1台のパソコンを私と妻とで共用するようになってから、もうすぐ1年になります。マルチユーザーでの運用自体には特に問題なかったんですが、同時にひとりしか使えないのは、やっぱりお互いにとってストレスになっていたような気がします。私も妻も家にいる夜は、どちらかが作業をしているともうひとりは待っていなくてはなりません。どうしても!というときにはレッツノートを引っ張り出せば良いわけですが、デスクトップの環境とはあまりに違いすぎて、最近はイライラすることも増えました。
私がパフォーマンスにこだわって作った自作デスクトップは私がそのまま使い、このたび妻のためにもう1台を用意することにしました。使い勝手を考えれば、やっぱりベターなのはデスクトップ機なんですが、妻からの要望はノートパソコン。話を聞いてみると、家の中で好きな場所に持ち運んで広げたいんだそうですね。
娘とふたりで家にいるときなど、面倒を見ながら片手間に…となると、机に縛り付けられているわけにはいきません。さらに、今年末には完成する新居では、彼女は店を開く離れと母屋の間を移動してパソコンを使うことになるはずです。「持ち運ぶ」と聞けば、私に選ばせればレッツノートがベストバイなんですが、この程度の移動だけなら、あれほどのモバイル性能は不要でしょう。むしろ、デスクトップを代替できるような大画面のノートパソコンが適していそうです。
デスクトップ機の代替として選ばれるノートパソコンは、15型クラスで1366×768ピクセル程度のフルワイド液晶画面を装備し、キーボードはデスクトップと同じキーピッチで、さらにテンキーも付いている…というスタイルの製品を店頭でよく見かけます。価格もかなりこなれている…というよりも、デフレ経済で競争も激しい中で、不当に安く売られているような気もするわけですが、ちょうどニーズに合うものが安く手に入るのなら大歓迎です。
我が家にやって来たのは、FMV LIFEBOOK AH77/G。このカテゴリーでは最高クラスと言って良い製品で、CPUにはクアッド(4個)コア・2.20-3.10GHz動作のCore i7-2670QMを装備。メインメモリは8GB、内蔵ハードディスクは750GB、さらにはブルーレイディスクドライブまで内蔵しています。さすがにテレビチューナーまでは内蔵されていませんが、考えられる範囲ではほぼフル装備です。
3色展開の本体色の中で、妻がチョイスしたのは「ガーネットレッド」。深い色合いの赤で、光沢のある塗装もしっかりしています。液晶画面の縁に段差がない「フルフラットファインパネル」も高級感があります。これだけ盛り込まれて、ちゃんとMicrosoft Officeなどのソフトウェアもプリインストールされているのに、販売価格は10万円を切っています。何だか富士通の皆さんに申し訳なくなります。
富士通といえば、最近は携帯電話、スマートフォンで夫婦揃ってすっかりお世話になっていますね。昔は製品の出来にあまり良い印象を持っていない会社だったんですが、ここ数年を見ていると、手堅い作りの商品とアグレッシブなスペック狙いの商品のどちらの開発もこなし、シャープやソニーよりはきっちりと商品としてまとめてくる器用なイメージがあります。
ところで、なぜこの色にしたの?と妻に聞いてみたら、「赤は3倍速いでしょ」との答えが。もちろんそんなはずはないんですが(笑)、このジョークが通じる人とは仲良く出来そうな気がします。お台場までガンダムを見に出掛けてしまう一家のひとコマです。
ダイニングテーブルの上に載せてみると、やはり大きさが気になります。といっても、これは私がこれまでレッツノートという小さなノートパソコンと付き合い続けてきたからなのでしょうね。試しにCF-R2を載せてみると、専有面積はほぼ2倍なのがわかります。「A4ファイルサイズ」などと呼ばれることが多いんですが、どう見てもA4ファイルよりはひと回り大柄です。
この十分なサイズのおかげで、操作性については問題を感じません。画面は、デスクトップ機よりも小さくピクセル数が少ないのは仕方ないとして、十分明るく鮮明です。最近の流行である、電卓のようなアイソレーションキーボードも、見た目の割にはタッチ感はしっかりしています。添付されているレーザーマウスはちょっと安っぽさがありますが、とりあえずデスクトップ機と同じように使えるのはありがたいところです。USB端子が最新のUSB3.0を含めて5つもあり、HDMI出力も装備されているなど、拡張性でも問題はなさそうです。
家の中で持ち運ぶ程度なら、2.9kgの重量は及第点だと思います。ACアダプターが大きめなのも、基礎体力を考えると仕方ないところです。バッテリーで7時間(カタログ値)動作する、このクラスとしては意外なほどのスタミナもありますから、ACアダプターは持ち歩かなくても良いかも知れません。手で抱えてみると感じるのが、意外に薄いこと。これも、レッツノートが分厚すぎただけなのかも知れませんけどね。
薄いと言えば、実は一番私にとってインパクトが強かったのが、梱包されていた箱の薄さ。厚みはレッツノートの箱の半分くらいしかありません。プロポーションでは、ちょうどWii Fitの箱が近い感覚。本当にパソコンが入っているの?と、ついつい不安になってしまいました。同梱されているマニュアル類が少ないこと、ACアダプターなどの付属品が本体と重ねられずに脇に入っていることが理由のようです。
半日かけて私がセットアップを済ませ、早速妻は快適に使ってくれているようです。それは嬉しいことなんですが、ひとつ衝撃を受けたのが、自作デスクトップとWindowsエクスペリエンスインデックスの値がほぼ同じ結果になったこと。総合評価は最も低いカテゴリーの数字を返してくるだけなので、それだけを直接比べてもあまり意味がありませんが、5つのカテゴリー全てで似通った数値になっています。
しかし、冷静に振り返ってみれば、確かに基本性能ではCPUのクロック数がやや高速な程度で、大した差がありません。グラフィックスコアもCPU内蔵のIntel(R) HD Graphics 3000で基本的に同じですし、似たような結果が出てくるのは当然のような気がします。思いっきり負荷のかかる作業をすれば、私のデスクトップの方が先に処理を済ませてくれるはずなんですが、そんな場面がどのくらいあるのか…。ディスプレイの大きさでも優位には立っているわけですが、正直なところ、ほぼ同じレベルの性能を持ち歩ける妻がうらやましい気持ちもあります。
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