トラックボールへの愛
私がCF-S21を購入する上で最後の決め手のひとつになったもの、それがトラックボールでした。「それ、何?」と言う方のために一応説明すると、トラックボールはその名の通り玉です。このボールを転がすことにより、転がした方向にマウスカーソルが動く…というポインティングデバイスです。ちょうどマウスを上下ひっくり返した状態を考えてもらうとわかりやすいでしょうか。
トラックボールの特徴は、何と言ってもその高い操作性です。指先にカーソルが張り付いているような感覚は、ほかのポインティングデバイスでは味わえないものだと思います。最近の小型ノートでは、タッチパッドを採用するものが多いんですが、これには次のような理由があると思います。
1. 薄型化の流れの中でどうしてもボールの直径分の厚みが必要なトラックボールを嫌ったこと
2. タッチパッドには可動部がなくメンテナンスが容易なこと
私の聞く限りでは、タッチパッドを装備したノートパソコンを使っている人の多くが、その操作性に不満を持っているようです。実は、タッチパッドも使い慣れると結構細かい操作が出来るようになるんですが、それでも結構よく聞く声が「指がつる」というもの。パッドに指を擦りつけて操作するため、どうしても力が入ってしまうようです。これに比べて、「転がる」トラックボールでは、実に軽快にポインタを操作できます。
日本最大のインターネットプロバイダ、@niftyにPanasonic製パソコンユーザーのフォーラムであるFPANAPCが開設されていて、ここでもトラックボールへの評価は非常に高いんですが、CF-S21の後継機CF-S22以来、Panasonicではトラックボールを搭載した個人向けノートパソコンを発売していませんでした。CF-S22の搭載CPUはMMX Pentium 266MHz。他の部分も今となっては時代遅れの仕様です。その後企業向けトラックボールモデルのCF-S23が個人向けにも発売されていますが、これも他社最新機種と比べれば見劣りします。
この状況の中、FPANAPCのメンバーたちが立ち上がりました。トラックボール搭載の個人向けノートパソコンを発売して欲しいという願いを込めて、Web上で署名運動を始めたんです。それが「トラックボールのレッツノートがほしい運動」。FPANAPCのホームページには、トラックボールを、Let’s noteを愛する多くの熱い書き込みが残されています。@nifty会員でなくても見られますので是非足を運んでみてください。
この運動は、雑誌や新聞の記事でも多く取り上げられたのでご存じの方もあるかと思います。もちろん私もこの掲示板に書き込みを行いました。FPANAPCからも、支援ページとしてリンクしていただきました。
ついに復活
2000年5月23日、松下電器から新型のノートパソコンが発表されました。そのラインナップの中にあったのが、トラックボール搭載機・CF-B5シリーズです。それは、ユーザーからメーカーに伝わった熱い想いが、ひとつに繋がった瞬間でした。そのスペックはこんな感じでした。
Let’s note B5シリーズ (CF-B5R/B5V) | |
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登場時期 | 2000年6月 |
CPU | PentiumIII(600MHz)/Celeron(500MHz) |
HDD | 20GB/10GB |
RAM | 64MB(最大192MB) |
画面 | 10.4インチ低温ポリシリコンTFT液晶 1024*768 |
バッテリー駆動 | 3.5時間/3時間 |
外形 | 255 * 204 * 33.4mm, 1.53kg |
SpeedStepテクノロジを採用したPentium3やXGA画面など最先端のスペックにトラックボールをプラス、さらにモデムもLANも携帯電話やPHSのインターフェースも、シリアルやパラレルのポートまでも全て装備してしまったとんでもない機種です。ほんの少しだけ大きく、重くなりましたが、このくらいなら許容範囲でしょう。スペック表やいろいろな写真を見る限り、ユーザーのことをよく考えて作っていただいた素晴らしい機械である…と言う印象を受けました。細かい不満もありますけど、全てが満足できるというのは難しいですからね。
CF-S21にもWindows 2000をインストールしたり、いろいろな作業に使っているうちにパワー不足を感じるようになりました。是非とも新しいパソコンに買い換えたいところでしたが、CF-B5シリーズを予約することはしませんでした。CF-B5シリーズの仕様書の中身自体にも気になるところはありましたが、やはり現物を触らずに購入する事は考えられなかったんです。CF-S21を買うときも、ライバル機と触り比べて、持ち上げてみたりして納得して購入したわけですからね。CF-S21をもうちょっとの間だけだましだまし使っていくことも考えられましたし。
どういう行動をとるのか迷っているうちに、発売当日はやってきました。
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