スマートフォンをGoogle Pixel 8に乗り換えてからは、記事に載せる写真もPixel 8で撮っているものが増えてきています。使い始めてから2ヶ月くらいになりますが、それまで使っていたAQUOS sense7のカメラ機能と比べると、いろいろな意味でユーザー体験は変化していると感じます。

「Android標準のカメラアプリ」というものは存在しないそうですが、Pixelシリーズのカメラアプリは一応「Googleの純正品」ということで、標準的なモノとは言えそうです。他社のAndroidスマートフォンの「カメラ」アプリ同様に、撮影される画像の周囲は真っ黒で、そこにシャッターボタンや各種オプション設定が配置されたシンプルなデザインです。案外、みんなコレを参考にして作っているのかも知れません。
風景を撮ることが多い私にとっては、AQUOS sense7のマニュアル撮影モードにもあった水平線表示が付いているのはウレシイですね。素直に構えると、自分では水平なつもりでも傾いていることが結構多く、帰宅してから残念な思いをしながら修正することがありましたが、最近はそういう失敗はかなり減りました。
それよりもずっとありがたいのが、カメラアプリのアイコンをタップしてから撮影可能になるまでの待ち時間が、AQUOS sense7よりも圧倒的に短いこと。スナップ写真向けのカメラとしては重要な性能です。このあたりは、やはり基礎体力の差でしょうか。
搭載されているハードウェアとしてのカメラは、各社のスペックシートによるとこんな感じです。
Pixel 8 | AQUOS sense7 | |
背面メインカメラ | 5,000万画素・1/1.31型 画角82°、f1.68 | 5,030万画素・1/1.55型 23mm相当、F1.9 |
背面超広角カメラ | 1,200万画素 画角125.8°、F2.2 | 800万画素 15mm相当、F2.4 |
前面カメラ | 1,050万画素 画角95°、F2.2 | 800万画素 26mm相当、F2.0 |
メインカメラは、AQUOS sense7がずいぶんがんばっていることもあり、ほぼ同等といえそうですが、それ以外のカメラについては、価格相応の差がある印象を受けます。画角の表記が全く異なるので比較が難しいのですが、一般的な35mmカメラの画角も考えると、背面の二つのカメラはほぼ同じで、前面カメラはPixel 8の方が明らかに広角に映ると言えそうです。

超広角カメラのセンサー画素数がメインカメラのほぼ4分の1ということもあってか、メインカメラで撮っても超広角カメラで撮っても、同じ画素数(4,080×3,072 pixels)の画像が記録されます。画質としても、メインカメラとの差があるのはわかるものの、大きく落ちるようには感じません。


超広角カメラは、マクロ撮影の際にも活用されます。被写体が近距離にあることを検知すると、メインカメラで撮影しているときでも画像が自動的に切り替わってマクロモードに移行します。切り替わるときに微妙に被写体の位置(実際にはカメラの位置なのですが)が変わる違和感はありますが、ピント自体はしっかり合いますし、画質の面でも納得できるレベルだと思います。


望遠レンズは搭載していないので、望遠撮影はセンサーの中心部分を切り取って拡大するデジタルズームになります。「最大8倍」というスペックは、AQUOS sense7のデジタルズームと全く同じですが、あちらが拡大に伴って解像感の低下が顕著になるのと比べると、こちらは最大限の8倍でも何とか「写真らしさ」をキープしています。いわゆる「超解像」処理のレベルの差でしょうか。


画像処理の面でもうひとつ感心するのが、パノラマモードで撮影した写真がスムーズにつながっていること。こうした機能が付いたカメラは、これまでにもいくつか使ってきましたが、出来上がった画像をじっくり観ても、継ぎ目や段差らしきモノが全然見当たりません。
他にもいろいろな撮影モードがあって、まだ全てを試し切れていませんが、現時点でもPixel 8のカメラはいろいろとAQUOS sense7との格の違いを感じさせてくれます。そして、それは搭載されているレンズやセンサー等の「カメラ」としてのハードウェアの差だけではありません。
ひとつ確実に上回ると言えるのは、キビキビ動く操作の快適さ。アプリ起動までの時間に限らず、全てに反応が早いです。これは、単純に計算能力の差といって良いと思います。特に、AQUOS sense7に使われていたSnapdragon 695 5Gは、画像処理にはあまり強くありませんでしたしね。


そしてもうひとつは、スマートフォンの薄くて小さいカメラから「写真」としての見栄えの良い画像を作り出す技術。おそらく、Pixel 8でもAIを駆使してかなり「画を描く」作業をしていると思いますし、写真の隅の方を見ると不自然にクッキリしている感じも受けはするのですが、AQUOS sense7が作り出す画像ほどの「描いている」感はありません。
デジタルズームの処理も同様なのですが、このあたりの処理はどのように計算するか?というソフトウェア部分の働きが大きくなります。そして、ソフトウェア自体が優秀でキレイな画が作れたとしても、計算が遅ければそれはそれでストレスの種。やはり、コンピューターとしての性能の高さが効いているのでしょうね。「コンピュテーショナルフォトグラフィ(Computational photography)」とはよく言ったものです。未だに、騙されてるんじゃないか?とちょっと不安なのですが…。
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