槇原敬之のニューアルバム・「Heart to Heart」が発売されました。今回は発売前に予約してあったので、DVD付きの初回限定版が27日のリリース当日に我が家に届きました。
この時期に新作アルバムが発売されるということで、どうしても気になるのが3月の東日本大震災との関係。各方面で様々な形の活動が行われている中、彼がどんな意思表示をするのかは気になっていました。彼にとっては、東北新幹線の新青森駅までの延伸を記念したキャンペーンソング「林檎の花」が3月11日にリリースされた、まさにその日に東北で地震が発生してしまったわけで、考えるなというほうが無理な話だったはずです。
震災後の世界のあり方については、彼は明確に、今までにないほどダイレクトにメッセージを発信しています。歌詞の中にそのものズバリの「壊れた原子炉」が出てくるほどです。しかし、そこで反原発メッセージに流れたりしないのが彼らしいところ。この作品中で何曲にもわたって訴えている「『あたりまえ』じゃなくて『ありがとう』だろう?」というテーマは、もう何年も前から彼が歌い続けているものです。ぶれない芯の強さが際立ちます。ぶれたのなんのと盛んにやり玉に挙がる永田町方面と比べると、何とも切ない気分になりますが…。
このアルバムを聴いていると、アルバムへの収録順が持つメッセージ力も強く感じます。もちろん、その一つは「林檎の花」の直後に「壊れた原子炉」が登場する「Appreciation」、さらに「White Lie」へと続く流れなんですが、もう一つ心に迫ってきたのが「軒下のモンスター」~「Remember My Name」。この順番で聴いてしまうと、つい2曲を同じ主人公の心として重ね合わせてしまい、彼の精一杯の告白を聞いている気持ちになって、無性に泣けてきます。
全編、簡単には聞き流せないほどの熱い思いで溢れています。ちゃんと最後には幸せになれるアルバムですが、間違いなく「ながら聞き」には向きません。じっくり聴いてほしいですね。…などと言いつつ、頭の中では「昼、昼、ヒルナンデス(笑)」がぐるぐる回っていたりしますが。「ぶっ飛び系テクノまきはら」が好きな方にも、聴きどころが結構ありますよ。
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