「なおざり」と「おざなり」。どちらも、いい加減なあまり丁寧でない様子を表現するのに使われる表現ですね。字面が似ている…というか、同じ4文字を並び替えると出来る言葉です。今朝、ぼーっと文章を読んでいて、その事実に気がつきました。
これだけよく似ているということは、どちらかがもう片方の言い間違いで勢力を伸ばしてきたのかな?と思ったんですが、調べてみるとどうやらそうではないようです。広辞苑によると、「なおざり」は「あまり注意を払わないさま。いい加減にするさま。かりそめ。おろそか、ゆるがせ」とあります。「おざなり」の方は「当座をつくろうこと。その場のがれにいいかげんに物事をするさま」だそうで、読み比べてみるとどうも少々ニュアンスが違います。なおざりは「等閑」、おざなりは「御座なり」と漢字が当てられていて、れっきとした別の言葉です。「なおざり」の方は古典が出典の用例も挙げられていて、どうやらこちらの方が歴史のある表現のようですね。
改めて辞書を引いてみると、結構面白いものです。ひとつひとつの言葉の意味を大切にして、使い分けをなおざりにした、おざなりな書き方や話し方にはならないように気をつけたいですね。
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