少し前の話になりますが、6月28日にホンダの新型フリードが発売されました。実に8年ぶりとなるフルモデルチェンジで、この車名としては3代目ということになります。
2008年に初代フリードがデビューしたときには、「This is サイコーにちょうどいいHonda」というキャッチコピーが印象に残っています。コンパクトカーでは小さすぎるし、ミニバンは大きすぎる…という人たちに、「ちょうどいい」というキーワードで提案された、スライドドア付きの小さな3列シート車…ということになるかと思います。今では、ホンダではN-BOXの次にたくさん売れているという人気車種になりました。
かつてのオデッセイやステップワゴン、N-BOXなどもそうですが、ホンダはこうやって新しいカテゴリーを定義してヒットさせるのが昔から得意ですよね。とはいえ、せっかく開拓した市場が、結局後からトヨタなどにかすめ取られてしまうことが多いのは、何とももったいないところです。
3代目のフリードでも「ちょうどいい」サイズ感はほぼそのままのようですが、さすがに先代デビューから8年も経った後だけに、いろいろと新しくなっています。大きな変化だと思うのは、ハイブリッドシステムがようやく他のホンダ車たちと同じe:HEVに追いついたこと。燃費は大幅に向上していますし、電動車らしいスムーズで力強い走行性能も手に入れたようです。
ちょうど初代フリードがデビューした頃に、はるかに大きなミニバン・デリカD:5を購入した私。当時は、悪路もガンガン走れるクルマが欲しかったので、フリードなんて全然眼中になかったわけですが、「夫婦+乳幼児ひとり」という当時の我が家にとっては、実はまさに「ちょうどいい」選択になり得る存在だったのかも知れません。
その後クルマを乗り換えようと考えたときも、大量に荷物を積みたいニーズがあり、乗り換え先はステップワゴンとなりました。デリカD:5に乗り換えるときには、大きなクルマの購入にかなり抵抗した妻も、今は当たり前にブラックパール2世号の船長を務めています。
その後、より小さなクルマへの乗り換えを検討したこともありますが、当然選択肢になり得るはずのフリードが全く俎上に登らなかったのは、実は「e:HEVがなかったから」だったりします。先代フリードのハイブリッドは、1モーターの「i-DCD」と呼ばれた方式で、e:HEVのブラックパール2世号から乗り換えても、燃費はむしろ悪化する可能性がありました。
現行ステップワゴン(6代目)への乗り換えは、月々の支払いが多くなる一方で機能面のマイナスが結構大きいので、現在でも全く検討しようと思いませんが、乗り換え先が3代目フリードということになると、事情が変わってきます。クルマ自体が安いのでローンの月々の支払いはきっと安くできるのですが、燃費が良くなるので月々のガソリン代の支払いも少なくなるはずです。結果的に月々のおサイフに優しくなる…というメリットがあります。支払期間は先に延びていきますが…。
最新車種となる3代目フリードでは、特に電装品系が新しい規格に対応していることも、乗っていて嬉しいメリットになるはずです。オーディオ・ナビシステムは実質的に純正品しか取り付けられないのですが、常にサーバーから最新地図を受信して使うシステムになるのは魅力的。従来のナビでは、最新地図は5年間しか公開されていませんでしたが、現在のHonda CONNECTナビなら、月々550 円(10%税込)の利用料を支払えば、サービスが提供されている限り地図は更新され続けるはずです。もしサービスが打ち切られても、Android Autoで使い続ける…という保険もあります。
一方で懸念材料になるのが荷物の積載量。諸事情により、最近は妻の店はイベント出店というものをしていないのですが、将来にわたって出店しないということまでは、今のところは考えられません。やはり、商品を詰めたコンテナ4個前後と什器一式を載せて、3人で出かけられるクルマである必要があります。逆に言えば、その程度の荷物さえ積み込めるのなら、それ以上大きなクルマである必要はなく、我が家にはそれで「ちょうどいい」となるわけです。
この点で気になっているのが、2列シート・5人乗り仕様があるCROSSTAR(くろすたー)グレード。3列目のシートが無いだけではなく、床が非常に低く作られていて、相当大量の荷物を飲み込んでくれそうです。2列目のシートはほとんど存在感がなくなるくらいまで折りたためて、このときは大人が横になれるほどだそうですから、2列目のキャプテンシートが折りたためないステップワゴンと、有効荷室長はほぼ変わらなさそうです。
ただ、この仕様を選んでしまうと、2列目シート用のクーラー、1列目シート背面のUSB充電端子、駐車時等に俯瞰した画像を合成してくれる「マルチビューカメラシステム」などが付けられなくなります。これらを装備するには、6人乗り仕様である必要があるのだそうです。
そして、6人乗り仕様だと、跳ね上げた3列目シートや2列目キャプテンシートとの兼ね合いで、荷物の積載量ではかなり不利になります。シートの跳ね上げ方も先代から改善されて、かなりコンパクトに収まるようにはなったのですが…。こんな感じでメーカーオプションの選択が「抱き合わせ販売」的で、希望する組み合わせができない場合が多々あるのが、ホンダのラインナップの嫌いなところです。素の商品自体は魅力的なのですが…。
ちなみに、デリカD:5に乗っていた頃には、3列目シートを外す暴挙に出たわけですが、アレは本来なら車検的にアウト(乗車人数が変わってしまいますからね)で、事故ったときなどに保険が下りない可能性もあるのだそうです。そんなことは全然知らずにやっていたのですが…無知は恐ろしい。
あと、CROSSTARを選ぼうとするとひとつ障害になりそうなのが、妻が「デリカっぽい」とデザインに難色を示していること。確かに、言われてみるとフロントグリル周りのデザインや側面のシルエットなど、初期型のデリカD:5に似ていないこともありません。純正オプションやカラーの選択などで、かなりデリカ色は薄められそうなのですが…どこまでやれば認めてもらえるのか(汗)。
さらには、ステップワゴンに付いていて便利だった装備が、フリードには付いていない…というものが、細々とあるのも気になるところです。2列目以降の左右に付いているスポットライト、フロントバイザー裏のバニティミラーの照明、1列目シートバックのポケット(6人乗り仕様にはある)…と、意外にあります。
そもそも、荷物の積載量が私たちのニーズを満たせるのか?も含めて、実際にクルマを見てみないことには始まりません。とはいえ、いろいろ用事が重なり合ってしまい、まだホンダのディーラーに足が運べていないので、何とも言えないわけですが。6ヶ月点検がもうちょっと遅ければ、ついでに見られたのに、何とも間の悪いタイミングでした。
現在、3代目フリードはグレードによっては納期が1年くらいになっているそうです。ブラックパール2世号の車検を通すかどうか?を検討するのなら、実は意外に時間が無かったりします。実際に行動に移すかどうかはともかく、まずは、10万キロ以上走っているあのクルマの査定をしてみるところからスタートかも知れません。まともなお値段で返せるのかしら?
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