今週は、ちょっと大変な目に遭ってしまいました。
朝食を摂っているときに、突然左の奥歯の一番奥、顎に近いあたりに激痛が走りました。痛みは数十秒で収まったのですが、しばらくすると再発し、また収まるのを繰り返します。落ち着いているときはほとんど痛みはないのですが、痛いときはとてもやり過ごせないレベルの痛みで、これではたまったものではありません。
ズキズキする感じの痛みは、虫歯のときに似ていましたが、どうも質が違う、今までに感じたことがない痛みでした。そもそも、断続的なところからして、虫歯の痛みとはちょっと違います。
このままでは仕事どころではないので、職場にはとりあえず「半日、休む」と連絡を入れて、近所の歯科医院に行くことにしました。虫歯とは何か違う気がするものの、歯のあたりが痛いのは間違いありませんから、やはり守備範囲は歯科ということで良さそうな気がしました。
歯科医の先生は、まずは私が痛みを訴えている左の奥歯を上下くまなく見て虫歯を探してくれたのですが、それらしきモノは全く見当たりませんでした。さらに、歯のレントゲン写真を撮って、虫歯の治療歴と歯の中に通っている神経の状況を確認してみましたが、化膿しているなどの痛みにつながる兆候は見つかりませんでした。
そうなると、虫歯とは違う原因を考えなくてはなりません。顔面では、歯の上辺りまで副鼻腔(鼻の穴につながる空間です)が広がっているので、蓄膿症など鼻のトラブルの可能性も考慮するそうですが、レントゲン写真の結果からはその可能性もなさそうでした。
先生からは、「あとは神経痛の可能性があるね」と話がありました。この日は薬が処方されましたが、これは「痛み止めではなく治療薬です」と説明がありました。これで痛みが治まってくるのなら、神経痛ということで間違いないだろう…とのことでした。数日間服薬して様子を見て、後日結果を報告することになりました。
処方された薬は「テグレトール」という錠剤。本来てんかんの治療に使われるもので、躁鬱病や統合失調症などで精神安定のためにも処方されるものだそうです。しかし、これが何故か「三叉神経痛」という神経痛の一種にもよく効くのだそうで、今回のように三叉神経痛かどうかを確認するために飲んでみる…という使い方もされるようです。逆に、これが全然効かなければ三叉神経痛ではない…ということですね。
(Takuma-sa, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)
三叉神経痛は、その名のとおり三叉神経の痛みということになるわけですが、コレは脳から出て顔面を走っている神経で、顔の左右それぞれで3本に枝分かれしていることがその名の由来だそうです。この三叉神経を血管や腫瘍など(動脈が原因のことが多い)が圧迫することで、激しい痛みが瞬間的に発生するのが三叉神経痛。確かに、痛みの発生パターンは今回の私の症状とよく似ています。
薬を飲み始めて1日経ったあたりで、痛みはずいぶん和らいできました。どうやら、三叉神経痛ということで間違いなさそうです。ただ、そうだとすれば今後の対応はなかなか面倒なことになるかも知れません。おそらく、歯科ではなく脳神経外科のお世話になることになります。
この薬を飲み始めてから、奇妙なことが起こっているのに気がつきました。聞こえてくる音がすべて、半音くらい下がっているように聞こえるようになってしまったのです。
最初に気がついたのはカーオーディオから流れてくる音楽。いつも聴いている曲が、微妙にフラットしています。ライブ録音でボーカルが疲れているわけでもありません(そもそもオケも一緒に半音下がってますしね)し、ましてやカセットテープが伸びているわけでもありません…って、トシがバレますねぇ(苦笑)。
ゲームのBGMも、アイキャッチも、効果音もすべてが半音低く鳴っていました。下がるはずがない音程が下がっているのを感じると、強烈な違和感がありますね。Nintendo Switch Sportsのようなアクションゲームだと、操作の感覚まで狂ってきてしまいます。
気になり始めると、目覚ましのアラームからハトの鳴き声まで、何でもかんでも「半音、低い。」状態。世界のすべてが、自分を置き去りにして半音下に行ってしまったみたいで、さすがにこれはアタマが混乱してきます。聞かないようにするしかないのですが、それもなかなか困難です。まあ、ココに書いているように面白がるくらいの余裕はありますが。
最初は、何が起こっているのか全くわからず、「私のアタマがおかしくなってしまったのか?」と泡を食いました。しかし、テグレトールの使用上の注意や用法・用量、効能、副作用などを記載したいわゆる「添付文書」を見ると、副作用の中にこんな記載があります。
その他:(頻度不明)聴覚異常(耳鳴、聴覚過敏、聴力低下、音程変化等)(以下略)
https://database.japic.or.jp/ctrl/directAttDocsList?medical=%83e%83O%83%8C%83g%81%5B%83%8B%8F%F9100mg
音楽の素養がある程度あって、絶対音感がある人でなければまず気付かない情報なのですが、ちゃんと症例として記載されています。私の場合、幼少期からの訓練のおかげか絶対音感らしきモノをある程度身につけていたので、この症状に気がついた…というわけです。それにしても、違和感を覚えるということは、思っていた以上に絶対音感は体の奥深いところに染みついているんですね(汗)。三つ子の魂百まで、か。
おそらく、このままテグレトールを飲み続けていれば、時間はかかるかも知れませんが、半音低い「新しい絶対音感」にはある程度慣れてくるのだろうな…と思います。歌を歌うときなどは、聞こえている伴奏などに合わせて自分の声も聞きながら歌うことになるので、結果的に音がずれることはないはずです。アカペラは当分は難しそうですが…。
しかし、薬の効きも常に一定ではないはずで、音程の下がり方もコンディションによって異なるはずです。実際に、ときには全音近く下がっているように聞こえることもありました。道楽でやっている私はともかく、音楽を生業にしている人にとっては、この薬を使うのは相当ツラいことになりそうです。その場合、外科的治療(手術、ですね)を選ぶことになるのでしょうか。
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