Moreスポーツ・ゲーム

12月に、「スポーツ・ゲーム」と題して任天堂・Wiiのお話をしましたが、このときに、Wiiをさらに「スポーツ・ゲーム」らしくするはずの最強のアイテム・Wii Fitもご紹介しました。

Wii FitはWii専用ソフトの一つであるわけですが、その最大の特徴は同梱されている専用コントローラにあります。「バランスWiiボード」と呼ばれるこのコントローラは、テレビCMでは「板です」と紹介されていましたが、もちろんただの板ではありません。四隅の足にひずみセンサーが取り付けられていて、この上に乗った人の体重を計測するだけではなく、重心位置も検知します。前後に、左右に、あるいは中央で一定に保ち…と、バランスを取りながら操作するわけです。

もともとは、任天堂の専務・(「マリオの父」としても有名な)宮本茂氏が、「体重を量るゲームを作ろう」という着想から開発を始めたものだそうですね。一見ゲームとは全く無関係な健康管理をテーマにしてしまう発想は、ニンテンドーDSの「脳トレ」などに近いものだと思いますが、これだけエンターテイメント性の高いものに仕立ててしまうのは、さすがこの会社ならではです。

昨年12月の発売と同時にWii Fit生活に突入したささっち家を横目に見ながら、仲間入りする時期を計っていたわけですが、1年前のWii本体と同じようにしばらくは品薄の状況が続き、ネット店舗では定価を上回る価格で売られている有様で、なかなか入手できませんでした。それでも、最近はずいぶん状況が落ち着いてきて、ようやくまともな値段で買えるようになりました。


バランスWiiボード

我が家に届いたWii Fitの梱包を解いて、バランスWiiボードを居間に置いてみると、意外に大きいことにびっくりします。先日購入した体組成計と比べると、厚みと奥行きはほとんど同じなんですが、横幅が2倍近くあります。体重計の場合は、両足が自然に乗りさえすれば十分なわけですが、バランスWiiボードの場合は乗ったままで身体を大きく動かす場面がありますから、このくらいの大きさが必要になります。

電源は単3乾電池4個。Wiiリモコンと同じように、Bluetoothの無線でWii本体と接続しているのだそうです。Wii本体側から見ると、4Pのコントローラとして認識されているようです。電池交換が必要なのは面倒ですが、床に置くだけで使える手軽さは良いですね。大きさも含め、どうしてこのような設計になったかは、任天堂のWebサイトで紹介されています。


Wii Fitにはいろいろなメニューが用意されていますが、一番根底にあるのが「からだ測定」。要するに体重を量るわけですが、このときに左右の重心バランスも一緒に測定しています。体重を直接表示するのではなく、あらかじめ入力した身長と合わせてBMIで表示しているところは、「直接体重を見られたくない」という方々への配慮なんですね。また、バランス感覚を測るミニゲームを元にして、「バランス年齢」も表示します。

BMIやバランス年齢、毎日の運動時間の変化を時系列でグラフ表示してくれます。自ら設定した体重の目標に対して、どのように近づいているかが一目でわかります。普通の体重計では、これだけビジュアルな見せ方はとてもできません。ゲーム機ベースならではの強みですね。

このからだ測定は、基本的に毎日するもの…という扱いになっています。測定していない日があると、「昨日はどうしたんですか?」などと言われ、さりげなくプレッシャーをかけてくれます。また、それまでは夜に量っていたのを午前中に量ってみると、「毎日同じ時間帯に量った方が良いですよ」とアドバイスをくれたりもします。ゲームとして楽しんでいる間に、健康管理に関する知識も付いてきそうです。

からだ測定に関する部分だけを、「Wii Fitチャンネル」としてWii本体にインストールすることができます。ディスクを入れ替えなくても、体重だけは毎日量ってほしい!ということで、ここにも強烈なまでのポリシーを感じます。チャンネル画面のテロップには「今日、測定しました」「3日前に測定しました」などと流れ、ここでもじわりとプレッシャーをかけてくれます。


「からだ測定」と並んで、「トレーニング」メニューにいろいろなものが用意されているわけですが、目下のところ我が家で一番人気があるのはヨガですね。バランスWiiボードで重心移動を判断できるようにアレンジされているのだそうです。片足立ちでふらついたり、両足を付いたりしてしまうと、その都度画面中のインストラクターに指摘されてしまいます。

普段は普通にまっすぐ立っているつもりでも、画面上に重心位置を表示されると、意外にふらついているのが実感できます。その画面を凝視してしまうと、そのせいで余計にふらついてしまうのが難しいところです。ヨガでは、深い腹式呼吸で心身を落ち着けなくてはなりません。画面上の重心位置は気にしてはいけないのでしょう。

他にも、もっとゲーム性の高いものがいろいろ用意されていますが、何しろ重心移動でゲームをコントロールするのは全くの初体験ですから、なかなかうまくいきません。もっとも、Wiiリモコンだって従来とは全く違う操作性だったんですから、バランスWiiボードもしばらく遊んでいれば慣れてくるのではないかな?と楽観視しています。


軽く振るだけでも操作できるWiiリモコンとは違い、バランスWiiボードで上手く操作できるようになるためには、身体のバランス感覚を鍛えるしかありません。これぞまさに「スポーツ・ゲーム」です。

Wii Fit以前にも、ゲームでの消費カロリーを表示する「Dance Dance Revolution」など、ゲームと健康管理を結びつける発想はありましたが、Wii Fitでは、「健康な身体を作ることは楽しい」というメッセージを、もっと直接的に伝えようとしています。それが、かつては不健康な遊戯の象徴とされた家庭用ゲーム機の世界から発信されていることが、Wii Fitの一番面白いところかも知れません。

この春には、Wii Fitはアメリカでも発売される予定なのだそうです。健康管理への意識は日本以上ではないか?と思われるアメリカでも、大ヒットしそうな予感がします。ただ、バランスWiiボードの「体重136kg以下」という仕様が、アメリカで耐えられるのかちょっと心配ですね。


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