 Gbpsの高速での通信が可能です。これなら、PCの通信はPixel 8の5G回線をテザリングで拝借してもイイんじゃないの?という考え方もあります。どうせ一緒に持ち歩くんだし。
ただ、テザリングだとPixel 8のバッテリーも同時に消耗してしまう問題があります。今や生活基盤と言っても過言ではないスマートフォンのバッテリー消費は、なるべく抑えたいところです。また、災害時などに「スマホはないけどPCはある」という状態にでもなれば、ワイヤレスWAN内蔵が効いてくるでしょう。一方で、PCを5G対応にするための3万円の追加出費は結構キツいのも確か。どうするのかは、落ち着いて考えたいところです。
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