高速無線LAN内蔵への道(3) ~ソフトウェア編

最大の効果は

前回、無事無線LANの内蔵に成功した私のCF-R2A最軽量モデル。今のところトラブルもなく順調に動作しています。自宅でも、職場でも、無線LANのアクセスポイントにこれまでとほぼ同じ感覚で自動的に接続を確立することができます。製造元が異なっても互換性を考えなくて済むのは、「Wi-Fi」という相互接続の認定システムが機能しているおかげですね。

内蔵されたことによる最大の効果は、PCカードの出っ張りが完全になくなったこと…だと思っていたのですが、実はそれ以上に大きかったのは、電波の受信感度が劇的に向上したこと。職場ではコンクリート壁の向こうにアクセスポイントがありますし、自宅でも隣の部屋で使うことがあり、これまでだと電波をなかなか拾えないこともあったんですが、確実に受信してくれるようになりました。アンテナの配置が狭いPCカードの中という制約から解放されて、より理想に近い条件を作れるわけですから、性能が上がるのは当然のことなんですけどね。

Intel PROSet for Wireless;拡大画像サイズ18.1KB

さすがはIntel

今回はタイトルにもあるとおり、無線LAN関連のソフトウェアを見ていこうと思います。無線LANモジュールにはCD-ROMが添付されていましたから、ひとまずこれをインストールしてみました。有線LANのトップメーカーでもあるIntel社らしく、ユーティリティソフトの「PROSet for Wireless」では、システム内に同社製の有線LANも存在する場合は設定画面を統合できるようになっています。全体的にそつのない作りが印象的です。

「電源設定」画面;拡大画像サイズ9.53KB

「電源設定」画面があるのも目立ちます。送信電波強度の設定がここに割り当てられているところにもIntel社の思想を感じますね。バッテリ消費を抑えるために電波出力を抑制するわけです。「不用意に電波をばらまかないようにする」という意味で、セキュリティ関連の設定に位置づけている製品の方が多い気がします。…とはいえ、別に「Intel社のセキュリティ意識が低い」と言いたいわけではありません。むしろ消費電力低減へのこだわりを強く感じました。

タスクトレイから無線をオフに

タスクトレイのアイコンでは、電波の状況を一目で確認することができます。さらにこれを右クリックすると出てくるメニューで、無線のオン・オフを切り替えられるようになっています。取り外してしまえば確実に電波を止められるPCカードとは違い、内蔵無線LANの場合は何らかの方法で電波を止める方法を用意しなくてはなりません。飛行機の中など、無線の利用が厳しく制限されている場所がありますからね。

特に、レッツノートの場合はハードウェアの無線LANスイッチが装備されていないので、ソフトウェアでの操作に頼るしかありません。こうして比較的簡単に操作できる配慮がされているのはありがたいですね。欲を言うなら、ショートカットキーでの切り替えができればほぼ完璧なんですが。

実はちゃんと使えるAES

良くなったところばかりの無線LAN内蔵なんですが、一つだけ後退したことがありました。それは無線LANのセキュリティ設定。これまで使えていた暗号化方式のAESが使えなくなってしまったんです。

無線LANが普及し始めた頃から使われてきた暗号化方式のWEPに加えて、より安全性の高いシステムとしてWPAに対応した機器が増えてきました。さらに、WPAのオプションとしてより高度な暗号化方式のAESが用意されていて(IEEE802.11iとして規定されるものを先行して運用しているのだそうですが)、これまで使っていたPCカードではドライバのアップデートで利用可能になっていました。ところが、Intel PRO/Wireless 2200BGについては、Intel社のWebサイトでは「対応予定」となっています。Panasonicでは「レッツノートでは対応していません」と説明されています。要するにAESは使えないわけです。

個人の住宅レベルでは電波を完全に封じ込めるのは難しいので、無線LANでは暗号化は必須。より高度な方式が使えるならその方が安心です。WPA標準のTKIP方式は利用できたので、とりあえず無線アクセスポイント側の設定をこれに変更して使うことにしましたが、不満がないと言えば嘘になる…という状態でした。

そんな中、今月になって富士通のWebサイトで「AES対応」を謳ったIntel PRO/Wireless 2200BG用無線LANドライバが公開されているのを見つけました。これが使えるのかどうか不安なままダウンロードして試してみたところ、あっさり成功。AESを使った無線LAN通信が可能になりました。

セキュリティ:CCMP

画面には「セキュリティ:CCMP」という表示が出ていますが、これが無線LAN上でAESを使う方式の略称だそうですね。これまで各社カタログでは見たことのない言葉です。ちなみに、ドライバに付属していた富士通独自の「ビジュアル系」のユーティリティソフトは無効にしておきました。派手なカスタムコントロールを多用した画面はあまり好きではありません。不必要に動作が重くなりそうなイメージがあります。

Panasonic製品では、ダウンロードモジュールは対象機種でしか起動できないようになっているので、もしも今後無線LAN関係の修正モジュールが公開されたとしても私には使えません。私のように「掟破り」の使い方をしている者からすると、富士通のようにオープンに使えるようにしてくれているのは嬉しいですね。

(追伸)
AES対応の無線LANドライバとしては、本家・Intel社から「PROSet for Wireless」の最新版をダウンロードすることもできるようになりました。英語版サイトから「2200BG」などをキーワードにして探してみてください。バージョン8.1以降がAES対応版になります。


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