最強のライバル

ちょっと前の話になりますが、7月9日(現地時間)に、Microsoft社から新しいWindowsデバイス・Surface Goが発表されました。既に予約が始まっていて、8月には市場に投入されるのだそうです。

Surfaceシリーズは、Microsoft社が直々に市場に投入している、フル機能のWindowsが動作するタブレットで、純正のカバー兼用のキーボードと組み合わせると、いわゆる2in1的な利用もできるようになっているのが特徴ですね。Surface Goは、1,800×1,200ドットの10型画面を持ち、本体重量が500g強という、これまでで最小、最軽量のSurfaceとなります。

また、低価格であることも特徴のひとつで、アメリカでは本体価格が399ドルからのラインナップとなっているそうです。また、Wi-FiだけでなくLTEも内蔵したワイヤレスWANモデルが、年内には投入されることが決まっています。

日本マイクロソフトでも、8月28日から発売することが発表されています。一般向けモデルが64,800円と、為替レートを考慮すると高いのでは?ということが話題になっていましたが、これはOffice Home & Business 2016がバンドルされるためのようです。Officeなし(OSはWindows 10 Proになる)の法人向けや教育機関向けは50,000円前後ということですから、それ程理不尽な価格設定でもありません。ただ、既にOffice 365を利用している私のような立場からすると、Officeを外して安く買える選択肢は欲しい気がします。


10型の高解像度画面を持つタブレットで、専用のアクティブペンが使用可能。LTE内蔵モデルも提供予定で、戦略的な価格設定…ということで、Surface GoはiPad(無印9.7やPro 10.5あたり)の対抗として捉えているメディアが多いようです。確かに、今羅列したようにスタイルとしては類似した部分が多く、納得できる話ではあります。

iPad 9.7(2018)とCF-RZ4

しかし、実はSurface GoにはiPadよりももっと多くの共通点を持つ「ライバル」が存在します。レッツノートRZシリーズは、1,920×1,200ドットの10.1型タッチパネル画面を持つ2in1機です。本体重量は700g台中盤ですから、Surface Go+純正タイプカバーの合計とほぼ同じ。OSは同じWindows 10ですし、LTE内蔵モデルもありますし、Intel CoreアーキテクチャーのYシリーズプロセッサーを搭載しているのも同じです。

Microsoft社(あるいは日本マイクロソフト)がどう考えているのかはわかりませんが、パナソニックから見ると、これまでオンリーワンと言っても良い存在だったレッツノートRZに、とんでもない強力なブランドを持ったライバルが殴り込んできた…と言って良いでしょう。

しかも、現行機種のCF-RZ6と基礎体力が劇的に変わるわけでもないのに、Surface Goの価格は、タイプカバーを加えてもCF-RZ6の3分の1程度。分離合体型か360度フリップ型かというそもそものデザインの違い、頑丈な筐体設計などの差はあるのかも知れませんが、さすがに20万円近い価格差をどう説明するのか?という話になってきそうです。少なくとも、現状のCF-RZ6にそこまでの差を説明しきれるだけの力はないような気がします。


そうなると、パナソニックとしては本体価格を下げて価格競争に加わるのか、それとも新たに何らかの明確に差別化できるポイントを打ち出していくかということになります。おそらくレッツノートが採るべきは後者…というよりも、ブランドイメージを守るにはそれしか選びようがありません。

さすがにこれ以上軽量化するのは困難でしょう。となれば、同レベルの重量でより高性能なCPUやGPUを載せたり、Thunderbolt 3ポートを装備したり…というのが順当なところかな?と思っています。あとは、狭額縁設計を追求して、同じ縦横サイズの筐体により大きな画面を載せるというアプローチも考えられます(Surface Goはここにはあまり無理をしていませんよね)が、狭額縁化は筐体の強度確保に不利に働くはずですし、どこまでできるのかは難しいかも知れません。


…と、そんなことを書いたところで、インプレスのPC Watchに山田祥平氏がコラムを上げているのを見つけてしまい、原稿を書く気力が少なからず萎えてしまいました。な~んだ、同じような記事がもう出てるじゃん。しかもずっと緻密で、独自取材もあって、視野も広い(苦笑)。Surface Goを、オンリーワンの世界にいたレッツノートRZの前に、真正面から殴り込むライバルである…と位置づけている点では、私も全く考えは同じです。

モバイルPCの「フットプリントの小ささ」に価値を認めている点といい、この方のモバイルに対する考え方は、私の思いにかなり近い部分があると常々感じています。もっとも、さすがに24型クラスの液晶ディスプレイを「モバイル」と称して持ち歩くほどのセンスは持ち合わせていませんが(笑)。

パナソニックの皆さんは、Surface Goに対抗する以前の問題として、10型クラスのモバイルPCの「次にあるべき姿」を検討し、そろそろほぼ完成させているところではないかと思っています。市場の流れは「大画面モバイル」が主流になりつつありますが、初代レッツノートの頃からこのクラスの歴史を20年以上守り続けてきた皆さんが、どんな形を見せてくれるのか。この夏から秋は、それを気にしながら待つ日々となりそうです。



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