このところ、毎週末にこんなタイトルを掲げて、レッツノート・CF-RZ4の次の私のパートナーとなるデバイスを探し続けています。対抗馬と考えられるものをいくつか並べてはきたものの、なかなか代わりになるべきものは見つからず、これは年明け早々に出てくるであろうレッツノートの2019年冬春モデルに期待するしかないのか?という思いも頭をよぎっていたところですが、ここに来てなかなかインパクトの強いライバルが登場してきました。
火曜日・11月6日に、富士通がモバイルノートパソコンの新製品を発表しました。外観を見る限り、これまでとあまり変わったようには見えないのですが、問題はその中身。今回のラインナップで、店頭販売モデルの最高峰に位置づけられた「FMV LIFEBOOK UH-X/C3」は、その重量がなんと698gしかありません。
その「13.3型画面のノートPCで世界最軽量」となる軽さの中には、妙な妥協はない、最高峰を謳うのにふさわしいスペックを収めています。メインプロセッサーはIntel Core i7-8565U。コードネーム「Whiskey Lake」と呼ばれてきた最新版で、クアッドコアのCPUは最大4.6GHzというとんでもないスピードで回ります。Wi-FiやBluetoothまで統合されたPCHも、この軽量化には基板の小型化という面で貢献していそうです。USB 3.1 Gen2のType-Cポートを持ち、10Gbpsの通信が可能になったのも、おそらくWhiskey Lakeのおかげです。
メインメモリーはデュアルチャネルでアクセス可能な8GB、ストレージは512GBのSSD。Windows Hello対応の顔認証用カメラを装備し、11.5時間(JEITA 2.0基準)のバッテリー動作時間を確保しています。以前は、最軽量を狙うために妙なところでスペックをケチった製品もあったような気がしますが、今回はそんな無理をしている雰囲気は感じません。もっとも、下位モデルや直販のカスタマイズモデルではかなり重量が増えてしまうようで、世界最軽量を目指すために徹底的にシェイプアップした特別仕様ではあるようです。
余談ですが、UH-Xの「X」は「ten」と読むそうです…どうも日本にはApple信者がいろんなところに潜んでいるようですね。
「世界最軽量」という言葉には並々ならぬ執念を燃やすPCメーカーを、私は少なくとも2つ知っています。ひとつは、このLIFEBOOK UHシリーズと同じ土俵で直接世界最軽量争いをしてきたNECです。互いに相手の新製品発表を睨みながら、世界最軽量の座を守るためにギリギリの熾烈な攻防を繰り広げてきた姿は記憶に新しいところです。
彼らもつい先日、「13.3型の2in1として世界最軽量」であるLAVIE Hybrid ZEROを、第8世代Coreプロセッサー搭載モデルにリニューアルしたところですが、プラットフォーム以外の基本的な仕様は変えていません。特に、USB Type-Cポートが装備されていないあたりは、VAIO S11やCF-RZ6と同様の古さを感じてしまいます。
両者ともレノボの傘下に入り、この争いが「内輪の争い」になってしまった今、これまでのような切磋琢磨が続いていくのかは未知数の部分もありますが、それぞれが日本のパソコンの一時代を築いた両社の技術のぶつかり合いは、今後も見てみたいところです。一方で、それらが融合することでどんなモノが生まれるかも見てみたい気がしますが。
そして、もう1社は我らが(?)パナソニック。レッツノートの開発チームの皆さんも、妙な限定条件をいろいろ付けながらも、「世界最軽量」を名乗ることに全てを賭けてきたように見えます。あえてガチンコ勝負は避けてきた感もありますが、軽量化を常に先導し、RZシリーズで「700g時代」を切り拓いたプレイヤーのひとりでもある彼らが、「600g時代」への突入を横目で見ながらスルーする…ということはとても考えられません。
ちょうど、シリーズでは最軽量のRZシリーズが刷新の順番を迎えています。このクラス自体が継続するかどうかはともかく、「世界最軽量」に強くフォーカスした何かが出てくることは、もはや不可避でしょう。自分で買うかどうかはともかく、何が出てくるかは楽しみにしています。
富士通の発表に先立つこと1週間。10月30日(現地時間)にニューヨークでApple社が新しいiPad Proをお披露目したときに、ちょっと気になるプレゼンがありました。スライドのタイトルは、「iPads vs notebooks worldwide sales」。iPadは全世界で年間4,420万台売れているそうで、これは他のどのノートブック型のPCよりも多いのだそうです。
スライドでは、比較対象にHP、Lenovo、Dell…とワールドワイドなそうそうたるサプライヤーたちが並んでいる中、片隅にMicrosoftが記載されているのが面白いところです。彼らの実績はほんの30万台ほどで、数の上では全く問題にならないはずなのですが、Surfaceシリーズはある意味iPadと最も激しく競合している製品ですよね。意識はしているはずです。
それはさておき、自身が作り出したと言ってもよいタブレット端末の市場が縮小傾向にある中で、iPadが「自分はパーソナルコンピューターだ」と宣言したというわけで、これは実に劇的な変化です。つい昨年、テレビCMで「What’s a computer?」なんて台詞を吐かせ、「君たちとは違うのだよ」とでも言いたげだったあの会社は、いったい何処に行ってしまったのやら。
確かに、今度のiPad Proはさらに性能の上がったA12X Bionicプロセッサー、Macと共通の周辺機器が使えるUSB-C(Type-C)端子、フルスペック版のAdobe Photoshopアプリの提供計画など、巷の「パソコン」たちとまともに闘おうとする態勢を整えてきたように見えます。Macの世界とは異なり、iPadを看板に立てるなら、そこは数の論理を自らに有利に生かせるフィールドです。少なくとも、今までとは違う勝負が展開されるはずです。
今のところ、iPadで普段の仕事をこなしてしまおう!とはとても思えない私ではありますが、この世界、何がどう作用して劇的に変化するかわかりません。注視しておく必要はあると思っています。
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