8月8日から今日まで、中国の北京でオリンピック大会が開催されています。この2週間、様々な種目の競技が行われ、私たちは結果に一喜一憂しながらの日々を過ごしました。日本と北京の時差はたったの1時間。おかげで、とんでもなく夜更かしをしたり早朝に起き出して生中継を見たりする必要はありません。その代わり、仕事に行っている平日の昼間には見られないんですけどね。
前回のアテネ大会では、日本の選手たちは史上最多タイの金メダル16個、史上最多を更新する37個のメダルを獲得しました。今回は、金メダルが9個、メダル総数は25個となりました。前回がデキすぎで、今回の方がむしろ普通なのかな?と思います。期待に応えられなかった種目もありましたが、一方でソフトボールの金メダル、陸上男子4×100mリレーの銅メダルのように、歴史に残る快挙もありました。結果は紙一重の部分もあります。みんな全力でがんばったはずです。
特に、前回金メダルを獲得した種目や選手には、「連続金メダル」を期待してしまいますよね。2大会連続2種目での金メダルを狙った、男子競泳・平泳ぎの北島康介選手(結果は見事に金2つでしたね)も気になっていましたが、今回最も気になっていた金メダリストが、柔道女子48kg級の谷亮子選手。単純に金メダルの個数で考えても、今回獲得できれば3大会連続という偉業になるはずだったんですが、それ以上に気になる理由がありました。
それは、彼女が子育てをしながらこの大舞台に臨んでいたこと。2003年に結婚した彼女は、翌年のアテネ大会で「谷でも金」を合い言葉に臨み、2000年のシドニー大会に続いて2大会連続の金メダルを獲得しました。その後、2005年に出産しましたが、昨年に現役に復帰し、その年の世界選手権で優勝。この北京大会でも代表に選ばれました。
我が家でも現在子育て中ですが、妻の紫緒を見ていると本当に大変だと思います。彼女のブログを見ても、最近はなかなか更新できないようですね。書きたいネタはたくさんあるのに、書くための時間の余裕がなかなか作れないようです。ようやく娘が寝てくれた夜でも、今度は自分の方が疲れてしまい寝てしまいます。私も出来る限り手伝おうとは思っているんですが、どうしても母親でなくてはダメな場面はあるものです。
そんな状況を見ていますから、谷選手が現役復帰してオリンピックを目指す…というだけでも、並々ならぬことだというのはわかります。もちろん、紫緒よりはずっと強靱な体力を持っている人でしょうし、周囲の人々も全面的にバックアップしているのでしょうけど、それでも、これだけ大変な日々に、さらに世界一を目指すトレーニングが加わるなんて想像も出来ません。
オリンピックでは、準決勝でなかなか相手と組めない展開になり、警告数の差で敗れてしまい、3大会連続の金メダルは成りませんでした。しかし、その後の3位決定戦では、鮮やかに技を決めて勝利。彼女の5個目のメダルは銅メダルになりました。準決勝の結果は審判の判定次第とも言え、腑に落ちないところもありましたが、それが結果ですから仕方ありません。
残念な気持ちもありますが、「ママでも金」と言い続けて、実際に実現寸前のところまで行ったわけですから、これは見事です。昔から、彼女は高い目標を口にし続けて、それを実現していく有言実行の人でした。生まれ持った身体能力も、それを鍛え上げる練習も大事なのでしょうけど、それ以上にその精神力の強さには驚嘆します。
試合後のインタビューで、彼女が何度も口にしていたのが感謝の言葉でしたね。どんなに彼女が強い人でも、周囲の人々の協力なしでは今回の挑戦は実現しなかったでしょう。また、「期待や声援が力になった」とも話していました。私たちの彼女に掛けた期待は、単なるプレッシャーではなかったようです。少しほっとしました。
再び我が家の話に戻りますが、紫緒は子育ての合間を縫って通信講座の編み物教室に取り組んでいます。娘の寝た後に、かなり遅くまで編み物をしていることがあって体調が心配になりますが、彼女にとっては編み物が子育ての日々の中で息抜きになっているのだそうです。谷選手にとって、柔道は息抜きでは済まない一大事でしょうけど、日常生活から切り替えて臨むものであることは同じような気がします。そうした存在のあることは、人生に絶対プラスになります。
また、ついつい大変な話ばかり出てきてしまう子育てですが、もちろんそれだけではありません。私自身も、どんなに疲れて仕事から帰ってきても、娘が笑い返してくれるのを見ると、それだけでとても幸せな気持ちになれます。こうした思いがあってこそ、他のことにもがんばれるのではないかな?と思います。
今日のテレビに出演していた谷選手は、現役続行に意欲を見せていました。もしかすると、2012年のロンドン大会でも、また彼女の姿を見られるかも知れませんね。それよりも、本当は彼女を超えて世界に羽ばたく若者たちにもっと数多く出てきてもらわなくてはならないのでしょうけど。
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