無事SSD換装に成功した我が家のデスクトップPC・Pavilion Wave 600。新しいSSD・Samsung 960 EVOは、そのハイパフォーマンスのわりには、リーズナブルなお値段で入手できることで有名です。…となると、やっぱりそのスピードを測ってみたくなります。
ストレージへのアクセス性能を見るベンチマークで、個人でも無償で手軽に入手できるものといえば、CrystalDiskMarkがいちばんメジャーではないかと思います。このCrystalDiskMarkが、Version6.0.0でデフォルトの計測項目をSSD比較を主眼に置いたものに一部入れ替えました。以前のバージョンと同じ設定に変更もできるわけですが、今回は新旧SSDで共に6.0.0を走らせて比較してみることにしました。
CrystalDiskMark 6.0.0(Data Size: 1024MiB、数値単位はMB/s ; 以下同じ)
SSD Model | 旧(SM951) | 新(960 EVO) |
Sequential Read (Q= 32,T= 1) | 1770.235 | 3043.207 |
Sequential Write (Q= 32,T= 1) | 361.603 | 1638.141 |
Random Read 4KiB (Q= 8,T= 8) | 577.721 | 1059.971 |
Random Write 4KiB (Q= 8,T= 8) | 34.702 | 1132.369 |
Random Read 4KiB (Q= 32,T= 1) | 435.805 | 481.793 |
Random Write 4KiB (Q= 32,T= 1) | 30.734 | 413.483 |
Random Read 4KiB (Q= 1,T= 1) | 43.296 | 43.778 |
Random Write 4KiB (Q= 1,T= 1) | 97.937 | 158.401 |
数値を見れば、明らかに別次元にパワーアップしているのがわかります。旧SSDの書き込み関係の成績は、もっと出ても良いはずなんですが、これは空き容量がほとんどなかったことも影響しているかも知れません。今どきのSSDは、保存しているデータ量には無関係に、常に空き容量や未使用領域も含めた全体にアクセスして性能を確保しようとする設計になっている(これを説明し始めると大変ですし、素人の私が説明するとボロが出そうなので割愛しますが)関係で、空き容量がどのくらいあるのかがパフォーマンスに大きな影響を与えます。
Windows 10は標準でNVMeに対応し、Microsoft社がデバイスドライバーを提供しています。おかげで、インストールの際に別途デバイスドライバーを用意する必要がありません。
しかし、Samsung社では同社のNVMe対応SSD用に自社でもデバイスドライバーを提供しています。コレを使うことでパフォーマンスが向上する…という話も多く聞かれたので、同社のWebサイトからダウンロードして試してみました。
Device Driver | Microsoft | Samsung |
Sequential Read (Q= 32,T= 1) | 3043.207 | 3079.577 |
Sequential Write (Q= 32,T= 1) | 1638.141 | 1660.073 |
Random Read 4KiB (Q= 8,T= 8) | 1059.971 | 1565.707 |
Random Write 4KiB (Q= 8,T= 8) | 1132.369 | 1234.470 |
Random Read 4KiB (Q= 32,T= 1) | 481.793 | 507.391 |
Random Write 4KiB (Q= 32,T= 1) | 413.483 | 472.017 |
Random Read 4KiB (Q= 1,T= 1) | 43.778 | 47.914 |
Random Write 4KiB (Q= 1,T= 1) | 158.401 | 200.362 |
見たところ、シーケンシャルの読み書きはほとんど変わりませんが、ランダムアクセスの能力がやや向上しているようです。しばらく使ってみて問題なければ、Samsung製ドライバーで行きたいと思います。
それにしても感心するのが、960 EVOがきっちりとカタログスペックに近い結果を返してくること。別にこのアプリに限ってのことでなく、各ネットメディアの実施したレビューで、様々なベンチマークを走らせても同様の好成績です。GPUなどだと特定のベンチマークやゲームに照準を合わせてパフォーマンス向上を図る…なんてこともあったりするようですが、960 EVOの速さはどうやらホンモノのようです。
とはいえ、このくらいのレベルになると、もう速度差を体感するのはかなり困難ですけどね。Windowsやアプリの起動がこれまでよりも速くなったような気はしなくもありません。
Samsung社のWebサイトでは、NVMe対応デバイスドライバーの他にも、「Samsung Magician」というSSD管理アプリを提供しています。これも合わせて入手しました。
Magicianからは、寿命の判断に重要な目安となるこれまでの総書き込み量の確認や、ファームウェアの自動更新、パフォーマンス計測など、SSDを使っていく上で気になるいくつかの作業ができますが、ひとつ押さえておきたいポイントになるのが、「オーバープロビジョニング」の設定です。
オーバープロビジョニングとは、SSD上にあえて使用しない領域を確保しておくこと。当然、その分だけ使える容量が目減りしますが、この「未使用領域」は、先ほどもちょっと触れたとおりパフォーマンスの向上に活用できると共に、寿命延長にも効果があります。もともと、大抵のSSDにはオーバープロビジョニングとして確保されている容量があり、そこは私たちには見えないようになっていますが、このように明示的に追加指定できる仕組みを用意しているSSDもあります。
単にWindowsの「ディスクの管理」で未使用領域を残しておいても同じ話のような気もしますが、こうしてUIが設定されていた方がわかりやすいですね。とりあえず、推奨値として示された、全体の10%を確保しておきました。
ちなみに、オーバープロビジョニングを設定した後で、改めてCrystalDiskMarkを走らせてみましたが、誤差程度の差しか出ませんでした。現状では空き容量がまだ余裕たっぷりなので、差は出ないのかも知れませんが、SSDが埋まってきたら差が出てくるのかも知れません。
ひとつ気になっているのが、960 EVOの動作中の温度。Samsung Magicianでは、SSDの健康状態を示すS.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)情報を参照できるのですが、いつ表示しても「温度」の項目が「54」と表示されたまま変わりません。ベンチマークで負荷をかけても全く数値が変わらないのは、なにか変です。
同様にS.M.A.R.T.情報が参照できるCrystalDiskInfoで確認してみたところ、どうやら40度C台で変動してはいるようです。しかし、この時期にそこまで温度が上がってしまうようでは、夏場の運用が心配なんですが…。良かれと思って入れた熱伝導シートが、筐体内の空気の流れを邪魔している可能性もありますし、このあたりは改めて検証する必要がありそうです。
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