高速無線LAN内蔵への道(2) ~組み込み編

組み込む前に…

前回までで、CF-R2A最軽量モデルに無線LANを内蔵するために必要な部品が揃いました。早速組み込んでいくことにしましょう…と言いたいところですが、その前に一つ確認しておきたいことがあります。それは部品の重量。軽さもこのマシンの重要な性能だと認識している以上、押さえておかなくてはならない数値です。

小さなネジまで含めた部品すべての合計重量は17g。単純にこの数値を加えると、950g程度の本体重量でIEEE802.11g対応の無線LANを内蔵した、機能フル装備の最軽量レッツノートが出来上がることになります。PCカードは39gでしたから、無線LANが使える状態として比較するとこれまでより20g以上の軽量化になります。ただし、PCカードの場合は「携帯しない」という選択肢もあり得ますから、単純には比べられないんですが。

組み込んでみましょう

それでは、実際に部品を組み込んでみることにしましょう。

解説写真1

1. CF-R2本体は、パームレスト部が完全に外れるところまで分解します。この写真とあの記事を見ても理解できない方は、真似するのはやめておいた方がよいかも知れません。改めて言うまでもなく、分解、改造は自己責任で行うものですのでご注意ください。

解説写真2

2. 液晶画面サイドのカバーを取り外します。

解説写真3

さらに、ヒンジ部と液晶画面の間を留めているネジも外し、液晶パネル側が宙ぶらりんの状態にします。こうしておくとアンテナの配線はしやすくなりますが、液晶パネル側への配線を断線させないように取り扱いには注意しましょう。

解説写真4

3. アンテナを取り付けます。アンテナ基板を固定する前に、同軸ケーブルを液晶パネルの裏側に通しておきました。こうしないと同軸ケーブルが挟まって液晶前面と背面の部品が上手くかみ合わず、サイドカバーがはめられなくなります。

解説写真5

アンテナ基板は写真の向きで(写真は左側アンテナ)合わせ目の内側に挟み込み、穴を合わせてネジ2本で留めます。右側アンテナも左側と対称な形になるように取り付ければよいのですが、右側のネジ穴にはネジ山が切ってありませんから、マグネシウム合金の天板にネジ山を切りながらねじ込んでいくことになります。アンテナを固定する前にあらかじめネジだけで山を切っておくと作業がスムーズです。ネジの材質が硬くて助かりました。

解説写真6

4. 同軸ケーブルは、ヒンジ部の隙間からすんなりと筐体内に通すことができます。

解説写真7

右側のケーブルは、そのままだとPCカードスロットの取り出し機構と干渉してしまい、断線などの危険性も感じましたから、PCカードスロットを一度取り外してその下を通すことにしました。

解説写真8

5. MiniPCIの無線LANモジュールは、メモリモジュールと同じようにスロットに斜めに差し込み、平らに倒すと固定されます。取り付けた後だとアンテナからの同軸ケーブルが差し込みにくいので、取り付ける前に接続しておいた方がよいかも知れません。

解説写真9

モジュール上には「MAIN」と「AUX」の端子がありますが、一応左をMAINに、右をAUXにつないでおきました。2つのアンテナは受信状況の良い方の電波をモジュールが選択して使用するダイバーシティ方式なので、どちらをどうつないでも動作は大丈夫なはずですが、ケーブルの取り回しを考えるとおそらくこれで正解でしょう。

6. あとは分解したのと逆の手順で組み直せばできあがり。丁寧に組み立てていきましょう。

組み上がった状態で全体の重量を量ってみたら942gでした。前に量った数値と比べてみるとだいたいつじつまは合いますが、結果がこうして数字として出てみると、やっぱり軽さを実感しますね。

これでCentrinoになった?

私のCF-R2A最軽量モデルは、これまで無線LANが内蔵されていなかったためにCentrinoのブランド名が付いていませんでした。しかし、今回の作業でPentium M、855シリーズのチップセット、そしてIntel PRO/Wirelessシリーズの3つが揃い、実質的にCentrinoの要件を満たしたことになります。

地味なPentium Mロゴのまま

これまでは、電源投入直後には画面右下にPentium Mロゴが表示されていました。無線LANモジュールを取り付けたことが認識されて、ここがCentrinoロゴに変わるのではないか?と期待したのですが、結果はご覧の通り地味なPentium Mロゴのまま。CF-R2AのBIOSはこの「後付け」仕様ではCentrinoと認めてくれないようです。

日本語が表示されました;拡大画像サイズ35.7KB

Windowsが起動すると、自動的に新しいデバイスが認識されますが、ひとまずドライバのインストールは中断して、改めて無線LANモジュールに付属していたCD-ROMを読み込みます。自動起動で出てきたのは日本語の画面。EU向けの製品なだけに、ちゃんとインターナショナル版のドライバディスクが付属していたんですね。ドライバやユーティリティソフトもちゃんと日本語版のものが用意されていました。別に英語版でもいいんですが、ここはほっと一息です。

Centrinoモバイルテクノロジテストユーティリティ;拡大画像サイズ31.5KB

Centrinoに関連して、もう一つの方法でチェックをしてみました。Intel社が提供している「Centrinoモバイルテクノロジテストユーティリティ」です。先に挙げた3つのデバイスの存在を確認して、Centrinoの要件を満たしているかどうかチェックする…というプログラムですが、結果は見事合格。Intel社は「後付けCentrino」もちゃんと認めてくれるようです。

まあ、Centrinoであることそのものにはそれほど意味はなくて、無線LAN機能が内蔵されたことで使い勝手がどう変わったかの方が大事なんですよね。これについては、しばらく実際に使ってみないとわからないことなので、研究してみたいと思っています。


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