スマートフォンが生活に欠かせない存在になっている方は多いと思いますが、スマートフォンを生活必需品たらしめている最大の要素が、どこにいてもつながる通信回線であることについては、異論の余地はないでしょう。私には、かつてITと呼んでいたものにいつの間にか「C」が挟まってICTになっていたなぁ…という印象があるのですが、CはCommunication(通信)の頭文字。特に20世紀末頃からのコンピューター関連の進歩は、機器間の通信無しには語れません。
その通信が止まってしまうとタイヘンなことになる…というのは皆さんにも経験があるはずです。昨年7月にauで発生したものが記憶に新しいところでしょう。このときは、全国各地の広範囲で、音声通話・データ通信ともに使えない状況が3日以上続きました。
音声通話ができないことももちろん多大な影響を与えました(緊急発信もできないわけで)が、データ通信が使えなかった影響もニュースに大きく採り上げられました。個人ユーザーレベルでは、キャッシュレス決済ができなくなったり、オンラインチケットでの入場が不可能になったり…といったところが話題になりました。二要素認証にスマートフォンを所有要素として使うサービスも使えなくなります。
他にも、業務システムの不具合が広範囲に発生しました。例えば、宅配便の代引き処理等に使っている端末も、当然データ通信が必要になります。気象庁のアメダス観測データが一時受信できなくなったとの報道もありましたが、こうした機器間の自動通信、いわゆるIoTの生命線になっている例も数多くあるそうです。
こうした通信障害の際には、Wi-Fiのアクセスポイントにつなぐなどの対策もあるわけですが、複数キャリアの回線が使えるようにしておくことも有効な対策のひとつです。最近のスマートフォンには、2回線を同時に待ち受けできる製品が多くなっています。SIMカードを2枚挿せるものもありますし、カードスロットは1つでももう1枚分の機能は端末内に内蔵している(いわゆるeSIMですね)ものもあります。
私のスマートフォン・AQUOS sense7の場合も、物理SIMカードスロット+eSIMという形で、2回線を同時に使えるようになっています。OCNモバイルONEはSIMカードで使っている(そもそもeSIMには対応していません)ので、今のところeSIMは空いています。これを使ってNTTドコモ回線以外のサービスを何かしら契約すれば、いざという時のサブ回線として活用できます。
とはいえ、現状のメイン回線に格安SIMを使っているくらいですから、サブ回線があまりにも高額では本末転倒。できるだけ安上がりに維持できるところを探したくなります。
筆頭候補として考えたのはpovo2.0。au回線のサービスなので、バックアップとしての資質には問題ありません。そして何より基本料金がゼロ円です。
povo2.0のビジネスモデルとしては、高速通信量の追加や話し放題の通話サービス、あるいはストリーミング映像コンテンツの期間限定視聴権などをその都度「トッピング」していく…という、他にはない面白いスタイルになっているのですが、全くトッピング無しの状態でも音声通話は使えます(通話料はもちろん必要ですが)し、最大128 kbpsでのデータ通信も使えます。もちろん快適にはほど遠い速度ですが、緊急時の利用は何とかなりそうです。高速データ通信が必要ならば、必要な分だけのデータ量や24時間データ使い放題(税込330円)をトッピングすることもできます。
ただし、povo2.0も慈善事業でやっているわけではないので、契約継続のためには条件があります。180日間有料トッピングの購入がなく、その間の音声通話料+SMS送信料の合計額が税込660円を超えていない場合は利用停止となるそうです。契約継続のためだけにその都度チョコッとだけ使うのも、ちょっと面倒くさいですね。利用停止の予告はいただけるようなので、そのときに忘れずに作業しておくだけ…ということではあるのですが。
povo2.0の申込は専用アプリから行うようになっているので、とりあえずインストールしてあったのですが、そんなときに面白い対抗馬となりそうなサービスが発表されました。
格安SIM大手のmineo(まいねお)が、「マイそく スーパーライト」というプランを2月22日から受付開始します。月額料金250円で、回線契約を維持することができます。データ通信の最高速度はpovo2.0のトッピング無し状態よりもさらに低速の32 kbpsで、さすがにこれではスマートフォン向けのWebサービス利用はかなり辛そうですが、24時間データ使い放題がpovo2.0と同額の330円で利用できます。
半年で最低でも1,500円の固定出費が必要ということになり、最低限のトッピングのみで済む(例えば24時間データ使い放題を半年に1回だけトッピングしても良い)povo2.0より少しだけ高く付くことになりますが、放りっぱなしにしておけるメリットはあります。あとは、NTTドコモ・au・ソフトバンクの回線が選べるのもpovo2.0との違いになります。メイン回線がauの場合には、有力な選択肢と言えるかも知れませんね。
改めて横並びにして検討してみると、私にとってはpovo2.0の方が良さそうな気がしてきました。マイそくスーパーライトは、音声通話使い放題などと組み合わせて、ガラケーでの音声通話専用として使うのに向いていそうですね。お義母さんの契約あたりは、これに切り替えようかしら。
auとソフトバンクは、通信障害発生時などに、互いに相手の回線を一時的に使えるようにする仕組みを提供する…と発表しています。2回線のSIM(eSIMも含む)を用意する方法のようですが、数百円のオプションとしてワンストップの窓口で2回線が提供され、相手回線を使う通信料はその都度かかる形になるようです。
昨年のauの通信障害の後で、こうした事態の際に各社間でローミングできるようにするべきではないか?という議論がありましたが、その中で、ソフトバンクから「こういう方法ならできるのではないか」という提案が出ていました。この提案にauが乗る形で、今回のサービス提供に至ったようです。
気になるのは、2回線のSIMが同じ電話番号で発着信できるようになるらしいこと。緊急時のバックアップで切り替えて使うんですから、そういう動作をするのが理想的ですよね。そこはキャリアが本気で提供するサービスならではです。
普通に2回線を契約するのでは、こうは行きません。片方への着信をもう片方に転送する設定をしたくても、そもそも通信障害が起きているのでは設定もできなくなるでしょうし…。まあ、私の場合などは音声通話の出番は既にほとんどなくなっていますし、緊急番号の発信さえできればあとはデータ通信だけでも乗り切れそうです。同番号発着信は、それほど重要度は高くないかも。
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