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何を持ち歩きたいのか

Windows 7の登場がいよいよ今月下旬に迫り、これをプリインストールしたパソコンが発表されています。Windows 7の動作条件がWindows Vistaとそう変わらないこともあり、基本的にはOSだけを入れ替えれば済んでしまいます。既に夏モデルの段階で各社とも優待アップグレードキャンペーンを展開してきたこともあり、ここに来て全くの新製品を…という話は少ないようですね。逆に、そこにあえて投入される新製品には相当な意気込みを感じます。

先にも記事にしているレッツノートのSシリーズとNシリーズからは、そんなエネルギーを感じたわけですが、もうひとつ注目したい新製品が、ソニーのVAIO Xシリーズ。折りたたんだ状態で厚みがたったの13.9mm、それも「最薄部」なんて誤魔化しのないフルフラットのスリムな筐体を実現しています。本体重量は標準のLバッテリー装着で700g台、しかもこの重量でもバッテリでの動作時間はカタログ値で10時間…という、実に意欲的な設計です。

Sony Style(ソニースタイル)

13.9mmといえば、私の携帯電話・N905iμの最も厚い部分とほぼ同じ。この薄さでA4用紙よりわずかに小さな程度のフットプリントを持つ筐体が、果たして実用的な強度で存在できるのか?…いろいろな強度試験を通っているそうですが、正直なところ、自分で掴んでひねってみるまでは信じられません。今月中には市場に出てくるわけですから、是非とも確認してみたいところです。

CPUには、先に登場しているVAIO type Pと同じAtom Zシリーズを使っています。つまり、性能面ではそれほど期待してはいけないわけですが、Vistaよりも軽快に動作すると言われているWindows 7ですから、おそらく普通に使うのには十分なレベルが確保されています。type Pのあまりにも高解像度過ぎる画面のような無理をしていない分、快適に使えそうな気がします。


VAIO Xシリーズで一番びっくりしたのは販売価格。おそらく店頭モデルの販売価格は10万円台前半で、ネット直販のVAIOオーナーメイドモデルなら10万円未満にすることもできます。2003年に同様のコンセプトのVAIOノート505エクストリームを出したときには、30万円を超えるような値札がついていました。あのときと比べて、細部の作りなどに手を抜いているようにはとても見えません。

しかも、VAIO Xはネットワークや外付けディスプレイ端子など必要なものはちゃんと内蔵し、丸一日を乗り切れそうなスタミナも身につけました。505エクストリームのときのような、「薄さや軽さのために多くを犠牲にした」というイメージは全く受けません。

Atom Zシリーズを採用していることはコスト面では有利に働くのでしょうけど、このシリーズのために新しく作られたパーツも多い中で、こんなに安くていいの?と思ってしまいます。もっとも、現物はまだ見ていないので何ともいえませんが。

ともかく、巷に溢れかえっているネットブックよりもずっと薄く、軽く、スタミナがあり、丈夫で、高級感もたっぷりのモバイルノートが、今月下旬には10万円台前半の値段で買えるようになります。自分で買うかどうかはわかりませんが、そんなものを目にすることができると思うだけでも、何だかわくわくしますね。


先日、伊豆急下田駅前のマクドナルドの2階で、ノートパソコンを広げている人を見つけました。こんな田舎で、そんな姿を見られるとは思わず、何だか嬉しくなりましたね…さすがに私は家族連れでしたし、声まではかけませんでしたが。

その方が使っていたのはおそらくASUSTeK社のEee PC。「ネットブック」の存在を世に知らしめた先駆的ブランドの一つです。以前から、ネットブックに対してはあまり良いイメージを持っていない私ですが、小さなノートパソコンが安価で入手できるようになって、パソコンを持ち運ぶことへの敷居を低くする効果はあったのではないかな?と思っています。

