今年6月に、7年間の長旅を終えて地球に戻ってきた小惑星探査機・はやぶさ。彼が体を張って地上まで送り届けたカプセルの中身については、精密な分析作業が続けられています。このたび、このカプセルの内容物に、小惑星イトカワから持ち帰ったものが含まれていることが発表されました。小惑星から何らかの「モノ」を持ち帰ったのも、もちろん人類史上はやぶさが初めて成し遂げた快挙です。
イトカワの欠片を持ち帰るサンプル・リターンは、はやぶさの数ある技術課題の中でも究極の目標でした。うまく装置が働かず、一時は持ち帰りが絶望視されていましたが、これで与えられた仕事を全てこなしたことが確かめられたことになります。もっとも、一見空っぽにしか見えないカプセルから、テフロン製のへらで0.01mm以下の微粒子をかき集めて分析したもので、はやぶさの長く苦しかった旅を無駄にしてはならない!という、スタッフの皆さんの並々ならぬ執念を感じます。
ちょうど宇宙開発の関連予算が政府の事業仕分けの俎上に載ることになっていたタイミングで、今回の発表は「仕分け逃れ」を狙ったのでは?という声も聞かれます。意図はともかく、分析結果に基づいた発表であり、事業が仕分けられるかどうかに関わらず、学術的価値があるばかりか、人々には夢と希望を与えてくれます。私は素直に拍手を送りたいと思います。
ちなみに、そんな偉業を成し遂げたはやぶさのカプセルが、現在全国を行脚中で、来月には私の地元・浜松で展示されることになっています。展示期間はほんの数日間ということになっているようですが、何とか都合を付けて是非見に行きたいですね。
歴史の目撃者になる…といっては大げさすぎるかも知れませんが、この展示にはアポロ11号の司令船が展示されるのと同じくらいの価値があると思います。やっぱり、宇宙を目指すチャレンジにはわくわくしますね。そこは、人類に未だ残されている広大なフロンティアです。
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