10月1日から、楽天市場などの楽天のサービスで共通に使われているポイントサービス・楽天スーパーポイントが、リアル店舗でも使えるようになりました。「Rポイントカード」というカードが発行されて、加盟各店の窓口でポイントを貯めたり使ったり出来る他、ネット上の楽天スーパーポイントと紐付けることが出来ます。また、スマホ用アプリで表示させたバーコードを店頭で見せると、Rポイントカードと同じように楽天スーパーポイントに加算できる仕組みも用意されています。
Rポイントカードの加盟店はコンビニのサークルKサンクス、ミスタードーナツやPRONTO、百貨店の松坂屋や大丸、出光興産のガソリンスタンドなど、参加業者数はまだそれほどでもないものの、意外に多岐にわたります。もっとも、既に40,000以上とされる楽天市場に出店している店舗が利用しているわけですから、この意味では参加業者数はとんでもない数になります。
私も早速Rポイントカードのお世話になっています。先日はサークルKで弁当を買ったときにRポイントカードアプリのバーコードを店員さんに見せてポイントを貯めましたし、ミスタードーナツでもドーナツを買い込んでアプリからポイントを貯めました。ただし、注意しなくてはならないのが、アプリのバーコード提示でポイントを貯められるのは加盟店全てではないこと。アプリ非対応の加盟店では物理カードが必要になります。まだ私は物理カードは持っていませんが、1枚は持っておいた方が良いかも知れません。
このようにして、複数の店舗で使えるポイントカードは他にもあります。古くはグリーンスタンプやブルーチップの頃からある考え方ですが、最近ではTポイントとPontaの動きが目立ちます。
Tポイントは、当初はTSUTAYAのレンタルや物品購入で貯まり、TSUTAYAのみで使えるポイントでしたが、現在は実に幅広い業者との連携が進んでいます。ネット上では、膨大な利用者を抱えるYahoo!と連携しているのが大きいですね。Yahoo!サービスのポイントはTポイントに完全移行され、最近ではソフトバンクの携帯電話利用でもTポイントが貯まるシステムになっています。
一方のPontaは、2010年に三菱商事が子会社を立ち上げて、当初から共通ポイントカードとして始まったサービスです。先行して共通ポイント化を進めてきたTポイントに対して、相当な対抗意識を燃やしていたようですね。当初からローソンやゲオと組んで、大量の利用者確保に成功しました。実際に、Tポイントよりは後発ながらも、既に同等レベルの利用者数をつかんでいるようです。
この2社の競争に割って入ろうとしているのがRポイントカード。かなり後発になるわけですが、こちらも当初メンバーにサークルKサンクスやミスタードーナツなど大量のチェーン店舗を持つ業者が加わっているので、潜在的な利用想定者数は多いと考えられます。今後、さらに加盟店が増やせるかどうかがポイントになりそうですが、既にTポイントやPontaが業者の囲い込みを進めてきているところで、容易ではなさそうな気がします。
もっとも、ネット上で既に大量の楽天会員がいるのは強みになるはずです。あとは、それをどれだけリアル店舗に引っ張ってこられるか?でしょうか。ポイントカードの利用手続きやアプリの使用方法が、少々面倒でわかりにくいのが難点。もう少し整理する必要がある気がします。カード、アプリともに、タッチで使える環境が用意できると便利そうなんですが、iPhone用アプリを用意しなくてはならない状況では、ちょっと難しかったのでしょうか。
Tポイント、Ponta、Rポイントカードそれぞれの加盟店リストを見ると、様々な業界でライバル関係にある業者が各陣営に別れて参加していることがわかります。先にもちらほら名前は挙がっていましたが、例えば、コンビニはファミリーマート・ローソン・サークルKサンクス。ガソリンスタンドはENEOS・昭和シェル・出光…といった感じです。有力なプレイヤーを自分のポイントカードに確保して、より多くのユーザーを囲い込みたいという意図なのでしょう。
ただし、顔ぶれを見ると、やっぱり後発のRポイントカードは業界シェアで下位の業者と組まざるを得なかったのが見えてきます。仕方がない話ではあるのですが、今後提携業者を増やしていく中でも苦労が続くのかも知れません。もっとも、各ポイントカードともそうした縛りを掛けているわけではなく、同業の複数社が参加している例もたくさんあります。
逆に、より多くのお客さんを呼び込むために、単一の店舗が複数のポイントサービスと提携する…という手もありそうですね。そのうち、店頭で「どのポイントを貯めますか?」なんて聞いてくる店が増えていくのかも知れません。こうなってくると、もう囲い込みという論理は通用しなくなります。
ちょっと面白い立ち位置なのは、3種のポイント全てを移行できる【訂正:楽天Edyの利用額に応じて各ポイントを貯められるだけで、楽天スーパーポイント以外は移行できません。しかし、先に触れた「貯めるポイントを選べる」環境を提供している点ではやっぱり面白いですね】電子マネーサービス・楽天Edy。それぞれのポイントサービスが使える店舗全てでEdyを使えるわけではないのがややこしいところではありますが、上手く使えば3種のポイントを一元的にまとめられるわけです。さらにややこしいのは、Edy自身がRポイントカードと同じ楽天グループの一員であるところ。とはいえ、現状からRポイントカード以外と距離を置く方向に進んで囲い込みを計ろうとしても、利便性が低下して不評を買うばかりでしょうから、連携は維持していくのでしょうね。
そもそも、店舗が発行するポイントサービスは、顧客を自店舗に再び呼び寄せる囲い込み戦略のための道具だったはずなのですが、これだけ連携が進んでいくと、かなり様相が異なってきます。そもそも、囲い込みと連携は相容れない部分がある発想です。特に最後発のRポイントカードが何を考えてこのタイミングで参入したのか、ちょっと不気味ですね。もしかすると、ポイントの付与と還元にとどまらない、さらなるプラスアルファを考えているのかも知れません。それが何なのか?は、ちょっと思いつきませんが。
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