「goat」という英単語は、教科書的には動物のヤギ(山羊)の意味が基本ですが、特にアメリカ英語のスラングとしては、全く違う意味合いで使われることがあります。特に大文字で「GOAT」と表記されているときはこちらの意味合いと思った方が良いようです。
成り立ちとしては「Greatest Of All Time」の頭文字を取ったものだそうで、「G.O.A.T.」と綴られたりもします。直訳すれば「史上最高」、スラングですから「史上サイコーにスゲぇ」って感じでしょうか。ココから転じて、SNSなどではヤギの絵文字がこの「GOAT」の意味合いで使われることもあるそうで、こうなると正確に意味を読み取ることは知識無しでは不可能です。
恥ずかしながら、私は去年までこの意味は全然知らず、今年知った新しい英単語の一つです。きっかけになったのは、今年の元日に出てきたNumber_iのデビュー作のタイトルとして見たことでしょうか。サビでは「GOAT,GOAT,GOAT,GOAT,GOAT…」と連呼します。
キラッキラのアイドルをしていた彼らの「再始動」が、グローバルな流行を捉えたゴリッゴリのヒップホップだったところに驚きつつも感心したわけですが、それよりもどうしてそこで「ヤギ」なんだ?という強烈な違和感を持ちながらMVを観たのを覚えています(よく見ると意味はちゃんと映像内に書いてあるのですが)。意味がわかれば「俺たちサイコー」ということですから、スゴくわかりやすいメッセージですよね。
その後は、MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の八面六臂の大活躍(とはいえ今年は投球していませんが)を形容する表現としても見かけるなど、「GOAT」は日本の巷でもちょっと市民権を得てきた単語のような気がします。指名打者に専念した今シーズンは54本塁打・59盗塁。節目節目の試合では常人離れした大活躍を見せ、初のワールドシリーズチャンピオンに、指名打者初のMVPをはじめとする数々の表彰。もはや現実がファンタジーを超えています。いずれ彼は、野球を題材に創作を行おうとする人間を絶滅させるかも知れません。
残念ながら、今年の私自身はGOATとは遠くかけ離れた、何とも地味な1年を過ごしてしまいました。今年の投稿総数81はあの2021年よりも少ないですし、最後の最後でインフルエンザウイルスの襲撃を食らってしまったように、バイオリズムとして活力がちょっと落ちていたのかもしれないな…とは思います。おカネをいただく仕事がそれなりに忙しかったことも、記事の少なさには影響しているかも知れません。とはいえ、忙しくなっても実入りは全然増えないのですが。
結構痛かったのが、1年中パソコンの買い換えを決めきれなかったことです。去年の春あたりから、明らかにレッツノート・CF-SV8からの乗り換え先となるモバイルノートを意識した記事が増えているのですが、いろいろ書いているばかりで実際にはなかなか買い換えは実行に移されず、このまま行けばCF-SV8は2019年2月の購入から使用7年目に突入する公算が高くなっています。
年々我が家の家計が厳しくなっていく中で、新しいパソコンなんて買っている余裕があるのか?という面はありますが、それでも本当に買った方がよいモノなら、何とかして購入の算段をするのが私だと思います。今回のパターンは、明らかに「今は先送りするべきだ」という判断の下で起きたものです。
「レッツノート以外の何か・2023」を謳い始めた頃のモバイルノートPCのプラットフォームとしては、基本的には第12世代・第13世代のIntel Core iシリーズの一択でした。パフォーマンス面ではAMD Ryzenのモバイル版も面白い存在だったのですが、持ち運びを前提とした本体重量やバッテリーライフの面で、どうも各ハードウェアベンダーがIntelプラットフォームほど本腰を入れていなかったような印象を持っていました。
この前年に登場したChatGPTをはじめとして、生成AIを使ったサービスが急激に広がり始める中、クラウドサーバーではなく端末内でAI推論の計算を高速かつ低電力で行うことを意図したハードウェアとして、「NPU」に注目が集まるようになりました。既にスマートフォンにはNPUが搭載されたものが多くなり、AMD RyzenにもNPUが搭載されたモデルがありましたが、2023年9月に発表され、年末にデビューしたIntelのCore Ultra シリーズ1に搭載されることで、「これからはNPUを積んだAI PCだ」というマーケティングが大々的に展開されました。
それなら、自分もAI PCを買っておいた方がいいなぁ…という形で2024年を迎えたのですが、各社から製品が出揃いきらないうちに、今度はMicrosoftが「Copilot+ PC」という新しいブランディング戦略をぶち上げて、いち早く高性能なNPUを準備できていたQualcomm Snapdragon Xシリーズを搭載したPCを激推ししました。静観するわけにはいかないAMDがRyzen AI 300シリーズを、IntelがCore Ultra シリーズ2(Lunar Lake)を次々にお披露目しました。これから搭載製品が増えてくるはずです。
ただ、盛大に花火を打ち上げたMicrosoft社自身が、Copilot+ PC向けの新機能を順調にリリースできていません。Intel・AMD向けにはようやくInsider向けのテストが始まったところです。生成AI全振りで突進しているMicrosoftが歩みを止めることはなさそうですが、そのスピードの速さ、遅れ共に不安材料です。
振り返ってみると、モバイルノートPCに最も重要な「省電力性能」「電力効率」という面で新たな競争軸が生まれ、「史上最高」を謳うトップリーダーがめまぐるしく変化してきた2年間だったと言えます。それも、実際に市場に商品が出てくる前に次の世代のプラットフォーム登場が予告され、明らかに大きなステップアップになることが確実な状況が続きました。今買って貧乏くじを引くのはさすがに間抜けでは?という判断になり、何台も購入したり頻繁に買い換えたりするわけにも行かず、待ちに入らざるを得なかったのです。
せっかく何か買うなら、やっぱりいちばん強いヤツがいいわけで、ハイパワーで省電力、AIも速い「モバイル界のGOAT」はどいつだ?となるわけですが、幸か不幸かどれか一つが突出して総合的に抜きん出ているわけではない状況。競争軸が多様化して、各社の得意分野が重なっていないところが非常に面白い勢力図になった…とも言えますが、選択の悩みもまだまだ多様化しそうです。
モバイルノートPCのSoCについては、今後各社とも次々に二の矢を放ってくるようです。とりあえずは年明け早々、1月7~10日(現地時間)にラスベガスで開催されるCES 2025は、各社の「次の一手」のお披露目会場となるでしょう。とはいえ、「もうちょっと待とうかな」を続けるのにも疲れてきましたし、そろそろ次の着地点はちゃんと定めたいところです。
本来、パソコンは「欲しいと思ったときにいちばんイイのを買う」がベストの商品で、こんな状況が続くのはどう考えても異常。基本方針で腹をくくりつつはあるのですが、どこかで踏み切らなくては。そんな来年に、なるとイイなぁ。
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