ここ数年、我が家には、「お宅のインターネット利用料が安くなるお知らせです」という電話が、様々な業者から頻繁にかかってきます。基本的には自宅の固定電話にかかってきますから、私ではなく家族が受けることがほとんどです。しかし、話を聞いてもよくわからないし、インターネットのことは主人(つまり私)に任せているので、改めて電話してくれ…といって電話を切っているようです。
そして、律儀に私のいる時間に改めて電話を掛けてくる方も結構いらっしゃいます。わざわざ私を狙ってきてくださっているのだから…と、一応電話には出るわけですが、正直なところかなり困った業者ばかりです。
彼らの話は一様に回りくどく、実にイライラするわけですが、基本的にはどの業者も同じような話を持ってきています。現在NTT東日本/NTT西日本のフレッツ光回線を利用している家庭を対象に、「工事はなく、簡単な手続きだけで月々の利用料をお安くできます」という話です。
どうやって安くするのか?ですが、これは2015年から始まった「光コラボレーションモデル(以下「光コラボ」)」という仕組みを使ったもの。従来、各家庭に直接フレッツ光回線を提供してきたNTT東西日本ですが、回線を他の業者に卸売りし、各業者がこれを再販する…という形態も始めたわけです。
再販業者は、プロバイダー接続料金などとセットにして、企業努力で従来の光回線+プロバイダー接続料金の合計よりも安価な利用料金を設定することができます。料金の安さだけでなく、料金の請求も、インターネットの不具合問い合わせ窓口も再販業者に一本化できて…と、いろいろな宣伝文句を並べ、「メリットばかりでデメリットはない話です」なんて言う業者もあります。
彼らの言うことは嘘ではないのかも知れませんが、しかし、実はこの売り文句にはちょっとした落とし穴があります。NTTは元は電電公社という公共企業体であり、現在でも国内有数の巨大企業。これと比較したときに、電話で飛び込み営業してきた、聞いたことのないような名前の会社が、果たして信用できるでしょうか?。そんな会社に「はい!全てお任せします」とは、私にはとても言えません。
特に、サポート体制でNTTグループに勝てる企業があるとはまず思えませんからね。そもそも、フレッツ光の部分に問題があった場合は、再販業者からNTTに対応を依頼することになるわけで、ただでさえ手間と時間は余分にかかるようになります。総合すると、光コラボへの切替は、従来よりもサービスのレベルが下がる可能性の方が遙かに高いと考えています。
もちろん、再販業者にもいろいろなレベルの企業があるわけで、例えば国内最大シェアを持つ携帯電話事業者のNTTドコモや、大手インターネットプロバイダーであるOCN、Yahoo! BB(携帯電話のソフトバンクとして数えるべきか)、So-netなども、光コラボでのフレッツ光回線の提供をしています。こうしたもともと実績のある業者のサービスなら、失敗は少ないのかも知れません。
次々にかかってくる営業電話を1分ほど聞いては、「光コラボレーションのお話ですね。間に合ってますから」と撃退していましたが、さすがにちょっと胸が痛んできたので、自分でも光コラボへの乗り換えを検討してみました。
現在我が家のフレッツ光回線でプロバイダーに使っているのはBIGLOBE。彼らも大手プロバイダーの一角として、光コラボの「ビッグローブ光」を提供しています。サービスの提供価格自体は、他の大手業者とそれ程変わらないレベルなのですが、彼らの立ち位置ならではの独自の割引があるのが特徴です。
現在MVNOとして格安SIMも提供しているBIGLOBEは、ビッグローブ光を契約するとSIMの月額料金を割り引いてくれます。私もBIGLOBEのSIMは2枚使っていますから、これはもちろんメリットになり得ます。
しかし、それ以上に大きいのが、ビッグローブ光をauのスマートバリューの適用回線にして、妻のiPhone 8 Plusが月額料金の割引を受けられることです。昨年KDDIの子会社になったBIGLOBEだからこそ可能な特典なんですが、フレッツ光回線でスマートバリューが適用可能な回線は相当珍しいでしょう。
…と、そんなコトを考えていたところに、たまたまBIGLOBEから「ビッグローブ光に乗り換えませんか」という営業の電話がかかってきました。実はBIGLOBEの光コラボ勧誘にも「強引だ」との評判を聞いています(先の「メリットばかりでデメリットはない話」の出所も彼ら)が、せっかくのタイミングなので話を聞いて、いくら考えてもデメリットらしきものをツッコめなかったので、試しにやってみるか…と手続きを進めることにしました。
我が家の場合、フレッツ光のインターネット接続に加え、ひかり電話を1回線2番号で利用していますが、これらのサービスを全てそのまま、「転用」という手続きでビッグローブ光に移管することが可能です。これが「工事はなく、簡単な手続きだけで」という説明につながってきます。
とはいえ、この転用手続きに関しては、私自身がNTT西日本から「転用承諾番号」の発行を受ける必要があります。携帯電話の同番移行のときにもらうMNP予約番号みたいなものですね。これも、BIGLOBEの担当から電話が来て、そこからNTT西日本に電話がつなげられる…という流れで行われました。
ここで、NTT西日本からいくつか説明があったのですが、その中でどうしても聞き流せないポイントがひとつありました。それは、「転用は一度限り」ということ。つまり、今回ビッグローブ光に転用する手続きを行うと、次に他の光コラボ業者に乗り換えたり、NTT西日本のフレッツ光に戻したりしようとしても、そのときは転用の手続きはできず、「解約→新規契約」という流れになります。
インターネットはそれでも別に困らないのでしょうが、問題はひかり電話の電話番号が変わってしまうこと。自宅の番号だけならともかく、店舗の番号が変わることは大きなデメリットになります。…妙な営業電話が一旦断ち切れるのはメリットでは?という話もありますが(笑)。
とりあえず転用承諾番号の発行だけは受けて、直後にふたたびBIGLOBEからかかってきた電話に対して、改めて「転用は一度限り」の扱いについて確認しました。NTT西日本からの説明とほぼ同じ内容の説明を受けて、「それならこの話は進められません」と、ハッキリお断りしました。
ビッグローブ光から他に切り替えさえしなければ問題ないのでは?という話もありますが、残念ながらこの会社に今後一生のインターネットをお願いして心中する覚悟はできませんでした。BIGLOBEはもともとはNECが作った会社で、その後いろいろ形を変えながら、何とか現在まで生きながらえています。特に、KDDIの子会社となったことで、NTT系のサービスが継続されるかどうかも不安要素があります。少なくとも、NTT西日本より安定したサービスが長期的に保証されるとはとても思えません。
これからも、ときどきは「お宅のフレッツ光回線が…」という営業電話はかかってくるのでしょうけど、これまでどおり「光コラボのお話ですか?間に合ってますので」とお断りしようかと思います。その方が、お互いに時間を無駄に使わなくて済みますからね。もっとも、今後何かしら仕組みが変わったりしたら、改めて検討の対象にはなるかも知れません。
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