「I LOVE YOU」ウイルスが世界を駆けめぐっています。何でも史上最大の被害を与えているとか。日本では、幸い連休中だったのでそれほど大きな被害にはなっていないようですね。聞くところによると、このウイルスはJPEG画像ファイルやMP3音声ファイルを狙い撃ちしてファイルを破壊するようです。これらのファイルは、インターネットから合法、違法にかかわらず収集している人が多いと思います。「せっかく集めた無修正画像が~っ!」とか「せっかく拾ってきたCDの内容が…」とか嘆き悲しんでいる人たちが続出しているであろうことは想像に難くありません。もちろん、MP3やJPEGを扱う人が全てそう言う人ばかりではありませんから(実際、私もこれらのファイルなくしてはホームページでの活動ができません)、非常に困ったウイルスであることは確かです。
この「I LOVE YOU」、電子メールの添付ファイルとして配られるそうで、そのメールのタイトルが「ILOVEYOU」なのが名前の由来だとか。ウイルス対策会社では「LoveLetter」と呼ばれているそうですね。添付ファイルを開かなければ感染はしないはずなんですが、どうしてこれだけ被害が広がってしまうんでしょうか。
最近のコンピュータウイルスの特徴の一つとして、高度な技術でシステム内部に潜むことよりも、むしろ人間の心理を衝いた部分を狙っていることが挙げられると思います。この手のウイルスは、その増殖方法のために(後述)良く知っている人のアドレスから届くことが結構多いんですが、普通こういうタイトルのメールをもらったらついつい嬉しくなるか笑っちゃうかですよね。で、「どうせ冗談だろう」とか思いつつも、ついつい添付されているファイルを開いてしまうんでしょう。この添付ファイルの名前がいかにも文書ファイルに見えてしまうあたりが、これまた人間の心理を上手く衝いているところなんですが。
他にも、「2000年問題の対策プログラムです」とか「新手の強力ウイルス発生!これはワクチンです」とか騙ったウイルス付きメールがあるようです。この種のウイルスの場合、結局発症させてしまうのは人間の手…と言うことになるんですね。人間の行動は、どんなに優れたシステムの危機管理も飛び越えます。
ところで、「I LOVE YOU」ウイルスはMicrosoft社のメールソフトOutlookを使って増殖していくそうですね。登録されているアドレス帳の宛先全てにメールを送りつけます。前に流行してテレビや新聞で採りあげられた「Melissa」も同じようなウイルスでしたが、これはMicrosoft Wordのマクロを使ったものでした。Microsoft社の製品を狙い撃ちしたウイルスが、世界中を混乱に陥れる…ということは、言い換えればMicrosoft社製品はそれだけ世界中で普及しているということになりますね。
Microsoft社の独占状態と言ってもよい情報社会に、批判的な意見が多く見られます。自由競争を阻害していることは確かなんですが、世界中どこでもWordの文書ファイルが読める…というプラットフォームの共通化は利点といえると思います。しかし、Wordの文書ファイルをそのまま電子メールで送れる手軽さが「Melissa」を生み出したわけですし、「I LOVE YOU」の増殖はOutlookをコンポーネントとして含むMicrosoft Officeの普及に助けられているわけです。そう考えると、実はMicrosoft社こそ最大のウイルス供給会社なのかも。
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