先週出かけていたアメリカから、昨日無事に帰ってきました。今日の更新のために原稿を書く時間は結構あった筈なんですが、無事に帰れたことを確認しないと、どうも原稿に手が付けられなかったんですよね。飛行機が時間通りに飛ばないかも知れませんし、パスポートを落として帰国できなくなってしまうかも知れませんし。こう見えて、私も意外に心配性なのかも知れません。
アメリカでの最後の2日間、16日と17日はニューヨーク市に滞在しました。ニューヨーク州の南端にあるマンハッタン島を中心としたニューヨーク市は、皆さんもよくご存じのアメリカ最大の都市。先週行ったナイアガラの滝のアメリカ側も、その後合唱団の演奏会が行われたロチェスターも同じニューヨーク州にありますが、大自然を肌で感じるナイアガラ、地方都市らしいのどかさが味わえるロチェスターとは違い、ニューヨークはまさに都会らしい都会です。
ニューヨークに着いた16日の午後は、市内をバスで走り回っての観光でした。ニューヨークを象徴する高層ビルのエンパイア・ステート・ビル、各国の国旗がずらりと並ぶガラス張りの巨大な国連本部ビル、漢字とアルファベットの混ざった看板がアイデンティティを主張するチャイナ・タウン、あの9月11日に崩壊した世界貿易センタービルがあった場所である「グラウンド・ゼロ」…とりあえずいろいろなものを見るだけは見てきた、という感じです。
そんな中で、1カ所だけバスを下車した場所がバッテリー・パーク。マンハッタン島の最南端にあるこの公園に止まった理由は、自由の女神を眺めることができるからでした。ニューヨークを…というよりもアメリカを代表するモニュメントである自由の女神は、ニューヨーク港の入口、リバティ島に立っています。ここからでは小さく見えるだけなんですが、アメリカに来た記念の一つにはなったかな?という気がしています。
ニューヨークといえば、ミュージカルの本場・ブロードウェイもあります。16日の晩には、「オペラ座の怪人」を見に行きました。この日はオプショナルツアーで「ミュージカル鑑賞」というメニューがあって、どの作品が見られるかは最初はわからないままに選んだんですが、この作品になったのはとても幸運でした。もう一度見たい!と思っていた作品ですからね。英語のまま聞いても大丈夫だな…と思っていました。映画版も、日本語版の舞台も知っているわけですから。
劇団四季の公演では、オペラらしい歌声の、品のあるファントムを見せてもらったわけですが、今回のブロードウェイ版のファントムは比較的シャウトする場面が多く、映画版のイメージに近い、若々しく情熱的なイメージで魅せてくれました。「クリスティーヌを巡って恋敵ラウルと張り合うファントム」という図式はとてもわかりやすかったんですが、それにしても叫び悲しむ場面など表現がちょっとストレートすぎるかな?という気もしました。
今回の座席は待望の1階席、しかも前から6列目という好条件。日本では「降りてくる」と評したシャンデリアがどうなっているのかが気になりましたが、ブロードウェイではずいぶんスピードが速く、ちゃんと「落ちてくる」感覚を味わえました。残念ながらちょっと隅に近い場所でしたが、ど真ん中ならもっと怖かったはずです。
エネルギッシュで、時折笑いもあり、感動的なステージだったと思うんですが、ちょっとびっくりしたのはカーテンコールがほとんどなかったこと。今回ももちろん同行したミュージカルの師匠・Jonathan氏は、これには不満そうでした。彼らにとっては、いつもと比べるとちょっと物足りなかったのでしょうか。良いものには精一杯の称賛を与える一方で、そうでないものに対する姿勢は徹底して厳しい人たちですし。
一つ驚いたのが、上演されている間以外はカメラ撮影が自由になっていたこと。日本の劇場型イベントだと、内部ではカメラの使用が一切禁止の場所が多いですよね。今回私たちの出かけたマジェスティック劇場は、日本の劇団四季の劇場と比べるとこぢんまりとしている気がしました。中で見ているアメリカの皆さんの身体が大きいせいかもしれませんけどね。
