もうかなり前の話になりますが、12月7日に、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入が成功した…との発表がありました。既に金星の鮮明な画像も何枚か送られてきています。今後は軌道の微調整や機器の点検を行った後、春頃から本格的な観測が始まるようです。
ちょうど5年前の2010年12月に、あかつきはメインエンジンのトラブルにより金星周回軌道に入り損ない、そのまま太陽の周りを回り続けることになりました。普通なら計画失敗、哀れあかつきは宇宙の藻屑に…となるところなんですが、使えなくなったメインエンジンの代わりに姿勢制御のエンジンを使うというウルトラCで、今回はまさかのリカバリーを成功させています。あきらめるしかなさそうな状況で、様々な可能性を検討し、しぶとくチャレンジを続けていた運用チームの皆さんには頭が下がります。
この話を聞いて思い出さずにはいられないのは、小惑星探査機「はやぶさ」のこと。絶体絶命のアクシデントをいくつも乗り越えて、人類の作ったモノとしては初めて小惑星まで行って戻ってきたはやぶさの物語は、単なる機械の運用記録とは思えない、感動の涙を呼びました。
はやぶさにしても、あかつきにしても、過酷な状況、様々なアクシデントに対応できるような衛星そのものの能力はもちろんのこと、絶望的と思えるような失敗があっても、決してあきらめずにまた立ち上がろうとする、日本の技術者たちのある意味「往生際の悪さ」が最大の強みになったのではないかと思います。単に成功したこと以上に、そんな人間のココロの力を確認できたことが嬉しかったですね。
あかつきの金星軌道投入成功のニュースのほんの数日前・12月3日には、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球スイングバイを成功させて、小惑星「リュウグウ」へ向けた旅を加速させています。いくつもの失敗、そしていくつものあきらめない再挑戦の積み重ねの上に、日本の宇宙技術は着実に進歩しているようです。
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