先週末から始まった日本シリーズは、決着の付かぬまま2度目の日曜日を迎えました。3試合を終えた時点で、西武ライオンズが2勝1敗と先行しました。この第3戦では、中日ドラゴンズに珍しく継投のミスがあり、勝てる試合を落としたような嫌な雰囲気が漂いました。しかし、その翌日の試合は台風で中止。ドーム球場の試合が中止になるのも珍しいわけですが、ドラゴンズから見ればこれで気分転換が出来たのかも知れません。順延になった第4戦からは、12球団一の投手力を土台に守り勝つドラゴンズ本来のスタイルが出てきました。
5試合を戦ってドラゴンズの3勝2敗。50年ぶりの日本一に王手をかけてナゴヤドームに戻ってきたドラゴンズでしたが、第6戦はライオンズの勝利となり、決着は明日の第7戦に持ち込まれました。泣いても笑ってもあと1試合。両チームの真剣勝負に期待しましょう。もちろん私はドラゴンズを応援するしかありませんが。
一方で、プロ野球を取り巻く暗い空気はなかなか晴れません。ストライキまで行われた球団合併とそれに伴う球界再編の動きですが、今のところライブドアと楽天から出されたリーグ加盟申請の審査中です。来月頭には結論が出ることになっていますが、勘違いしてはいけないのはこの中から1球団の加盟が認められると確約されたわけではないこと。「どちらもダメ」という結論が出て、話が振り出しに戻ることだって考えられます。
しかも、パ・リーグではさらにプロ野球球団の危機が訪れています。経営再建を国に託したダイエーは、ホークスを保有し続けられるかどうかを自分で決められません。西武ライオンズも親会社に証券関係で不祥事が明らかになって、経営に大打撃を受けることは避けられそうにありません。ここでさらに球団が減るような事態にでもなったら、さらに状況は泥沼化するかも知れません。
そんな状況で、ホークスが身売りされることになったら買い取ろう…と名乗り出たのが、ヤフーBBなどの攻撃的な事業展開でもお馴染みのソフトバンク・孫正義氏でした。いくら地元の球団(孫氏は九州出身で、ソフトバンク創業の地も福岡なのだとか)だとはいえ、球団はそう簡単に買えるものではありません。新規加盟を目指す2社も含め、IT関連企業の元気の良さが目立ちます。
今年のプロ野球は本来の試合以外のところでいろいろなことが起こりますが、一つ忘れてはならない事件があります。それは、新人選手の獲得の裏で動いているカネの一端が明るみに出たこと。今年のドラフト会議の目玉…と目されていた一場靖弘投手に対して、3球団が十万円単位の現金を数回渡していたことが明らかになりました。
現在のドラフト会議には「自由獲得枠」という制度があって、大学生以上の選手は、人数制限付きではあるものの各球団が個別に交渉して獲得することが出来ます。まさに各球団の自由競争なんですが、事前に金銭を渡すのは禁止行為です。それでも、選手側に特定の球団への愛着でもない限り、球団が選手を引きつける一番簡単な手段は金銭かもしれません。もっとも、自由獲得枠が出来る前からこういう話は常にあって、ようやく表に出てきたか…という気もしているわけですが。
それにしても思うのは、「彼だけが特別なのか?」ということ。おそらくほとんどの選手が獲得競争の中で同じように金銭を受け取っていると思いますし、選手の両親やチームの監督が多額の金銭などを受け取っている…という噂も数多いですね。おそらく一場投手は特別な例ではありません。特別に運が悪かったとは言えるかも知れませんけどね。
一場投手のプロ入りはこれでまず無くなったでしょう。優秀なプレイヤーの未来に影を落としてしまったことは間違いありません。しかし、彼の犠牲の上に、プロ野球のドラフト制度は何か変わるはずです。そもそも、「下位球団から選手を指名する」と言いながら自由競争がある現在の制度自体が歪んでいるわけです。純粋な下位球団からの指名にするか、逆に全くの自由競争にするか。二つしか選択肢はないような気がします。
3球団とも、「道義的責任を取って」とオーナーが辞任する事態になっています。実は、この事件の最大の成果はあの名物オーナー、読売ジャイアンツの渡辺恒雄氏のクビを飛ばしたことかも…と思っています。まあ、あの人も球界にいろいろ貢献はしているわけですが。そのアンチヒーローぶりがジャイアンツ対他球団という対決の構図を演出してきたと思いますし、「たかが選手」の一言がストライキから球界改革への流れを加速させたとも言えますし。
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