気になる変なヤツら
ウィルコムの音声通話端末を選ぼう!ということになったんですが、前回にもちょっと触れたとおり、なかなかの曲者揃いです。これまで使っている携帯電話のNTTドコモだと、同じシリーズ(型番の数字が同じもの)の端末では受けられるサービスや使える機能をかなり高いレベルで揃えてある印象を受けます。しかし、ウィルコムの音声端末たちは、このあたりの仕様がかなりバラバラ。良く言えば個性豊かなんですが…。
現在のメインラインナップであるWX310/300シリーズ4機種だと、共通なのはパソコン用のWebサイトを閲覧できるフルブラウザに対応していることくらい。ただし、採用されているブラウザもOperaだったり、アクセスのNetFrontだったりします。Javaアプリに対応しているのは2機種。しかし、Java非対応のWX310Kでも独自規格の機能拡張モジュールをダウンロードできます。
WX310SAのハンズフリー通話、WX310Jのカーソル移動にも使う指紋センサーなど、1機種にしか装備されていない特徴もあります。WX300Kは、シンプルな機能と薄型・軽量の洗練されたデザインが持ち味。もちろん、他の機種もそれぞれに独特のスタイルを見せてくれます。機種数が少ないからこそ、それぞれがはっきりとした個性を持っているとも言えそうです。他社のケータイの端末と比べると、違いが明確な分選びやすいかも知れません。
またしてもシャープ
そんな強者どもの中で、ひときわ異彩を放つ「音声端末」があります。それがZERO-3シリーズ。ケータイでも、パソコンでもない「第3のコミュニケーションツール」を標榜するこのシリーズは、大型で高精細の画面を持ち、通信も出来る携帯情報端末(PDAと言いますね)としての色合いを強く打ち出した、「スマートフォン」と呼ばれる製品です。
海外では既に一定の位置を確保しているジャンルで、「第3の」などと偉そうに言うほどのものでもないと思うんですが、何故か日本では盛り上がりに欠けたこの分野に、一気に火を付けた立役者とは言えるでしょう。
このZERO-3を送り出したのが、「目の付けどころが…」で有名なシャープ。もともとZAURUSというPDAを作っていたシャープですから、この手のものを作るのは実に上手です。本体の液晶画面をスライドさせると、パソコンと同じ、いわゆるQWERTY配列のキーボードが現れる仕掛けも見事。新しいジャンルの製品としては、劇的な大ヒット商品になりました。
もともと変なモノは大好きな私ですから、「ウィルコムの音声端末」と考えたときに、このZERO-3はもちろん気になる候補でした。しかし、何しろ主目的が音声通話ですから、あの筐体では手持ちで話すには余りに大きく重すぎる…ということで、対象から外しました。あれでBluetoothでも内蔵していれば、評価はまた違ってきたでしょう。鞄の中に本体を入れたままでも、ヘッドセットで通話できますからね。まあ、それ以上にシャープ製品への不信感もかなり根強かったんですが。
ZERO-3が「電話」になった
そうこうしながら、購入が先延ばしになっていた7月に、新しい製品が発表されました。それが、ZERO-3のバリエーションモデルとも言える新展開・ZERO-3[es]です。型番はWS007SHとなっていますが、「ZERO-3」の名称は引き継ぎました。ZERO-3が火を付けたスマートフォンの思想を一緒に引き継いだと言えそうですね。
その上、[es]にはさらに新しいテイストが加えられていました。それは、「電話らしくあること」。かっこいいかも知れないけど、電話とはとても呼べなかったZERO-3でしたが、[es]は小振りになった画面の下にテンキーを持ち、ストレート型の携帯電話っぽいスタイルです。
しかも、スライド式のQWERTY配列キーボードはほとんどそのまま。文字入力に予測変換付きのATOKが搭載された一方で無線LANが内蔵されていないなど、機能の取捨選択が行われたようですが、基本的にZERO-3の「変なヤツ」っぷりはそのままです。それでも、幅56mm×長さ135mm×厚さ21mmというカタログ上のサイズ表記を見て、まだ電話に使うには大きくて重いと感じていました。実際に、「ささっちブログ」にはかなり消極的なコメントを寄せたりもしました。
百聞は一「触」に如かず
しかし、7月中旬になって店頭に実働機やモックアップが展示されるようになってみると、かなり印象が変わりました。手に取ってみると、思っていたよりも小さく、軽く感じるんです。これなら手に持って頬に当てて通話しているところを何とか想像できます。もちろん、今どきの携帯電話とはとても比べものになりませんが。やっぱり、カタログや写真で見ているだけではダメですね。実際に触れてみないとわからないものです。
しかも、これが電話としてだけでなく通信機能を標準装備したPDAとしても使えるわけです。「小さすぎる」とも言われる2.8型のVGA(480×640ドット)液晶も、普段から同じように細かい携帯電話の画面を見ていることを考えれば、それほど問題は感じませんでした。むしろ、初代ZERO-3の3.7型VGAが間延びして見えるくらいです。170gの重量は、あの小さなレッツノート・CF-R4と比べても6分の1強に過ぎません。大げさにノートパソコンを引っ張り出さなくても、これで用が足りてしまう場面はあるはずです。
さらに驚いたのは価格。新規契約なら3万円を切っています。ウィルコムの普通のケータイでも、上級機種に位置づけられているものは2万円近い値段でした。PDAを仕事にバリバリ使うわけでもない私にとっても、パソコンを一部肩代わりできるかも知れない「高価なおもちゃ」に対して支払う金額として、差額の1万円強というのは十分リーズナブルでした。
本能の赴くままに(笑)
そんなわけで、私は、7月27日発売予定だった[es]を予約して、登場を待つことにしました。もちろん、発売から2ヶ月経った今、こうして私の手元にも届いています。いろいろと試してみているところなんですが、書きたいことが多すぎて困っています。
[es]のことを一言で表現するなら、とにかくケータイとしてはとことん変で面白いヤツです。その全貌は、追々明らかにしていきたいところ。限界が何処にあるのか全然見えないくらい、奥が深いんですけどね。
[es]という名前の持ついろいろな意味は、「ケータイWatch」の記事などで語られていましたが、「es」という単語自体は心理学の用語で使われる「自我」の概念を示す(語源はドイツ語の「それ」ですね)ものです。本能的に欲しくなる…という意味を込めているそうですが、確かに、私は視覚や触覚などの「感覚」レベルで揺さぶられてしまいました。まさにウィルコムの思うツボ?
前回からの続きで、ウィルコムの音声端末選びに関する話題。いよいよこのコーナーも話が本題に突入したかな?という感じです。
ZERO-3[es]については、かつて「ささっちブログ」にも相当辛口のコメントを寄せたわけですが、実物を目の前にするとかなり印象が変わったのは確かです。やっぱり、直接触ってみなくてはわかりません。間接的な情報だけで、下手にわかったようなコメントはするものじゃありませんね。
なお、記事を公開するのが遅れたのは、単に忙しかっただけ。隠していたわけでも、きまりが悪かったわけでも(苦笑)ありません。だいたい、[es]の話がしたくて新コーナーを立ち上げたようなものですから。既にいくつか試してみたこともありますし、出来る限りご紹介していきたいと思っています。
コメントを残す