裏を返すと、パソコンを持ち歩いてみたい…という潜在的な需要は、これまでも相当にあったのではないでしょうか。パソコンを持ち歩くことを阻む要因に、高価な精密機器であるノートパソコンを壊してしまったらどうしよう…という不安があったと思うんですが、安価に入手できるネットブックは、少なくともその一端を取り除いてくれます。

そして、これが既存のモバイルノートにもいろいろな影響を与えています。VAIO type PやVAIO Xシリーズの価格設定は、Atomプロセッサが低価格で供給されていることだけでなく、ネットブックによる価格破壊の影響を受けたものでしょうし、レッツノートが通常電圧版CPUを使ったのは、「遅くて高価」な超低電圧版CPUでは低価格ノートとの差別化が難しくなってきたことが一因ではないかと思います。結果的により良いものがより安価に提供されるのは嬉しいことですが、メーカーに過大な負担をかけているのではないか心配です。


パソコンを持ち運ぶ生活を始めてから10年以上になります。この間4台のレッツノートを乗り換えながら過ごしてきましたが、常々感じるのが「自分はノートパソコンを持ち歩きたいわけではない」ということ。…こう書くと禅問答のようになってしまいますが、持ち歩きたいのはノートパソコンという「機械」ではなく、自宅でパソコンを使ってしているのと同じことができる「環境」なんですよね。あくまでもノートパソコンはそのための道具に過ぎません。

もっとも、あらゆる道具はそれによって実現される快適な環境のために持ち歩かれる訳なんですが、パソコンの場合、持ち運ぶ負担も、その見返りに得られる環境も非常に大きいわけで、負担に見合う環境が得られるのか…というところがポイントになってきます。

もちろん負担はできるだけ小さい方が良いのですが、一方で結構難しい問題になるのが、どこまでの環境を求めるのか。CPUの処理能力にしても、画面の広さやキーボードの大きさにしても、バッテリーでの動作時間にしても、必要を超えた能力を持たせることは、持ち運ぶ負担を増やすことにつながります。これは、極論すればユーザーの数だけ基準があるわけで、納得するレベルさえ実現できれば、それ以上の能力は要らない…という考え方ができます。

そんな視点で見ていくと、環境をできる限り絞って、負担も最大限まで減らしたのがVAIO Xで、環境を職場のパソコンのレベルから極力絞らずに、負担をどこまで減らせるかにこだわったのがSシリーズやNシリーズ…ということになるのでしょうか。しかし、全然違う構成の両者なのに、見えてくるユーザーの姿が結構似通ってくるのが面白いところです。どちらも、仕事で積極的にノートパソコンを持ち出そうとする人のために作られています。

一ついえるのは、両者とも目指す方向性を実現するために、とことんこだわったモノ作りをしていること。その結果生まれる独創性、高い技術力の結晶が、ネットブックたちと一線を画している彼らのアイデンティティーです。


振り返って、自分はいったい何を持ち歩きたくてレッツノートのオーナーになったのか考えてみると、パソコンを使ったいろいろなモノ作りを、自宅にいるときと同じように楽しみたい…というのが大きな動機になっています。3次元CGや楽曲編集はさすがに荷が重いんですが、Webサイトの更新については、それこそ世界中のどこにいても更新してきた実績があるわけで、結構活用していると自負しています。

最近、一番ストレスに感じるのが通信速度ですね。無線か有線のLANを使わせてもらえる場所ならまだ何とかなるのですが、ある程度広域的に使える通信手段となると、最速でたった0.2MbpsのAIR-EDGE回線になってしまいます。3G携帯電話やモバイルWiMAXなら、私の求めている条件に合いそうなんですが、できることならこれらも本体に内蔵されていた方がスマートです。レッツノートのSシリーズやNシリーズ、VAIO XやVAIO P…他にもこれらの通信機能が内蔵された魅力的な製品が数々登場してきました。

いろいろな構想は頭を駆け巡るんですが、どんな行動に移るにしても相応の資金が必要になります。そして、これが現在のところ最大の障害です(涙)。常々出てくるぼやきになりますが、宝くじでも当たらないかなぁ…。


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