17日には、メジャーリーグの試合を見に行きました。ヤンキースタジアムで行われた、ニューヨーク・ヤンキース対ボルチモア・オリオールズの一戦です。球場には、地下鉄を使って向かいました。ニューヨークの地下鉄は、基本的にどこまで乗っても1回2ドルの均一料金で、しかも一日乗車券ならたったの7ドル。平均的な物価が日本よりも高いことを考慮すると、地元の人たちにはかなりお得な生活の足なのでしょう。均一料金なので、出口には改札がなく、一方通行の回転扉があるだけでした。
ヤンキースタジアムでは荷物チェックが厳しく、「大きなバックパックや望遠レンズ付きのカメラは持ち込み禁止」との情報が入っていました。このため、普段持ち歩いていた大きなデジカメは念のため置いていくことにしました。球場に入ってみると、一眼レフを構えた人たちをたくさん見たので、ちょっと損した気もしました…まあ、球場内の雰囲気を味わえるだけでも嬉しいんですけどね。「望遠レンズ」の意味を過大解釈して過剰反応してしまったかも。
その球場内の雰囲気は最高。5万人以上が入るスタジアムの、スタンドの一番上に近い場所に座ったのに、グラウンドが実に近いんです。おそらく、日本の球場よりもスタンドの傾斜が急だからだと思います。アクトシティ浜松・大ホールの4階席並み。歩くのもちょっと怖いくらいです。
ファンたちの声援も実に熱くて楽しいですね。いわゆる日本流の鳴り物は全く使わずに、手足と声だけを使います。ヤンキースの看板選手の一人であるA・ロドリゲス選手が、この日の守備でミスした後、打席で凡退しました。すると、1塁側スタンドのヤンキースファンたちは彼の愛称「A-Rod」ならぬ、「B-Rod!」のかけ声と共にブーイングを浴びせていました。「あれは別人だ!」という洒落が効いているわけですが、良いプレーには惜しみない拍手を、だらしないプレーには容赦ないブーイングを…というのは、やっぱりこの国の人たちの国民性なんだと思います。
試合は12対2でオリオールズが圧勝。ヤンキースは地元ファンたちの前に情けない姿をさらしてしまいました。それでも、9回裏の最後のバッターにも、声を上げて応援を続ける子供たちがいました。野球はサッカーなどとは違い、大差を付けられた最後の土壇場になってもまだ逆転勝利の可能性が残っているスポーツです。最後まであきらめない気持ちを子供たちに教えるにはもってこいだと思いますね。
ニューヨーク市内では、歩いて移動する機会もありました。ミュージカルを見に行く途中に、タイムズ・スクエアの交差点を通りました。もともととても賑やかな場所なんですが、暗くなると色とりどりの光に囲まれて、実に華やか。ニューヨークという街のエネルギーの強さを感じることができます。
一緒に行った合唱団の人たちも、2日間のニューヨークをそれぞれに楽しんだようです。ジャズ演奏のライブを聴きに行った人、美術館で1日を過ごした人、自由の女神の足下まで行った人、二夜連続でミュージカルを見に行ってしまった人…いろんな魅力のあるニューヨークだと思うんですが、私が見てこられた物はその中のほんの一部です。また行ってみたい街になりましたね…地球の裏側で、そう簡単に行ける場所でもありませんが。
昨日、無事に1週間の「ロチェスター演奏旅行」から帰ってきました。今回は、アメリカ最後の2日間を過ごしたニューヨーク市での話題です。今回の旅行では、まだまだ書きたい話題がいろいろありますが、困ったことに書いている時間もなかなかありません。どうしたものか思案中です。
海外旅行の後ということで、気になるのがいわゆる時差ボケ。アメリカ東海岸は、ちょうど日本と昼夜が逆転している地域ですから、そう簡単に適応できるわけではありません。昨日帰ってきたときには、「ちょっと疲れてるかな?」と思ったくらいで、時間がずれている感覚はありませんでした。ところが、翌朝になってみると、いつもなら6時30分に一度は目が覚める私が、8時半過ぎまでぐっすり寝てしまったんですよね。身体は正直なようです。
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