今週は、出張で東京に行ってきました。行き先は、六本木ヒルズの森タワー。夏休みに観光で行って以来9年ぶり、仕事で行ったのは初めての場所です。
森タワーと言えば、2003年にオープンした当時からIT関連企業が数多く入居していた、2000年代前半からの「ITバブル」の象徴的なスポットで、「(六本木)ヒルズ族」なんて言葉まで生み出しました。現在はかなり顔ぶれも変わっているようですが、グローバルに活躍する企業が軒を連ねているのは変わりません。だいたい、入居企業の案内表示が五十音順ではなくABC順で並べられているところからして、実にグローバルです。
私が伺ったのは平日の昼間ということで、周辺を歩いている人たちはそこで普段から働いている人たち、あるいはそこに仕事で訪れている人たちが多いことになるはずですが、髪型から衣服の着こなし、立ち居振る舞いに至るまで、どこをどう見ても自分とは全く違う世界で生きている人たちだと感じさせられます。何だか非常に肩身が狭くて、ちゃんと用事があって訪問しているはずなのに、建物に入るのがちょっと怖かったですね。
それでもひとつ嬉しかったのは、昼食のために入ったレストランで、スタッフの皆さんの応対がとても自然かつフレンドリーで、落ち着いた時間を過ごせたこと。見るからに田舎者だった私に優しくしていただいた…ということなのでしょうけど、これぞプロの接客!という仕事を見せていただきました。いつもの昼食の4倍以上、千数百円を払ったランチの価値は間違いなくありました。
東京メトロ日比谷線の六本木駅を降りて、「六本木ヒルズ方面」の案内に従って進むと、案内されるのは森タワー2階の入口前になります。2階ということは、その下には1階があるわけなんですが、1階にはバスやタクシーの発着場があり、環状3号線や六本木通りに接続しています。
しかし、隣接するテレビ朝日方面に歩いて行くと、1階だったはずの階層は、いつの間にか地面よりもずいぶん高いところになっています。地下2階まで降りてこないと地上に出ることはできません。意外に高低差がある地形の上に造られているんですね。
そう思って見回してみると、六本木ヒルズ周辺を取り囲む道路はみんなかなり急な坂道になっています。テレビ朝日の南側、ヒルズのど真ん中を駆け抜けるのはけやき坂。さらにもう一本南はさくら坂…となっています。さらに近辺を見ていくと、近所には乃木坂、その隣町は赤坂…と、もう「坂」だらけです。
改めて考えてみると、一昨年訪れた代官山、さらにもっと昔に訪れた自由が丘、あるいは娘を抱っこしながら歩いた渋谷と、意外に東京には坂の印象的な場所が多いです。「山」「丘」「谷」なども、「坂」と同様に地面に起伏があってこそ存在するもの。「名は体を表す」と言うわけですが、東京の地面は意外にデコボコなようです。
近年、東京では再開発が各地で進められているわけですが、「ヒルズ(丘)」を冠するプロジェクトがたくさんあるのに気づきます。六本木にあやかりたい面もあるとは思うんですが、これも起伏の多い地形ならではなのでしょう。そういえば、そもそも都心を一回りする環状線からして「山手線」でしたね。
地面の起伏は、Google Mapsで鳥瞰図表示にするだけでも大まかな雰囲気は掴めますが、もう少しわかりやすく見せてくれるのが、日本の地図関係行政の総元締めである国土地理院が提供している「地理院地図3D」というWebサービス。全国どこでも、指定した範囲の地形を3次元モデルで表示して、地図や航空写真を貼り付けた状態で、マウスでぐるぐると回転させながら好きな角度で見ることができます。
地理院地図3Dで東京都心の3Dマップ(かなり動作が重いので注意)を表示してみると、皇居以西の地形が面白いくらい起伏に富んでいるのが分かります。この画面からは、垂直方向の倍率を拡大して、起伏の状況を強調しながら見ることができます。さらには3Dプリンター用のデータを出力することも可能で、これを活用すれば博物館などで展示しているような立体模型まで作れることになります。
ちなみに、国土地理院では「3D」の付かない「地理院地図」というサービスも提供しています。日本国内のみとはいえ、Google Mapsと同じように好きな場所の地図を見ることができますが、地図の色調が選べたり、いろいろな時代の航空写真を切り替えて表示できたり、土地利用や災害危険箇所等のテーマ図を透明度を指定して重ねられたり…と、相当本格的なGIS(地理情報システム)になっています。地図上で右クリックすると、その地点の標高を0.1m単位で表示する機能まであります。先に紹介した3D化も含め、お役所らしからぬ、かなり「とんがった」Web活用を推進していますね。Googleに負けずに頑張ってほしいものです。
東京に限らず、伊香保温泉の石段、ナイアガラの滝などスケールはいろいろありますが、世界中の各地に地面の起伏が印象的な風景を作り出している場所があります。これと比べると、我が家周辺はほぼ真っ平ら。東京の坂のある風景が気になったのは、そんな環境も影響していたのかも知れません。
ちょっと寂しいな…とも思うわけですが、平らなおかげで徒歩や自転車での移動はあまり苦になりません。観光地ではありませんし、便利なのだからこれでいいのだ…と思っています。もっとも、年間を通して風が強いのも、平坦な地形が災いしていそうなので、これは辛いところなんですが。
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