先週から私のスタジオに来ている、話題の新人歌手・初音ミク。まずは、サブのスタジオで声出しをしてもらうことにしました。メトロノームに合わせて録ってみた声をメインのスタジオに持ち込んで、オケと合わせてみることにしましょう。
レッツノートにインストールしたVOCALOID2 Editorで、初音ミクを歌わせてみることにしました。10年前のPLG100-SGでは、ヤマハ製の音楽制作ソフト・XG Worksのプラグインモジュールとして提供されていたSG Lyric Editorというソフトを使って、歌詞を入力していきました。これと比べると、スタンドアロンで提供されているVOCALOID2 Editorはずいぶん自由度が高いと言えます。WAV形式のファイルを出力して、他のソフトにインポートして使うこともできますし、他のソフトと連携させる方法も複数用意されています。このあたりについては、また回を改めてご紹介しようと思っています。
イベントリスト形式で、左のカラムに並んだ音名と音の長さの一覧に対応して右のカラムに歌詞を入力していくスタイルだったSG Lyric Editorと比べると、ピアノロール画面で、音の高さと長さが表示されているところに歌詞を埋め込んでいくVOCALOID2 Editorは、より直感的に理解できます。下段に各種コントロールの変化がグラフ表示されているのもわかりやすいですね。
もっとも、変わったのは見た目だけで、内部でのパラメータの扱いはあまり変わっていないようです。歌詞がいくつかの発音記号に分解されること、発音記号や独自のコントロールパラメータがNRPN(ベンダーが独自に定義できるMIDIコントロール)を駆使して記述されることは、基本的に同じです。MIDIデータ自体に互換性があるかどうかはまだ確認していませんが、変更された発音記号やパラメータもあるようですし、おそらくそのままでは使えないでしょう。
歌詞を入力するときのポイントも、基本的にPLG100-SGの頃と変わりません。漢字をひらがなに変換しておかなくてはならないのは仕方ないとして、意外に見落としがちなのは、普段のひらがなの表記と実際の発音が異なること。助詞の「は」は実際には「わ」、「へ」も「え」と発音しますよね。「を」も、実際には「お」と発音されていることが多いです。助詞以外にも、例えば「平和」は「へいわ」ではなく、普通は皆さんも「へえわ」と発音しているはずです。
歌詞を入力した後の編集は、ずいぶん変わりました。PLG100-SGでは、それぞれの音に発音記号レベルでの細かい編集やパラメータ変更を行わなくては、まともに音が聞こえてきませんでした。しかし、初音ミクの場合は、ひらがなを打ち込んだ段階でかなり歌詞がわかります。10年間の技術の進歩ですね。
あの頃は発音を直すのが精一杯でしたが、これだけまともに歌ってくれるのなら、表現力を上げるためにいろいろといじってみる気になります。普通のMIDIデータであるピッチベンド(音程)やベロシティ(強さ)、エクスプレッション(音量)の他にも、ブレス、ブライトネス、クリアネスなどVOCALOID2独自のパラメータがあります。何となく意味はわかりますが、試行錯誤しながら動作を確かめていった方が良さそうです。
レッツノートで作ってみた歌をWAVファイルとして書き出し、自作タワーのSONAR 7にインポートして、伴奏とミックスして試しに一曲作ってみました。Music Worldで聴いていただけるようになっています。今までには全然なかったパターンの曲ですが、試しに聴いてみてくださいね。彼女の声は、童謡との相性もなかなか良いようです。
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