レッツノートの2009年冬モデルが発表されました。今回の目玉は、もちろん新しくラインナップされたSシリーズとNシリーズ。従来のWシリーズとTシリーズを置き換えるもので、特にCF-S8Hはレッツノートとしてはもっとも売れ筋になるであろう製品です。
ほぼA4用紙と同じフットプリントの筐体に、12.1型ワイドの液晶ディスプレイが組み込まれています。長らくワイド画面の採用には消極的だったレッツノートですが、最初に一番画面の大きいFシリーズでワイド画面が採用され、ついにこれでRシリーズ以外はワイド画面…というラインナップになりました。時代の流れと言ってしまえばそれまでなんですが、ユーザーからのワイド画面への要求が強まっているのでしょうし、もしかすると現状ではワイド液晶の方が調達しやすくなっているかも知れません。
この解像度が1280×800ドット…というあたりもなかなか絶妙。ただ、パナソニックが使う「細かすぎない」という表現は、プラズマテレビの「眩しすぎない」とよく似た、ちょっと屈折した響きも感じます。Windows 7ならば、基本のフォントサイズを大きくして運用すれば済むわけで、細かいことは基本的にマイナス要素にはなりません。もっとも、まだまだ96dpiで決め打ちしたレガシーな作りのソフトウェアも多いわけですが。
さて、このSシリーズ&Nシリーズなんですが、単にワイド画面になっただけではありません。一番びっくりするのがCPU。通常電圧版のCore 2 Duoが採用され、店頭モデルでは2.53GHz動作のP8700、マイレッツ倶楽部モデルではさらに上を行く2.66GHz動作のP8800が搭載されています。史上最速のクロックで動くレッツノートです。
これだけのパフォーマンスがあれば、もはや「モバイルだから」という妥協はほぼ要らないでしょう。しかも、これが内蔵バッテリでカタログ値16時間も動作します。重量が1,300g台と大して増えていない中でこれだけのスタミナを確保してくるのですから、毎度ながら驚かされます。業界最高容量の電池セルを採用しているそうで、系列に電池会社を持つ強みが発揮されています。
そして、もう一つ目を引くのはモバイルWiMAXを標準で内蔵してきたこと。もっとも、昔からIntelととても仲が良かったパナソニックですから、これ自体に驚きはあまりないんですが、802.11n対応の無線LANと合わせて、通信環境でも「モバイルだから」の妥協を無くそうとしています。
デザイン面でも「分厚い」と言われ続けた厚みをずいぶん減らしていますし、HDMI端子を搭載したり、マイレッツ倶楽部モデルでは64bit版のWindows 7 Professionalがインストールされたり…と、今どきの仕様をかなり取り入れてきています。近年、レッツノートはあまり代わり映えしないなぁ…と思っていたんですが、久しぶりに変化を感じさせてくれました。
現在、CF-R4Gを愛用している私なんですが、最近はモバイルに求めるものがちょっと変わってきたな…と感じます。ノートPCを背負って街中を歩き回ることがずいぶん減りました。帰省先の浜松などでじっくり腰を据えて使うことが多く、そこまでは車で移動してしまいますから、軽さや小ささよりも、移動先での使いやすさやパフォーマンスに注目したい今日この頃です。
そんな私にとって、今回のSシリーズやNシリーズはかなり魅力的に映ります。特に、DVDドライブ内蔵のSシリーズなら、市販のポータブルDVDプレイヤーよりもずっと大画面でDVDが楽しめます。しかも、その気になればHDMI端子経由で大画面テレビにも映せます。内蔵スピーカーがモノラルなのはちょっと残念ですけどね。
ただ、こうした観点で他社製品と見比べると、レッツノートは必ずしもオンリーワンとは言い切れません。例えば、ソニーのVAIO type Zは、通常電圧版Core 2 Duoに13.1型ワイドの大画面を組み合わせ、ブルーレイディスクドライブまで搭載可能。10時間近いバッテリ動作時間で1.5kg未満の重量に仕上がっています。最厚部は薄くなったCF-S8Hよりもさらに1cm近く薄く、スタイリッシュなデザインへのこだわりもあります。
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