たまには週末に家で映画でも見よう!と思い、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」のDVDを借りてきました。昨年12月に公開されたばかりの作品が、もうレンタルショップで借りられるようになっています。
この作品の元になっているのは、1974年に放映されたテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」…というのは、ご存じの方も非常に多いはずです。もっとも、私たちくらいの年代だと、初回の放送の頃にはかろうじて生まれていたものの記憶にはなく、実際にこの作品に触れているのは、後々の再放送や続編として作られたシリーズ作品たちになるんですけどね。
実写化は非常に困難であろうこのSF超大作の映像化に挑んだのは、「ALWAYS 三丁目の夕日」で昭和30年代の東京を見事にスクリーンの中に再現してしまった山崎貴監督。あのCG技術を、今度はアニメ世界の再現のためにフル回転させました。「日本人が初めてSFで世界に挑む野心作」とは、これまた気合いが入っています。
映像技術については全然心配をしていませんでしたが、この作品についてそれ以上に心配していたのはキャスティングの問題。主人公の古代進に起用されたのはSMAPの木村拓哉でした。彼は、いろいろなドラマや映画で重用されていますが、そこで賛否両論を巻き起こすことが結構多い気がします。「ハウルの動く城」のハウル役に起用されたときにも、彼で大丈夫なのか?という話がありましたが、今回も不安要素たっぷりでした。
木村拓哉の演じてきた役といえば、心の熱さはともかく、表面的には一癖も二癖もある…という、いかにも「キムタク」そのままのキャラクターばかりだったと思います。それをテレビアニメで見た血気盛んな若者・古代進のイメージと比較すると「何か、違う」となったんですよね。また、30代後半の彼では歳をとりすぎなのでは?という危惧もありました。
蓋を開けてみると、私の心配は全く意味のないものだったことがわかりました。キャラクター設定の方が見事にひっくり返っていたんです。古代進は、地球防衛軍で実績を上げた後、ある事情で除隊し、ヤマトの出撃に際して志願して復隊した…ということになっていました。これなら年齢的な問題も、性格的問題(?)もクリアできるわけです。
もちろん、こうなってくると他にもアニメ版とは設定を大きく変えなくてはならない場所がいくつもあります。中には男性だったキャラクターが女性になっていたり…なんてものまでありますが、別に私たちは間違い探しをしなければならないわけではありません。映画は映画、として見るのなら、これはこれでOKのような気がします。
ストーリーは2時間そこそこの中に収めるために大胆に端折られ、設定にも大胆な置き換えがあったりしますが、おかげでテンポもよく、楽しく見せてもらえます。そして、やっぱりキムタクは誰を演じてもキムタク色に染めて演じきってしまうんですね。それが彼の持つ存在感なのでしょうか。
注目ポイントの一つであったCGなどの映像技術は期待通り。妙な作り物っぽさを感じる場所は皆無と言って良いでしょう。ハリウッド産のSFムービーにもクオリティでは負けません。ただ、画作り自体がハリウッドを意識したのかな?とも感じましたが。CG効果としてはありがちなアングルの画が多かったような気がします。
CG以外にも、もちろんセットやロケも活用されているわけですが、船内の格納庫等で登場する背景は、何と伊勢湾フェリーの船で車を止めておく船倉。実は映像を見ていて妙に既視感があったんですが、後でメイキング映像を見て思わず笑ってしまいました。何しろ今年の正月に乗ったばかりでしたからね。その後は、重要な場面の舞台にもなる場所なのに、もう伊勢湾フェリーにしか見えませんでした(笑)。
映画を見終わって、今度はアニメのオリジナル版を見たくなって、またDVDを借りてきました。さすがに30数年も前の作品ですから、音声はモノラル収録ですし、画像には時代を色濃く感じます。映画とは違って、30分番組が何回も続く長丁場になりますが、改めて映画との違いを感じてみるのも面白いかも知れません。じっくり見てみましょう。
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