3月も中旬にさしかかりました。私のように昨年家を新築した人たちにとって、この時期には是非やっておきたい手続きがあります。確定申告…もう少し正確に言うと、個人の所得税の確定申告ですね。昨年1年間の収入と支出にかかる様々な事項を集計し、所得を計算した結果を提出し、今年支払うべき所得税の金額を確定させる手続きで、毎年3月15日が提出の締め切りとなります。
私のように収入が月々の給料のみの場合には、基本的には所得税は給料から天引き(源泉徴収)された上で、年末調整で所得税額が確定されますから、他に何らかの特別な条件がない限り、改めて確定申告をする必要はありません。しかし、年間の支出内容によっては、確定申告をすることで所得税額が減額され、余分に支払った分が返してもらえることがあります。
現在の制度では、住宅を新築して入居した場合、翌年から10年間、住宅ローンの残高の1%分(最大限度額は建てた年や家の仕様・条件によって異なります)が所得税額から控除されることになっています。残額が3,000万円あれば、源泉徴収された所得税が最大30万円返ってくる可能性があるわけですから、これは申告しなくては損です。もっとも、源泉徴収された金額以上は返ってきませんから、私の場合は還付金額は最大限度額に遠く及びませんが。
確定申告は、住所地を管轄する税務署に提出するわけですが、直接窓口に出向いて書類を作成して提出するだけではなく、Webサイトから対話入力で書類を作成し、できあがった書類を郵送したり、さらには電子データのままオンラインで提出…なんてこともできてしまいます。いわゆるe-Tax(いーたっくす)のサービスですね。
私の場合は、今回確定申告をしたら、あとは今の仕事を退職するまで機会はないかも知れませんが、これから自営業者になる妻の場合、来年からは毎年確定申告が必要になるはずです。毎年のこととなれば、自宅に居ながらにして申告が完結し、添付書類の提出もしなくて良いe-Taxの電子申告が魅力的です。初めてやる場合には結構下準備が面倒なので、全然楽にはならない気がしましたが、せっかくなので体験してみよう!と思い、e-Taxによる申告の準備を進めることにしました。
e-Taxで所得税の電子申告を行う場合、オンラインで個人を証明する「電子証明書」というものを取得する必要があります。個人が利用できる電子証明書は、都道府県知事が証明する「公的個人認証サービス」というもので、これによる電子証明を受けるためには、住民基本台帳カード(いわゆる「住基カード」)を市町村で取得しなくてはなりません。というわけで、まずは住基カードを発行してもらうために区役所に足を運びました。
住基カードは個人を証明する重要なカードですから、作成するときには普通に区役所でいろいろな手続きをするとき以上に強固な本人確認を求められます。私の場合は、運転免許証がICカード式になっていましたから、免許証に登録されたパスワードを入力すればこれ一発でもOKだったんですが、記憶していたパスワードがなぜか通りません。仕方ないので、健康保険証も追加で提出して条件をクリアしました。たまたま健康保険証は携帯していなかったので、一旦家に帰る羽目になり、余計な時間を使ってしまいました。
住基カードが発行されると、次はその中に電子証明書のデータを書き込みます。区役所の端末で電子証明書のパスワードを設定すればできあがりです。30分ほどの手続きで、その日のうちに発行していただきました。ちなみに、手数料はカード発行に500円、電子証明書に500円の合計1,000円。お役所での手続きにしては結構高価な気がします。
住基カード(に記録された電子証明書情報)を自宅の端末に読み込ませるために、ICカードリーダー/ライターが必要になります。先日購入したRC-S380なら、住基カードへもアクセス可能。というよりも、まさにこの作業のために購入したわけです。こいつのせいで、一度Windows 8をリフレッシュする羽目にはなりましたが、その後は快調に動作しています。ちなみに、住基カードの持っている非接触ICカード機能は、FeliCaではなくNFCに近いもののようですね。
あとは、e-TaxのWebサイトでの説明に従ってセットアップ用プログラムをダウンロードして実行すれば、一連の設定が自動的に行われ、確定申告書作成コーナーが利用できるようになります。私にとっては、特に引っかかるポイントもなく、作業はスムーズに完了しました。
確定申告書作成コーナーでの入力作業は、すでにWebサイト上でのフォームへの入力に慣れている私にとっては、わかりやすい作業でした。画面の指示に従って、あらかじめ手元に用意した資料から数値や記述を拾って入力していけば、計算自体は自動的に行われ、提出するためのデータが完成します。
あとは、住基カードを読み込ませてデータに電子署名を行い、これを送信すればできあがり。あっけないくらい操作は簡単です。ちなみに、送信したデータに誤りがあることに気づいた場合には、3月15日より前であれば再度正しいデータを送信すればOK。それ以降だと「修正申告」という扱いになり、話は少々ややこしくなります。
ちなみに、e-Taxによる電子申告を行うと、1度だけ3,000円の税額を控除してもらえます。事前準備のためにかかった費用分を返してもらえる…ということになるわけなんですが、私の場合はすでに住宅ローン控除分で天引きされた所得税がすべて返ってきてしまう計算になりますから、この3,000円分の恩恵は受けられません。まあ、これは最初からわかっていたことですし仕方ありません。
これで申告の作業は終わり…とはならないんですね。住宅ローン控除を受ける場合には、条件をクリアしているか確認するための各種書類を郵送する必要があります。すでに手元にある書類のコピーが多かったんですが、土地や建物の登記事項証明書の原本が求められていたため、建物の表題登記のときに続いて、またしても静岡地方法務局浜松支局に足を運ぶことになりました。これでは、窓口へ出かける手間を減らせるはずのe-Taxの利点が全く生きません。
浜松支局の入っている浜松合同庁舎には、浜松西税務署も入居しています。税務署なら直接書類が提出できるのでは?というわけなんですが、残念ながら私の住所を管轄しているのは浜松東税務署。西税務署では書類は受け付けてもらえません。浜松駅南・砂山町にある東税務署までは、歩いても行けないことはなかったんですが、残念ながら時間はすでに夕暮れ時。浜松郵便局の窓口から書類を郵送して帰宅しました。仕方ないことはわかっているんですが、何とも損した気分です。
後で気がついたんですが、公的個人認証サービスの電子証明書があれば、登記関係の証明書もオンラインで交付申請をして、郵送してもらうことができるのだそうですね。仕事を休んでまで法務局に足を運ぶ必要はなかったことになります。せっかくならこちらも試してみればよかったですね。後悔しきりです。
こんな風にして、とりあえず私の確定申告書の提出は済みました。もっとも、まだ税務署から何か問い合わせの連絡はあるかも知れません。法務局とのやりとりの時もそうでしたが、どんな細かいところを突っ込まれるかわかりませんし、気は全然抜けませんね。ここまで十分にじたばた、ドタバタさせていただいたので、この先は穏やかに済んでほしいものです。
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