先日購入したNintendo Switchは、本体底面にUSB Type-C端子を1ポート持っています。これは、Switchドックと接続するときに使われる他、ここに直接ACアダプターを接続して充電することもできるようになっています。
任天堂自身は「USB Type-C」と言っているだけで、詳細な規格等については説明されていませんが、ドックに接続したときにはフルHDの映像とサラウンド音声を出力しなくてはなりませんから、相当な速度が必要になります。いちばんシンプルなのは、HDMIの信号をそのままUSBから通してしまうHDMI Alt Modeを持っていることなのですが…どうやっているのか、ちょっと興味ありますね。
そして、充電についてはどうやらUSB PDを使っているらしい…ということは聞いていました。レッツノート・CF-SV8の関係でUSB PDについて調べたときに、Switchの名前を結構見かけていましたからね。とはいえ、話はそんなにシンプルなものではないようです。
Switch一式に同梱されているACアダプターの仕様を見てみると、出力は「5V・1.5A」と「15V・2.6A」の二本立てになっています。5V、15Vとも、USB PDがサポートしている電圧ではあります。しかし、このクラス(15V×2.6A=39Wですね)のACアダプターならUSB PDとしては必須である、9Vの出力には対応していません。
このため、このACアダプター自身を「USB PD対応」と呼ぶべきではなく、巷では規格に完全対応でないことを批判している記事を見かけます。とはいえ、そもそも任天堂自身がUSB PD対応を謳っておらず、充電には純正品を使うようにアナウンスしているのですから、そこはとやかく言うべきではない部分のような気もします。既に巷に流通しているUSB PDの関連部品を活用して低コスト化した上で、クローズドに運用したって良いわけで。
一方、入力側もかなり特殊な仕様になっているようです。ACアダプターを、電圧・電流計を挟んで本体に直接つないでみると、どうやら15V・1Aを基本に受け入れています。この程度の電力を供給する際には、USB PDだと5V・3Aや9V・2A(これだと18W)でやりとりされていることが多いような気がします。もしかすると、子供たちも使う製品として、大電流を流すのがトラブルにつながることを嫌ったのかも知れません。
ちなみに、レッツノート・CF-SV8と使っているRP-PC112(出力は61W)でも、コストコで購入した45Wの充電器でも、ほぼ同様に15V・1A程度の電力供給が可能です。Switch本体側が15Vの供給を受けるためにUSB PDの規格による機器の相互認証手続きを活用していることは、どうやら間違いなさそうです。
Switchドックに本体を乗せた状態で、同様にして電圧・電流を計測してみると、電圧15Vは同じなのですが、電流の方は本体直結よりも少ない状況で推移していました。画面表示よりも、HDMIに信号を流す方が電力は小さそうですから(液晶にはバックライトがありますし)、納得はできる話です。しかし、これだと39WというACアダプターの出力はオーバースペックのような気もするのですが…。
ただし、Switchドックには、前面2口、背面1口のUSB Type-A端子が付いていることを考慮する必要があります。これらすべてにバスパワーで電力を供給することまで想定すると、ACアダプターの電力もあのくらい必要になる可能性はありそうです。
ちなみに、USB PD非対応のアダプターやモバイルバッテリーでも、5V・1.5Aでの電力供給が行えるようです。USB BC1.2の入力には対応してある…ということなのでしょうか。ただし、供給できる電力としては純正ACアダプターの半分程度になってしまいますから、どこまで期待できるのかは不透明です。
いずれにしても、Switchとしては「たまたま」USBを活用した電源供給のシステムを利用しているだけで、幅広い機器への対応を考えているわけではないのは確かです。純正品や、明確に対応を謳っている製品を使うべきでしょう。純正ACアダプターは、同クラスのUSB PD対応アダプターと比べても高くありませんしね。
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