今回の主役は、我が家のネットワークで大事なデータを守っているNAS・HDL2-A2.0。導入したときにご紹介したとおり、外見は味も素っ気もない真っ黒な箱なんですが、単にデータを保存するだけにはとどまらない、非常に多機能な製品になっています。
それなのに、私としたことが今までこいつには作成データのバックアップしか仕事をさせていませんでした。しかし、持てる才能を眠らせておくのはあまりに寂しすぎます。ちょっと他の仕事も任せてみることにしました。
きっかけになったのは、我が家で撮り溜めた写真を印刷しようとしたときのこと。我が家で写真印刷を担当しているのは、妻が結婚前から使っていたPIXUS iP8600。もうずいぶん古い製品になりますが、8色のインクを使った写真プリントは実に美しい仕上がりですし、毎年年賀状や喪中はがきの印刷にこき使いましたがガタも皆無です。
このPIXUS iP8600を複数の端末から利用するために、以前はプリントサーバーのCG-FPSU2BDを導入していました。USB2.0接続のプリンターの双方向通信をネットワーク越しでも利用できる機能が、64bit版のWindows Vistaにも対応している…という非常に珍しい仕様の製品でした。CG-FPSU2BDのドライバ類は、Windows 7での使用はサポート外。それでも、私の自作PCに強引にインストールしてみたら動作したようなので、とりあえず使い続けていました。
しかし、妻のノートパソコンがネットワークに加わって、ちょっと事情が変わりました。妻の側からはPIXUSへの印刷が全く出来なくなってしまったんです。ネットワーク経由の話ですし、RC版のWindows 7のときのようにファイヤーウォール関係が臭い?などと調べてはみましたが、結局わからずじまい。既にサポート外と言うことで、メーカーに頼ることも出来ません。
そんな状況で思い出したのが、アイ・オー・データ機器がネットワーク機器の機能として提供しているnet.USB(「ねっとどっとゆーえすびー」と読めば良いんでしょうか)。仮想USBポートドライバーを組み込んで、ネットワークの向こうに接続されているUSB機器を、ローカルなUSB機器のように見せかけて利用する仕組みです。Windows 7にも、64bit版を含めてしっかり正式対応しています。
HDL2-A2.0にも、このnet.USBに使えるUSBポートが2個装備されています。プリンターをつなげば、通常のUSB接続と同様に双方向通信でインク残量などの動作状況を確認することが出来ます。しかも、プリンターの場合は印刷指示を検知して自動的に接続し、印刷終了時に切断する…という器用な動作も可能ですから、複数台から効率よく管理できます。NASがプリントサーバーを兼任できるわけですから、機器が1台減って、ネットワーク管理でも消費電力面でも有利です。
仮想USBポートドライバーである「net.USBクライアント」をインストールして、HDL2-A2.0のUSBポートにPIXUSをつなぐと、もともとプリンタードライバー自体はインストールされていることもあり、自動的にPIXUSは認識され、印刷できるようになります。
あとは、オンラインマニュアルに従って自動接続の設定をすれば、印刷中だけ自動的にデバイスを接続状態にすることができます。プリンター側の設定で、印刷指示に合わせた電源のON/OFFも可能。ほとんど本体のUSBポートに接続しているのと同じ使い勝手です。他のユーザーがデバイスを使用中のときは、その旨が表示されるだけでなく、使用中のユーザーに「切断要求」を送るなんて芸当も出来ます。なかなか便利です。
net.USBでは、プリンターだけでなくテレビチューナーなどを接続して使うことも出来るのだとか。余裕があれば、いろいろと試してみたいですね。
ところで、CG-FPSU2BDをつないだ状況のままでnet.USBクライアントだけをインストールして起動してみたところ、何とnet.USBクライアントがCG-FPSU2BDにつながったPIXUSを認識してしまいました。試してはみませんでしたが、おそらく問題なく印刷も可能です。
調べてみると、net.USBにも、CG-FPSU2BDにも、同じサイレックス・テクノロジー社の仮想USBポート技術が応用されているのだそうですね。なるほど、納得です。
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