今日は、1冊の本をご紹介しましょう。「フィギュアスケートを100倍楽しく見る方法」は、2006年のトリノ冬季オリンピック大会で、この大会では日本選手唯一のメダルとなった金メダルを獲得した荒川静香が書いた本で、昨年11月に発売されました。その名の通り、フィギュアスケート競技をより楽しむために役立つ知識がたくさん盛り込まれています。
トリノ大会と言えば、朝4時に起きて女子シングルのフリー演技を生中継で見たのを思い出しますが、あれからもう4年。今年は、2月13日からカナダのバンクーバーで冬季オリンピックが開催されます。今回も、フィギュアスケートは日本人選手の活躍が期待される種目です。大一番の前にちょっと勉強しておきましょう。
ちなみに、この本は妻の紫緒がいつの間にかネットで注文してあって、私は我が家に届いたときに初めてこの本の存在を知ったんですが、私の方が先に一気に読破してしまいました。何だかちょっと申し訳ないです。
昔からフィギュアスケートを見るのは大好きな私なんですが、見ていていつも気になっていたのが得点の付け方。審判員が演技に得点を付けて評価する競技ですから、その点数の根拠はどうなっているのか、もっと詳しく知りたい気持ちがありました。この本では、現在の採点方式についてかなり詳しい解説が行われています。
かつては、技術点と芸術点に分けて6.0点満点からの減点方式で採点していたんですが、現在は個々の技に対応する基礎点が決まっていて、これを積み上げていった上で、条件によって加点・減点を行う採点方式になっています。これは、10点満点からの減点方式だったのが加点方式に変わった器械体操とよく似ていますね。技の難易度が上がってきて、得点差を付けるために方式が変わっていったわけです。
積み上げ方式ということで、わかりやすくなったのか?というと必ずしもそうではなく、最後にはやっぱり審判員の主観に頼らざるを得ないところがあります。採点方式の競技では、システムがどんなに変わってもこうした問題は残ります。
採点方法といえば、トリノオリンピックの頃に、荒川選手の代名詞でもあったイナバウアーが、得点の付かない技である…ということが話題になっていました。確かに、技術点の基礎点は付かない技なんですが、きっと芸術点としての評価はされていたのだと思います。
フィギュアスケートを見ていて、もう一つ気になっていたのがジャンプの種類。フィギュアスケートの中で、最も緊張感のある見せ場になっているのがジャンプですが、トウループ、サルコウ、ループ、フリップ、ルッツ、アクセルの6種類があります。それぞれに踏み切り方が異なり、当然基礎点も異なります(後ろに書いたものほど高得点)。さらに、回転数が増えると得点も高くなっていきます。
見る人が見れば、6種類のうちのどのジャンプを飛んでいるかはちゃんと区別ができるのだそうですが、私たち初心者では、確実に区別できるのは前向きに踏み切るアクセルくらいなもので、あとは解説者が説明してくれなければよくわからない…というのが正直なところです。
この本では、それぞれのジャンプがどのようなものかがイラスト入りで丁寧に解説されています。これを読めばすべてのジャンプが簡単に見分けられる…とは到底思えませんが、これが頭に入っていれば、テレビ中継での解説がこれまでよりもずいぶん理解できるのではないかと思います。
そういえば、この本とは別の話になりますが、ジャンプも含めたフィギュアスケートの解説で、これはおもしろい!と思ったのが、テレビ朝日がグランプリシリーズの中継でデータ放送を使って行った「えらべるテロップ」。次に予定されている技が順次テロップに表示されるので、実にわかりやすいですね。他局の中継でも同じようなものが導入されることを期待しています。
男女シングルの有力選手たちについての解説にも、多くのページが割かれています。前回のトリノ大会には年齢制限で出場できず、ようやく初出場となる浅田真央選手。けがで昨シーズンは棒に振ってしまいましたが、オリンピックシーズンに見事に復活してきた高橋大輔選手…といった、私たちがニュースなどで見て知っている話だけでなく、それぞれの選手の特徴が分析されていて、なかなか楽しませてもらえます。
そして、コーチについても一つの章を割いて書かれています。選手だけでなく、コーチにも実にいろいろと個性があるのがわかります。誰がいちばん優れているか…ということではなく、むしろ問題になるのは選手との相性のような気がします。
フィギュアスケートの他にも、バンクーバー大会では多くの日本人選手たちの活躍が期待されます。今回もかなり日本との時差がありますから、生中継で見るのは難しそうですが、楽しみにしています。
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