最近若者の起こす凶悪事件が目立ちます。昨日起こったバス乗っ取り事件、その前に起こった「人を殺す経験をしてみたかった」殺人事件、いずれも犯人は10代の「少年」でした。他にも若者の起こした事件は例を挙げればキリがありません。実は、昨日テレビでバス乗っ取りの第一報があった瞬間頭をよぎったのが「また犯人は捕まっても名前が報道されないんじゃないか?」という直感だったんですが、これは見事に当たってしまいました。
今朝も、警官隊が突入して無事(でもなかったんですが)解決に至ったバス乗っ取り事件の報道が続いていました。突入の瞬間のビデオが何度も繰り返されています。バスの両側から捜査員たちがほぼ同時に窓ガラスを突き破って突入。煙も上がっています。そのうち、窓や非常口から人質になっていた人たちが次々に飛び降りてきます。凶器の包丁が取り上げられて、人質になっていた小学生の女の子が救出される場面も写っていました。さすがNHKの映像は民放より綺麗だな…とか妙なことに感心してしまったんですが。
犯人の少年が連れ出される場面が映し出されています。青いビニールシートに覆われて、少年の姿は全く見ることが出来ません。その後で、病院に到着した被害者の皆さんの映像もありました。そこにはビニールシートはありません。仕方がないので被害者の皆さんは自分で顔を覆っています。
いつも気になっているんですが、どうして加害者と被害者でこんなに扱いが違うんでしょうね。今回のバス乗っ取りでも、刃物を突きつけられた女の子はどんな名前で、どこの小学校に通ってるのかまでテレビで大々的に報道されているのに、刃物を突きつけていた方はいつまで経っても「少年」のまま。夕方には、女の子の自宅の前から中継をしているテレビ局もありました。
今回の場合、未成年であること、精神科で治療を受けていたことがどちらも匿名報道の理由に該当したわけですが、いかなる理由があったにしろ、犯した罪が変わるわけではないと思うんですよね。「更正する可能性がある」と言うこともよく言われますが、もし完全に立ち直ったとしてもそれで彼がかつて行った事実が消えるわけではありません。冷たいことを言うようですが、自分の過去を隠して立ち直ったつもりになるだけではダメだと思います。どちらにしても、近所の人たちなどにはわかってしまうわけですし、最近はインターネットなどで名前が漏れてしまうことも多いそうで、隠し通すことそのものが難しいんですけどね。それではどうすればいいのか?…それに対する答えには窮してしまうんですが。
一方、被害者の皆さん(あるいは遺族の方々)は事件の事なんて早く忘れたいと思っているはずです。そんなところにいつまでもマスコミが追いかけ回すのは、被害者の皆さんを苦しめているようにしか見えません。前にも似たような意見を書いたことがありますが、やっぱり日本のマスコミって変ですよ。真実を伝えようとしているのかも知れませんが、やっぱりその根底には「人の不幸は蜜の味」という風潮が流れているようで嫌気が差します。
実は、「未成年」などの理由がなければ、犯人のプライバシーだって丸裸にされてしまうんですけどね。こうして犯人の年齢等の条件により氏名が伏せられること、被害者のプロフィールは全て事細かに暴露されること。どちらの方がいいのかはともかく、これだけの扱いの差がある…ということだけでも実におかしな話だと思います。
いろいろな理由はありますが、とにかくこういう報道を見るのも本当に嫌な気分です。これでは「若者を見たらキレると思え」とでも思って用心しなくてはいけません。まあ、用心しただけではどうしようもないのがこうした事件なんですが。突然背後から刺されてももう手遅れですし。本当に物騒な世の中になりました。
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