いろいろと紆余曲折はあったものの、無事Windows 8 Proが私の自作デスクトップPCにインストールできました。電源スイッチをONにしてから、サインオン前のロック画面が出てくるまでたったの11秒。前評判通りの超高速起動です。
サインオン直後に出てくるのが、噂のスタート画面。タイル状にアイコンが並ぶインターフェースは、先にデビューしているWindows Phoneと共通のイメージです。タッチパネルの場合には左右にスワイプしながらスクロールさせて目的のアイコンを選ぶことになるんですが、マウス操作の場合はホイールを回転させることでスクロールできます。また、キーボードの矢印キーでもタイルを伝ってカーソルが移動できます。従来慣れ親しんできた操作体系からでもちゃんと操作できますし、それほど不便も感じません。
このスタート画面から起動する新しいUI(Modern UI)版のアプリは、基本的に全画面表示で動作します。また、画面を分割して片隅にもうひとつのアプリを並べておくことも出来ます。Windows 8が狙っているターゲットであるタブレットにとっては、たぶんこれが使いやすいスタイルだと思うんですが、デスクトップPCで使うにはちょっと違和感が残ります。もっとも、マウス+キーボードの操作体系でも、一応ちゃんと使えるようには出来ているようです。
アプリは、標準でニュースや天気予報などの情報系アプリ、写真や動画、音楽などを楽しめるメディア系アプリなどが用意されているほか、「ストア」アイコンから多くのものを無料でダウンロードすることが出来ます。従来のWindows用アプリではお馴染みのゲーム・マインスイーパーやソリティアも、ダウンロードで入手する新UI版アプリとして提供されています。演出がかなり派手にパワーアップしていますね。
スタート画面の左下隅にある、「デスクトップ」と書かれたタイルをクリックすると、見慣れた雰囲気のデスクトップ画面に切り替わります。従来のWindows互換のアプリケーション実行環境を、Windows 8の新UIから起動されるアプリのひとつとして用意している…という見方も出来ますね。もっとも、従来のWindowsデスクトップも、実体は特定のシステムフォルダの中身を表示してちょっと外見がカスタマイズされたエクスプローラーのひとつに過ぎなかったわけで、UIとしてどう見せるか?というだけの問題だったりします。
半透過のウィンドウ枠や、3次元表示の派手なタスクスイッチなどの凝った演出が特徴だったWindows Aeroは廃止され、よりシンプルな外見のインターフェースが採用されています。あえてシンプルにするのがカッコいい…ということはあるかも知れませんが、むしろ非力なタブレットなどで動作できるインターフェースを考慮したのかも知れません。
スタートボタンが画面から消えたことが話題になっていますが、キーボード上のWindowsキーを押せばスタート画面が表示されますから、デスクトップPCにとっては実質的に大きな違いはありません。先にも触れたとおり、デスクトップはフル画面表示された新UI向けアプリの中のひとつに過ぎない…と位置づけるならば、スタートボタンがないのは当然の設計ではあります。
デスクトップ用のアプリケーションは、従来通りデスクトップからインストーラーを起動してインストールされ、ショートカットアイコンはスタート画面に作成されます。見方によっては、スタート画面はデスクトップ全面に表示されるスタートメニューに代わるもの…と言えないこともありません。これまた、結局はどんな位置づけにするのか、さらに言うならどう解釈するのかで決まる話なんですけどね。
ちなみに、デスクトップは単にシンプルになっただけでなく、細かいところの改良もいろいろと加えられています。Office 2007以降のリボンインターフェースが、多くの組み込みアプリに導入されましたし、ファイルやフォルダーのコピー中ダイアログは、転送速度が時間軸上で見られるグラフで進行を確認できます。「ただの不便なWindows 7」なんて揶揄する声もありますが、より便利に使える、新しいWindowsとしても期待して良いと思います。
タブレット用のOSとして徹底的に練り直された…というよりも、従来とは全く別物になっているのが新しいUI。一方で、デスクトップ上では従来のWindows用アプリがほぼ同様の操作性で使えます。どちらが本当の顔なのか?というよりも、二つの顔を持っているんだな…と考えれば良いような気がします。
穿った見方をすると、新UIがコケたときのために、従来のデスクトップベースにいつでも戻れるように、保険を掛けてあるのかも?という気もします。そうなると、気になるのはMicrosoft社がこの新しいUIにどれだけ本気なのかですが、ここにどうも不安を感じてしまいます。というのも、新しいUIの肝になるはずのストア上でのアプリの品揃えが、あまりにも薄すぎるんです。
数自体の問題よりも深刻だと思うのが、従来のiPadやAndroidタブレット向けに出されているアプリと質的にほとんど差がないこと。私は、Windows 8のタブレット用OSとしての最大の強みは、ライバルよりも高いパフォーマンスが得られるプラットフォーム上で動くことで、それこそが圧倒的に先行しているiPadやAndroidタブレットと差別化し得るポイントだと考えていたんですが、これでは単に遅れて出てきただけです。
さて、Microsoft社はどんなつもりでいるのか…なんですが、こればかりはしばらく様子を見てみないことにはわかりません。当面は、ストアアプリを頻繁にチェックしてみようかと思っています。
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