先週あたりから、巷ではそこかしこで「ブラックフライデー」のセールの声が聞こえてきます。本来なら今週末からの開催が筋なのですが、何かと前倒しで開催したがるのは日本人の悪いクセなのでしょうか。
今年は、パナソニックストアプラスがカスタマイズレッツノートを対象にブラックフライデー特別セールを開催中。「ブラック」にちなみ、ジェットブラック筐体のCF-FV3やCF-SR3が割引になっています。とはいえ、他の割引を組み合わせても、せいぜいディスカウントは20,000円まで。全体価格と比べると、この程度では焼け石に水のような気もします。
パナソニックストアプラスでは、旧機種の買い取りに最大で10,000円のキャッシュバックを実施するキャンペーンも実施中です。私が現在使っているCF-SV8の場合、現在のところ買い取り価格の上限は40,000円。これなら、多少は買い換えの足しになりそうな気がします。
そのCF-SV8は、購入からそろそろ満4年を迎え、今どきのOSやアプリの要求する性能に対して、ちょっと力不足を感じつつあります。新筐体を採用したCF-SR3が登場して以来、CF-SV8の「次」をどうするか?の検討に対して、熱量が少し上がった気がします。
レッツノートの王道を行く「ひとまわり小さいモバイル」であるCF-SR3には、理屈抜きで「欲しい!」と思わせるカッコ良さがあります。とはいえ、現場に持って出掛けるよりもリモートワークで腰を据えてモバイルPCを使う場面が増えている中で、大画面モバイル(レッツノートならCF-FV3、ですが)とどちらが自分にフィットするのか?は、じっくり考えるべきだと思います。
「レッツノート以外の何か」も含めてライバルが多く存在する中、基本的なスペックでは最新世代の仕様を揃えてきているCF-FV3とCF-SR3ですが、どうしても気になるのが無線通信まわりです。ただ、ちょっとややこしい事情もあるのは理解しているのですが…。
先日発表されたThinkpad X1 Carbonの30周年モデルには、Wi-Fi 6Eと5GのワイヤレスWANが搭載されています。どちらも、現時点では最先端の規格に準拠した無線通信ということになります。ただし、この製品の場合は「Wi-Fi 6Eは日本ではご利用いただけません」という注釈が付いているのには、注意しておかなくてはなりません。
Wi-Fi 6Eは、それまでの最新版だったWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に、新たに6 GHz帯の周波数が使えるチャンネルが追加されたものです。通信方法自体は、Wi-Fi 6と全く同じということになります。規格上の最高速度は変わらないのですが、多数のチャンネルを束ねて高速化を図る今どきのWi-Fiの場合、選べるチャンネル数が増えたことは高速に通信できる場面が増えることにつながります。
このWi-Fi 6E、日本で使えるようになったのは今年9月になってからのこと。それ以前から、ハードウェアとしては対応可能なモノを搭載した製品がいろいろ出てはいましたが、6 GHz帯という新しいバンドが追加されたこともあってか、ソフトウェア的に封印を解除すれば即使用可能…とは行かないややこしさがあります。新たに技適の認証を取り直さなくてはならないのだそうで、技適マーク等の表示を更新できない(筐体にプリントしている等)製品では、アップグレードの対応が困難になっています。
レッツノートの2022年秋冬モデルが登場したのは、10月も半ばを過ぎてから。このタイミングならWi-Fi 6Eへの対応方針は既に公表されていましたから、「日本でもWi-Fi 6Eが使えます」という製品を出せる余裕があった気がするのですが、そうなりませんでした。全モデルがWi-Fi 6までの対応で、Wi-Fi 6Eへのアップデートによる対応も行われないようです。
基本プラットフォームについては、最新世代への乗り換えには慎重に対処しているレッツノートですが、ワイヤレスWANモジュールの内蔵やThunderbolt 3搭載など、外部との接続に関してはかなり前のめりに新技術を導入することも多い印象があります。そんな中で、今回はどうしてこういうことになったのか、何とも不思議です。
どんな事情があるのかはわかりませんが、そうは言っても購入すれば何年も使い続けることになるモノです(レッツノートは「平均ご愛用年数6.04 年」という調査結果も出ています)。基本的にハイエンドに近いスペックを持つレッツノートで、登場間もない最新の規格に対応していないことは不安材料になります。
消費電力では使う電波のバンドが増えているWi-Fi 6Eの方が不利な気がするので、少なくとも現時点ではあえて対応していないのかも知れません。アンテナ設計も、これまでと変えなくてはならない部分があるでしょうしね。ただ、ハードウェア的に本当に対応していないのか?は、まだ実機を確認できていないので何とも言えないのですが…。
あるいは、Wi-Fi 6Eは過渡的な技術で、6 GHz帯が普及するのは次世代のWi-Fi 7(IEEE 802.11be)から…と踏んでいるのかも知れません。一応、Wi-Fi 6に対応さえしておけば、Wi-Fi 6Eのアクセスポイントにちゃんとした速度でつながるはずですから、使用上の問題は無い…という判断もあり得ます。
もしかすると、今回は単にWi-Fi 6E対応が設計上間に合わなくて、次期モデルに先送りしただけかも知れませんね。ちょっと様子見した方が良いのかも。…と、購入できるおカネが用意できない自分を慰めているだけなのですが。
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