先週は、世界を相手に戦うワールドカップ・サッカーの話題でしたが、今日は国内に目を移してプロ野球を見ていこうかと思います。こちらは、先月上旬から行われていた交流戦が終わり、この週末からセ・パ両リーグのリーグ戦が再開しました。
交流戦では、これまでは日本シリーズでしか顔を合わせなかったセ・リーグのチームとパ・リーグのチームが、シーズン中に、しかも総当たりで対戦します。昨季から始まった、プロ野球界の新しい試みですね。これが、単なるエキシビジョンではなく、ペナントレースの成績の一部としても評価されるところもポイントでしょう。選手たちにはこれまでと異質の緊張感があります。初めて実施された昨年は、セ・リーグの首位を走っていた中日ドラゴンズが交流戦で低迷し、結局リーグ優勝を逃しました。
もともと、観客動員に苦労していたパ・リーグがセ・リーグと試合をしたくて言い出した…と理解していますが、今年の観客動員は、昨年と比べるとセ・リーグが増加、パ・リーグが減少という結果だったようです。セ・リーグの観客増加には「新庄効果」が無視できないと思います。彼の「引退興行」の、セ・リーグ本拠地での出張公演です。私だって、見られるものなら彼を一度くらいは見に行ってみたいですからね。観客が増えるのはよくわかります。
今年の交流戦の、全日程終了時の順位表を見てみましょう。いつも載せている順位表よりもずいぶん縦に長くなっています。交流戦では12球団を一線に並べて比較することになりますから、こうなるのは当たり前なんですが。
順位 | 球団名 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝率 |
1 | 千葉ロッテマリーンズ | 36 | 23 | 13 | 0 | .639 |
2 | 東京ヤクルトスワローズ | 36 | 22 | 14 | 0 | .611 |
3 | 阪神タイガース | 36 | 21 | 15 | 0 | .583 |
4 | 中日ドラゴンズ | 36 | 20 | 15 | 1 | .571 |
5 | 福岡ソフトバンクホークス | 36 | 20 | 16 | 0 | .556 |
6 | 西武ライオンズ | 36 | 19 | 16 | 1 | .543 |
7 | 北海道日本ハムファイターズ | 36 | 17 | 19 | 0 | .472 |
7 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 36 | 17 | 19 | 0 | .472 |
9 | 広島東洋カープ | 36 | 16 | 20 | 0 | .444 |
10 | 横浜ベイスターズ | 36 | 15 | 21 | 0 | .417 |
11 | 読売ジャイアンツ | 36 | 13 | 23 | 0 | .361 |
12 | オリックスバファローズ | 36 | 12 | 24 | 0 | .333 |
千葉ロッテマリーンズが、2年連続で交流戦の優勝チームになりました。リーグ戦開幕当初は今ひとつ調子に乗れていなかったマリーンズでしたが、気が付けばちゃんとパ・リーグのペナントレースでも首位争いをしています。昨年の日本一を「偶然」と片付けられることのない、地に足の付いた強さを身につけてきたような気がします。
昨年の交流戦ではつまずいた中日ドラゴンズでしたが、今年は貯金を5つ上積みして、交流戦4位の好成績を収めました。セ・リーグのペナントレースでも1位に躍り出ています。もともと地力のあるチームです。リーグ優勝に期待したいところですね。
逆に、今年交流戦で転げ落ちたのが読売ジャイアンツ。交流戦に入る前は余裕の首位を走っていたんですが、せっかくの貯金をほとんど吐き出してしまいました。交流戦明けにもドラゴンズに3連敗して、ついに借金生活に突入。主力選手に故障が相次いで、とても万全とは言えない状況で戦っています。調子を立て直すのにはもう少し時間がかかりそうです。
そして、チーム成績で最も特筆すべきなのが東北楽天ゴールデンイーグルス。去年は交流戦でも圧倒的な弱さを見せつけてくれた(そのイーグルスに本拠地3タテを食らったドラゴンズって…)わけですが、今年は終わってみれば借金がたったの2。交流戦7位で乗り切りました。相変わらずパ・リーグ最下位ではありますが、気が付いてみれば5位とのゲーム差は4.0。背中がうっすらと見えてきました。
イーグルスでは、野村克也監督の戦略にようやくチームがかみ合うようになった…というより、監督が戦略を立てられるくらいに選手が動けるようになってきたようです。身体的な能力と言うよりも、むしろ意識の持ち方が影響するような気がします。昨年監督が替わったときには、「頭をすげ替えただけでそう簡単には勝てないよ」と思っていましたが、これは認識を改めざるを得ません。当然新戦力の補強もしているわけですが、選手たちの能力を引き出す点では、やっぱり野村監督は凄い人です。
交流戦をきっかけに、イーグルスがついに開眼したのか?…それは、今後の彼らの試合をもう少し見守らなくてはわかりません。今日は福岡ソフトバンクホークスに3対4で負けてしまいましたが、昨日はそのホークスを相手に1点を守りきって勝ちました。こういう勝ち方は、偶然や運だけではできません。ついつい期待したくなります。
交流戦をきっかけにブレークした選手もいます。ドラゴンズの佐藤充投手は、交流戦で4連続完投を含む5勝負け無し、防御率も0.91と大活躍でした。彼の成績が本物なのか、それとも交流戦という環境のおかげだったのか。これから真価が問われます。彼の場合は先発ローテーションに入ったのが交流戦に入ってからですから、これからも初対戦のチームが続きます。つまり、当分は手の内をあまり知られずに有利な状況で投げられることになります。
このまま彼が活躍を続けて好成績が残せれば、佐藤選手にとっても、ドラゴンズにとっても、今年の交流戦は実に美味しいイベントだったということになります。去年は交流戦で大変な目に遭ったドラゴンズですが、悪いときがあればよいときもあるものです。交流戦のような環境の変化を試練と捉えるのか、チャンスと捉えるのか。気持ちの持ち方でずいぶん結果が変わってくる気がします。
去年に続いて今年も行われた、日本プロ野球の交流戦を話題にしています。対戦相手のチームがちょっと変わるだけでも、見ている側には実に新鮮です。これが今後毎年行われて当たり前のことになっていくと、どう感じるのかはわかりませんが。
ところで、交流戦での勝利数をリーグ別に集計してみると、セ・リーグのチームが107勝、パ・リーグのチームが108勝、引き分けが1試合となります。もう少しどちらかのリーグに勝利が偏る可能性もある筈なんですが、結果は不気味なくらいに均等になっています。かつては「人気のセ、実力のパ」と言われたりもしましたが、現在の両リーグの実力差はほとんどない…ということなのでしょうね。
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