「スポーツゲーム」と言えば、普通は家庭用や業務用のゲーム機、パソコンなどを使って、野球やサッカーなどのスポーツの世界を題材にして遊ぶゲームのことを言いますね。実際に選手たちになりきって手足の代わりにコントローラーのボタンを押すものが一般的ですが、選手たちにコマンドで指示を出すタイプの頭脳派のゲームもあります。いずれにしても、実際にスポーツをしたり見たりするのと比べると、スポーツゲームをする姿はお世辞にも健康的とは言えません。
しかし、今回私が言う「スポーツ・ゲーム」はちょっと意味が違います。それは、遊ぶことで運動(スポーツ)になるゲームのこと。…と、こう書けば賢明な皆さんはお察しかと思いますが、今回のテーマは任天堂の家庭用ゲーム機・Wii(うぃー)。クリスマスプレゼントに…と購入された方も多いのではないかと思います。昨年12月に発売されたWiiは、同時期に発売されたソニー・プレイステーション3の販売が伸び悩むのを横目に、しばらくの間入手がきわめて困難になるほどの、爆発的な大ヒットを飛ばしました。
コンピュータの計算能力としては、プレステ3やその1年近く前にデビューしたマイクロソフト・Xbox360よりかなり劣るWiiが、結果的に今年は一人勝ちとなりました。おそらく、最大の要因は新しいコントローラーでしょう。「Wiiリモコン」と呼ばれるシンプルな棒状のコントローラーは、ボタンを押すだけでなく、画面を指し示したり、振り回したりして操作を行います。その素晴らしく直感的なプレイスタイルが、これまでゲームを敬遠してきた人たちにも受け入れられたのが、この結果につながった…と言われています。
コントローラーを変えることで新しい顧客層を開拓する…という発想は、実はニンテンドーDSの時から取り組まれていたことなんですよね。タッチスクリーンを導入し、一大ブームとなった「脳トレ」や実用ソフトなど、携帯ゲーム機の新しい使い方を次々に提示したDSは、結果的に同時期に登場したPSPを遙かにしのぐ大ヒット商品になりました。そういえば、DSも計算能力ではPSPに遠く及びません。「ゲーム機は計算能力だけで競争するものではない」という確固たる自信が、Wiiにつながったのでしょう。
我が家でも、プレステ3は要らないけどWiiは是非欲しい!ということで意見が一致しましたが、先にも触れたとおりものすごい売れ行きで、12月の発売当時はもちろん、今年の3月になっても、4月になっても店頭にはほとんど並びませんでした。ネット上では、オークションにかけられたWiiの入札価格が暴騰していました。さすがに定価以上を出して買うのはバカバカしいと思っていましたから、普通に買える機会をうかがっていました。
そのときが訪れたのは5月4日。市内のショッピングセンターの「抽選で30台限り」という広告を見て、行列に並んだんです。ゴールデンウィークのまっただ中で、普通なら超激戦となる可能性もあるわけですが、私の地元・浜松の場合はちょっと事情が違います。5月3日~5日は浜松まつりで、多くの地元民はあちらに流れるはずですから、競争率は低くなるのでは?という読みがありました。
結果は読み通り。来ていた人は50人くらいでしたが、それぞれが家族連れで、結果的に30台はほとんどの家に行き渡ったようです。それどころか、紫緒と私は二人してWiiの購入権をGetしてしまいました。2台を買って帰り、1台はささっち家に定価で転売。その後、あちらでも夫婦して楽しんでくれているようです。
Wiiと同時に発売されて、今でもWiiを代表するゲームソフトと呼べるのが「Wii Sports」。5種類のスポーツを題材に、まさにそのスポーツを楽しむスタイルで遊ぶことができるゲームです。Wiiリモコンがテニスラケットになり、ボールやバットになり…というわけですね。もちろん、我が家でもWiiと一緒に購入しました。そして、今でも最もよく遊ぶゲームになっています。というよりも、まだ「他のゲームを買おう!」という気にならないんですよね。全然飽きません。
どうしてそこまで楽しめるのか考えてみると、やっぱり自分の操作に対する反応がリアル…ということに尽きると思います。といっても操作自体は実に単純。例えば、テニスではプレイヤーはタイミングに合わせてラケットの代わりにWiiリモコンを振るだけで、コートの中を走り回る必要はありません。しかし、微妙にタイミングがずれたときのボールの反応が実に「らしい」んです。野球でも、「振り遅れた」「詰まらされた」などの感覚のままに打球が飛んでいきます。これまでのゲームだと、タイミングがずれたときのパターンがある程度読めてしまうこともありましたが、それが全くありません。
これまでのコントローラーでは、画面書き換えのタイミングである秒間60回程度の間隔で操作を読み取っているのが普通だったそうですが、Wiiリモコンではそれよりもずっと細かい時間分解能でデータを拾っているのだとか。この細かさが、リアルな反応につながっているようです。また、リモコンから音声や振動が返ってくるのも、リアル感の演出に一役買っています。
反応のリアルさが、プレイスタイルのリアルさに跳ね返ってきます。実際には、Wiiリモコンは片手で軽く振るだけでちゃんと操作できるんですが、ついつい気合いを入れて全力でスマッシュを打ってみたり、両手でバットを持って強振してみたり…。こんな調子ですから、30分も遊ぶと意外に気持ちいい汗をかくことができます。まさに「スポーツ・ゲーム」です。
ボーリングも、楽しめるゲームの一つです。Wiiリモコンを利き手に持ってシャドウスローをする訳なんですが、これがまた結構ハマります。もちろん、反応のリアルさも徹底していて、手首の微妙なひねりでカーブが掛かるのはもちろん、ボールのリリースが早すぎるとレーンの上でボールがはねてしまったり、さらに早いとボールが後ろに飛んでしまったり(笑)します。
ボーリングのリアルさについては、任天堂のWebサイト内コンテンツ「社長が訊く」に、発売前のテストプレイでパーフェクトの300点を出した人が一人もいない…という話が出てきますが、もう一つ面白い話を紹介しておきましょう。私のWii Sportsのボーリングでの現在の自己ベストは、現実世界のボーリングと全く同じ203点なんです。現実世界と同じようにコントロールできる一方で、現実世界と同じように悪い癖も出てしまいます。だからこそついつい白熱してしまいます。
ちなみに、紫緒の場合は現実世界よりもWii Sportsの方が自己ベストの点数が高いです。リアルさについては同意してくれましたが、「Wiiなら重いボールを投げなくていいから体力切れにならないのよね」とのこと。思わず納得です。
「スポーツ・ゲーム」と言えば、今月発売になったWii Fitはまさにこの言葉にぴったりなソフトかも知れません。体重と重心移動を検知できるコントローラーである「バランスWiiボード」の上に乗り、全身を動かします。ゲームもいろいろ収録されてはいるものの、遊ぶと言うよりはむしろ健康作りのための実用ソフトですね。このあたりは、ニンテンドーDSで見せたゲーム以外への展開と似ています。
ささっち家では既にWii Fit生活を始めているようです。我が家でも是非!とは思ったんですが、何しろ娘に掛かりっきりで、ゲームをしている暇がありません。もうちょっと家の中が落ち着いて、Wii Fit人気の方も落ち着いて店頭でも簡単に手に入るようになった頃に買おうかと考えています。そんな忙しい人が、どうして毎日のようにWebサイトの記事を更新できるのかって?…ご指摘、ごもっともです(汗)。まあ、これも好きでやってますからね。
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