水曜日・15日に、現在開催中の愛知万博を見に行ってきました。愛知県長久手町、瀬戸市などを会場にして3月25日から9月25日まで行われている「2005年日本国際博覧会」こと愛知万博は、国際博覧会条約に基づいて博覧会事務局(BIE)に登録された国際博覧会です。業界団体の国際大会であった浜名湖花博などは、この意味で言うと「国際博覧会」には含まれないことになり、愛知万博の方が格上ということになるのでしょうか。ともかく、そんな世界的なイベントが隣の県で開催されていることは確かなわけで(実は静岡県内である伊豆方面に行くより近い)、少なくとも一度は足を運んでおこうと思っていました。
それにしても、いつも気になるのは「愛・地球博」という博覧会の愛称。「環境の世紀」・21世紀初の国際博覧会として、「Love the Earth」は決して悪いテーマではないと思います。しかし、「あい・ちきゅう博」と「あいち県」が掛詞になっていることは、日本人にはすぐに理解できるものの、国際的に理解してもらうのはなかなか大変です。もっとも、掛詞自体が実に日本らしい言葉の文化ですから、これで良いのかも知れませんが。
この日は平日で、しかもいかにも梅雨どきという雨模様。こんな状況なら人出は結構少ないのでは?と踏んでいましたが、それはあまりにも甘すぎました。愛知環状鉄道からリニモに乗り換える万博八草駅はご覧の通りの大混雑。さらに、万博会場の北ゲートでは手荷物検査を受けるために20分以上も傘を差しながら待つ羽目になりました。
考えてみると、浜名湖花博でも雨は観客が減る要因にはなりませんでした。そして、平日も結構にぎわうことも体験済みです。特に団体客の皆さんは、平日だろうと、雨が降ろうと、ずいぶん前から「この日に行こう!」と決めて訪れることがほとんどですからね。会場では、遠足か修学旅行らしい子供たちの姿も数多く見かけました。学校などの名前を書いた看板を持った人もたくさん見かけました。
それでもこの時期に行きたかった理由がありました。それは、今月9日から19日までの期間限定で展示されている「プロトタイプロボット展」を見たかったから。もともと、愛知万博ではいろんな場所でロボットが活躍していますが、ここには「2020年の実用化を目指して」というテーマで65種類もの実用化一歩手前レベルのロボットたちが集まりました。それぞれ得意技は違いますが、私たちを驚かせ、楽しませてくれます。テレビニュースなどで取り上げられているのを見た方も多いかも知れませんね。
会場に集まったロボットたちを見ると、様々な場所に移動したり、より多彩な作業をこなしたりする運動性能を追求したものと、人間と会話することを目指しコミュニケーション能力を追求したものとに分かれます。どちらも最先端の技術を駆使して作られますが、その方向性はかなり異なります。どちらも同じように「ロボット」と呼ぶのにはちょっと違和感がありますね。もちろん、究極的には両方を兼ね備えたものを目指すことになるのでしょう。
足での歩行や器用な手先の動きなど、ロボットの運動性能はずいぶん良くなってきたと感じます。しかし、コミュニケーションについてはさらなる努力が必要なようです。みんな結構頑張っているとは思うんですが、「彼ら」の後ろにあるコンピュータが容易に透けて見えるうちはまだまだのような気がします。一方で、完全に包み隠せるようになったらそれはそれで怖いのですが。
もちろん、愛知万博には他にもいろんな国々や企業がパビリオンを出展しています。見たいものを挙げればきりがないんですが、今回私がこだわったのがJR東海の超電導リニア館。建物から突き出ているのは、一昨年12月に鉄道の最高速記録・時速581kmを記録した本物の車両です…鉄の線路と車輪を使わないリニアモーターカーが「鉄道」なのかどうかはちょっと疑問なんですが。
「超電導」とは、極低温である種の物質の電気抵抗がゼロになる現象で、これを利用すると超強力な電磁石である超電導磁石を作ることができます。これを使って浮上と推進を行うのが超電導リニア。「最先端技術」と「最高速」の二つのとんがったキーワードを持っています。新しもの好きの私にとっては魅力いっぱいです。山梨実験線で試乗会が行われていることを聞いて何度か応募しているんですが、残念ながら一度も抽選に当たったことがありません。本物が見られるのなら是非行こう!と思ったわけです。
大型スクリーン上での実写とCGを交えた3Dシアターは、ちょっとCG部分の演出がクサいな…と思ったものの、ほぼ期待通り。本物の車両の中を通り抜けられるのも確かに嬉しいんですが、本当にただ通り抜けるだけなのでじっくり味わう余裕はありませんでした。それよりも一番博覧会らしい展示だったのは、本物の超電導磁石を使って実験を見せてくれる「超電導ラボ」だったかも知れません。なかなかライブで見られるものではありません。
意外に楽しめたのが、超電導ラボにある本当にリニアモーターで走る50分の1の模型。さすがに超電導磁石を使っているわけではありませんでしたが、なかなかスムーズに走ります。先頭車両にカメラが仕掛けてあり、結構スピード感のある映像を見せてくれました。
入り口の説明で、「皆さんの乗ってきたリニモとは違って」と妙に強調されていたのには思わず笑ってしまいました。万博会場へのアクセス路線として整備された(と言ってしまうと厳密にはちょっと違うんですが)、日本で初めての磁気浮上式リニアモーターカーの営業路線であるリニモですが、浮上原理は確かに全く違います。JR東海の技術に対する自信と誇りの強力なアピールが伝わってきました。まあ、超電導リニア線開業に向けて最大の障害は技術面ではなく財政力だと思いますが。
そのリニモの乗り心地とか、他にもいろいろ書きたいことはあるんですが、このままではいくら書いても終わりそうにないので、続きはまた回を改めて…ということにしましょう。それでは、また。
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