気軽に輪切り

約2ヶ月に1度、近所のかかりつけの医院で定期検診を受けています。「脳梗塞の疑い」ということで緊急入院する羽目になってから4年を超えましたが、今のところ、その後ふたたび病院送りになるような事態は起きていません。同様の症状で入院した方々のなかには、さらに深刻な症状が再発する場合も相当数あるのですが、薬を飲みながら、毎日たくさん歩き、食事をコントロールすることで、なんとかそちらには行かずに踏みとどまっているところです。

とはいえ、全てが順調だとも言い切れないわけで、その都度相談に乗ってもらいながら、ときには検査も受けながら、通院を続けています。


去年あたりから、些細なことでイライラしたり、怒鳴りつけたり…という場面が増えていて、自覚もあったのですが、家族からも「おかしい」と指摘されていました。往々にして、怒ってしまった後で「するんじゃなかった」と後悔するんですよね。

普段から、どちらかといえば短気だという自覚はありますが、昔よりも酷くなっている気がします。普通は、トシを取ってくれば性格は円くなって、そんな場面は減っていくのだと思っていたのですが…。

去年あたりからと言えば、まず考えられるのはストレス(コロナ禍の他にもいろいろありました…)ということになると思うのですが、問題なのは、脳梗塞や認知症などの脳の病気が原因で、こうした性格の変化が起きる可能性がある…ということ。病歴のこともあり、家族からもこれを心配されました。自分でも気になっていたので、この点については先生に聞いてみよう!と思っていました。


ある日の定期検診で、診察のときに聞いてみました。先生からは、確かに性格の変化が起きる例はある…と話があった後で、「CT撮ってみようか?」という提案が。この病院にはCT撮影の設備があるので、総合病院に紹介してもらわなくても、その場で撮ってもらえるのです。せっかくなので、お願いすることにしました。

「CT」というのはComputed Tomography(コンピューター断層撮影)の頭文字を取ったもので、たくさんの断面画像をコンピューターで処理して、内部構造を立体的なイメージとして見られるようにする仕掛けのことを指します。今回の場合は、X線で撮ってもらった頭の輪切り写真を元に、脳みその中身を立体的に組み立てるわけですね。

人が横たわった台をリング型の撮影機材の中に通して動かす大がかりな仕掛けですが、普及が進んで低価格になってきたのか、大きな総合病院だけでなく、地域の小さなクリニックでも意外に導入が進んでいるようです。もちろん緊急入院のときにも総合病院で撮っていますから、私はほぼ4年ぶりにバーチャルに輪切りにされることになりました。

大病院のように検査まで待たされることはなく、10分ほどで撮影終了。すぐに結果も聞けました。認知症の原因となる脳(特に前頭葉)の萎縮、脳梗塞、脳腫瘍などの異常な兆候は特に認められなかったそうです。

その後も、「男性でも更年期障害ということがあるから」ということで、血液検査で男性ホルモンを測るなどしてみたのですが、異常は見つからず。先生曰く、「つまり、病気が原因ではないということだね」。そうなると、あとはストレスなのか、単なる性格の問題なのか…ともかく、次のステップに進む足がかりは得られました。よかった、よかった…のか?


先日も、その定期検診に行ってきたのですが、最近気になっていたのは、体重が以前より増えてしまったこと。とはいえ、10kg程減らした体重が3kgほどリバウンドした程度で、その近辺で留まってはいますから、まだ頑張っている部類とは言えるのかも知れません。

理由もハッキリしています。昨年からのコロナ禍で、走ることをすっかりしなくなってしまったのが、間違いなく響いています。とはいえ、これは別に感染が怖くて走れないというわけではありません。最大の要因は、マラソンや駅伝の大会が軒並み中止になってしまい、モチベーションの維持が難しくなってしまったこと。ひとりで走った結果をオンラインで登録するような大会も開かれるようになっているのですが、どうも気持ちが盛り上がらず、その気になれません。

診察のときにそんな話をしてみたところ、「内臓脂肪を見てみようか?」と提案されました。これも、CTで腹部の断面を作ってみることで測ります。CTといえば、精密検査のときに大病院で予約して…というイメージだったのですが、ココでは実に気軽に使われている印象があります。自ら持っていれば、使い道はいろいろあるということなのでしょうね。

出来上がった断面画像から読み取れる腹囲は82 cmほどで、職場の集団検診などなら「メタボ」を指摘されることはありません。しかし、皮下脂肪と同じくらいの断面積の内臓脂肪が検出されて、「軽度の内臓脂肪型肥満」という判定になってしまいました。先生からは、内臓脂肪はすぐに落とせること、そして食後30分以内の運動(10分程度散歩するだけでもいいから)が効果的であることを伝えられました。

そして、最後に「3ヶ月後くらいにまた測ってみよう」とひと言。こう言われてしまっては、ワタシもしっかり食後に運動して、結果を見てみたくなります。早速、職場では昼食の弁当を食べた後に散歩を始めました。夕食後には、久々に近所をひとまわりしてのジョギングも始めています。

どうも、先生にはワタシの身体の状態から行動パターンまですっかり読み切られ、手のひらの上で踊らされているような気がしてなりません。まあ、これも元気で長生きするためです。乗せられて、踊らされて、頑張っちゃいましょう。



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