新しいレッツノート・CF-J9シリーズが発売された週末に、実機をこの目で見たくて走り回り、どこでも展示されていなかったことにかなりヘコんだ私。一縷の望みをかけて、浜松駅前のビックカメラに足を運びました。
さすがは全国的に知名度が高い一大チェーン店。CF-J9シリーズは店頭販売向けのスタンダードモデル、ハイパフォーマンスモデルが並んで展示されていました。これまでに足を運んだ店も、全国展開のチェーン店ばかりだったんですが…それぞれ得意分野が違うのでしょうし、仕方ないのかも知れません。
今回最大の注目点は、低価格化が筐体の作りにどのくらい影響を与えているのか。Atom Zシリーズ搭載機ですら購入対象に考えていた私ですから、パソコンとしての基本的なパフォーマンスでは不満のあるはずがありません。後は操作性とか、堅牢性とか、あるいは高級感がどのぐらい削がれているのか…といったあたりがポイントとなります。
CF-J9シリーズの外観上の最大の特徴となるのが、本体を包んでいるジャケット。材質は合成皮革のようですが、思っていた以上に高級感のある仕上がりになっています。スタンダードモデルに装備される、「シフォンホワイト」と銘打たれた白いジャケットは、確かに女性を明確にターゲットにしたデザインセンスです。ハイパフォーマンスモデルの「パンサーブラック」は、材質感そのものは悪くないと思うんですが、中央に縦に入った赤いラインが、ちょっと高級感を削いでしまっている気がします。
カタログの数値を比較すると、このジャケットの重さは215gあることになります。私の持っている本革製ケースが186gあることも考え合わせてみると、使用中の落下に耐えるだけの耐衝撃性能を担保する装備としては、決して重くはありません。膝に載せたときに発熱が伝わるのを軽減してくれそうですし(もっとも、底面はあまり発熱していないようでしたが)、基本的には、ジャケットは被せたまま持ち歩くべきだと思います。
筐体の剛性については、例によって本体を閉じてひねって確認してみましたが、全く不安なし。ここには低価格化の影響は感じませんでした。相変わらずレッツノートらしい分厚いプロポーションを守っているのが効いているようです。
入力デバイスとしては、エッジを削ぎ落とした「リーフ型キートップ」が、「誤入力率が低下する」としてアピールされています。確かに、キーボードを打ってみた感覚は悪くありません。隣のキーに触れてしまうことは少なくなりそうですし、ストロークも実質的な打鍵感も、CF-R4Gよりはずいぶんしっかりしています。ただ、やっていること自体は、VAIOなどが取り入れているアイソレーションキーボード(電卓のように各キーの間に隙間を空けて配置している)を、ちょっと違ったアプローチで実装しただけなんですよね。キーを個別に穴空け加工しなくて良い分だけ、こちらの方が低価格化が容易なのかも知れません。
入力デバイスといえば、レッツノートの顔の一つとなった円形のタッチパッドはCF-J9シリーズでも健在です。従来のCF-Rxシリーズと全く同じ大きさのようで、小さく見えますが操作には支障は感じません。ただ、タッチパッドの下に2個並んだ四角いクリックボタンは、コストダウンのあおりをまともに食ってしまったかのような、チープな素材感があります。押してもクリック音が静かなのは特筆すべきなんですが。
パームレストがどうやら塗装すら全くされていない、プラスチック感溢れる仕上げなのもちょっと気になるところです。しかもかなり薄いようで、指で押すとたわみます。もっとも、高級な塗装で仕上げても剥がれてくるとかなり残念な外観になってしまうことは経験済みですし、表面仕上げは賛否の分かれそうなところです。塗装しなければ、そもそも塗装剥がれによる劣化は起こりえないわけですからね。
総合的に見ると、やっぱり低価格化の影響はそれなりに受けてしまっているようですが、日々持ち歩く道具としてはこれはこれで悪くありませんし、実用ツール的な本体の感覚を、ジャケットが高級感でちゃんと包み込んでいる…という見方もできます。これなら、実際に持ち歩いて使ってみたい!という気分にさせてくれます。残念ながら、それを実現に移せるだけの財力は持ち合わせていないんですが…。
ところで、CF-J9の実機を見に行ったその日から、CF-R4Gの調子がどうも芳しくありません。画面が全く映らなくなってしまいました。もっとも、外部ディスプレイ出力からはちゃんと画像が出ているので、どうやら問題は本体の液晶ディスプレイ部にあるようです。接続ケーブルが断線しているだけなら、すぐ直るはずですが、もしパネル自体が逝ってしまったとなると、話はちょっと面倒になります。もうメーカーの保証期間は過ぎていますから、数万円の修理費がかかるはずです。それでも直すのかどうか…ちょっと難しい判断を迫られています。
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