前回、見事に分解された私のレッツノート・CF-R4。ハードディスクを取り外したのは、もちろん交換することが念頭にあったわけですが、そこに取り付けたものはハードディスクではありませんでした。最近注目のストレージデバイス・SSDを導入してみることにしたんです。
SSD(Solid State Drive)というのは、デジカメや携帯音楽プレイヤーのデータ記録用としてはすっかりお馴染みになったフラッシュメモリを、ハードディスクの代わりに使おう!というもの。こうした用途に使う場合、フラッシュメモリにはハードディスクよりも優位に立てる点がいくつかあります。
パフォーマンス上の優位点が、細切れのデータを拾い読みするランダムアクセスが高速なこと。ハードディスクの場合、データを読み書きするためにはまず磁気ヘッドを所定の位置まで動かさなくてはなりませんが、フラッシュメモリは場所を電気的に指定するだけ。差がついて当たり前です。特にシステムのインストールドライブの場合、ランダムな読み出しが非常に多いのですが、これはまさにフラッシュメモリの得意技です。
また、ノートパソコンに使う場合には、さらにアピールポイントがあります。ハードディスクにはモーターやヘッドといった機械的動作をする部分がありますが、フラッシュメモリには可動部がありません。このため、消費電力が低いですし、動作音も皆無。温度や湿度等の動作環境や、動作中の衝撃に対しても圧倒的に有利です。
一方、書き込みが遅いこと、書き込み回数の寿命がハードディスクよりもかなり短いことなどが不利な点でしたが、これについても、多チャンネルのメモリに同時にアクセスしたり、データの書き込み位置を意図的に分散させたり…と、様々な工夫でカバーできつつあります。
ハードディスクよりも容量あたり単価がずっと高いのが壁になっていたんですが、驚異的な速度で大容量化・低価格化が進み、近年進歩のスピードが鈍りがちだったハードディスクとの差を詰めて、導入が現実的なレベルになってきました。
SSDを導入する上でまず問題になったのが、どの製品を購入するのか。2.5型ハードディスクとほぼ同じサイズで、置き換えて使えるパッケージングの商品がずいぶん出回っていますが、インターフェースはシリアルATAのものが多いんですよね。CF-R4Gの場合は、すでに前時代のインターフェースとなりつつあるパラレルATAで接続しなくてはならないんですが、これに対応した製品はかなり少なくなります。
また、SSDはハードディスク以上に本体との相性による不具合が出やすいものらしく、レッツノートへの導入でも動作しない例がいくつか報告されていました。安い買い物ではありませんから、動作しなかった…という事態は避けたいところです。
結局私が選んだのは、トランセンドのTS32GSSD25-Mでした。型番通り、32GBのフラッシュメモリを2.5型ハードディスクとほぼ同サイズ(厚みは7.4mmでちょっと薄いんですが)の筐体に納め、44ピンのパラレルATAで接続できるタイプの製品。同シリーズの64GB版で動作成功の報告がありますが、失敗したとの報告もありました。
フラッシュメモリの中にも、1素子で1bitを記録するSLC(Single Level Cell)と、1素子に2bit分のデータが記録されるMLC(Multi Level Cell)がありますが、この製品はMLCを使っています。書き込み速度や書き込み回数の耐久性、省電力性能などではSLCの方が強いんですが、MLCには安価であるという強力なアピールポイントがあります。
この製品の購入価格は、32GBでたったの1万円強。SLCを使った製品では、この容量だとまだ4?5万円の買い物になります。失敗するリスクも考えると、そこまでの金額はさすがに出せませんでした。それに、MLCの寿命が短いとはいえ、書き換え約1万回ということですから、毎日10回書き換えても3年近く保ちます。CF-R4Gをそこまで使い続けるのは厳しい気もしますし。
導入作業自体は実にシンプル。ハードディスクが収まっていた場所にそのまま収めるだけです。この時代のレッツノートの場合、店頭販売モデルではハードディスクに低電圧仕様の特殊なものを使っていて、この場合は接続ピンを絶縁したり折ったり(!)する対策が必要になりますが、私の場合はマイレッツ倶楽部でカスタマイズした大容量モデルなので、普通のハードディスクが使われています。ですから、換装するときもそのまま接続するだけです。
元通り組み立てて、電源を入れる瞬間には「認識してくれ!」と祈るような気持ちでしたが、結果は大成功。何事もなかったように、32GBのドライブが認識されました。そこで、早速リカバリーDVDからWindows XPをインストールしました。SSDの限られた容量からリカバリー用の領域を割くのはもったいないと思っていたので、リカバリーDVDの入手はとても重要だったんです。
リカバリー作業は15分ほどで終了。その後のセットアッププロセスもかなり高速に進んでいくのが体感できました。確かに、SSDはパフォーマンス面でもハードディスクより有利なようです。また改めて競争させてみましょう。
セットアッププロセスは何事もなく普通に終了し、Windows XPが無事起動しました。これで一安心です。SSDという最先端装備を得て、CF-R4Gももうしばらくは私を楽しませてくれそうです。
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