舞台は自宅だけじゃない
これまで自宅にADSLによるブロードバンド環境を整備してきたわけですが、今回は趣向を変えて外出先でのブロードバンドに関する話です。最近では、私にとって外出先でのインターネット接続と言えばPHSのH”を使ったものでした。公共の無線通信が基盤になっていますから、都市部ならあまり場所のことを気にせずどこでも利用できて非常に便利です。通信速度は32kbps?64kbpsということになりますが、他の「モバイル」な通信手段と比べて特に遅い…というものではありませんでした。FOMAなどの次世代携帯電話が普及すればさらに通信速度が上がる可能性はありましたが、外出先ではとりあえずインターネットにつながるだけでも大したものだ…という感覚でした。
ところが、この状況は意外なところから一変します。それは、無線LANの技術を使ったシステムが広がり始めたから。もともと室内で使うための技術ですから、基地局からの距離がせいぜい数十メートルの場所でしか使えないということになりますが、それこそ個人でも簡単に購入できるくらいの安価な機械を使ってサービスが提供できます。基地局から先の通信回線についても、ADSLや光ファイバーの高速回線がずいぶん身近になりましたからね。これらの組み合わせで、外出先で、通信速度数Mbpsというまさに桁違いの速さを、しかも完全な無線で提供するサービスが実現できます。
こうして、都市部を中心にしてブロードバンド環境を利用できる区域が点在するようになってきました。と言っても、先に触れたとおり1つの基地局がカバーできる領域はそれほど広くないので、「区域」と言うよりも「地点」と言った方が適切なレベルです。こうした地点のことを「ホットスポット」と呼ぶわけですね。
基盤整備ならやっぱり東京
私の住んでいる浜松の街は、まだホットスポットという言葉とは無縁の場所です。一方、ホットスポットの整備が最も進んでいるのは首都・東京。様々な事業者が、様々な場所にホットスポットを設置しています。ただ、問題なのはそれぞれのホットスポットでそれぞれ個別の事業者との手続きが必要になってしまうこと。他社設備からのいわゆるローミングが可能になればホットスポットの「点」は「線」になり、さらには「面」に広がっていく可能性もあると思うんですが。
地方から東京にやってきた人間が初めて目にするホットスポットは、おそらくこれだと思います。JR東日本と日本テレコムが共同で、首都圏などの主要駅にホットスポットを試験的に設置しているもので、例えば東京駅なら有名な待ち合わせ場所・銀の鈴あたりにこんなステッカーがあります。東京駅内だけでも他に数カ所ホットスポットがあります。
このステッカーの下の方に書いてあるURLからモニターに応募することで、接続料無料でブロードバンド環境を利用できます。私の場合、対応プロバイダの一つであるBIGLOBEに加入していたので、フォームに簡単な内容を記入するだけで、専用IDが発行され、無線LANの利用が可能になります。設定も、無線LANの設定経験がある人ならそれほど難しくありません。裏を返すと、無線LAN自体がまだ新しいテクノロジーなので、設定を全く知らない人だと苦労するかも知れませんね。先に紹介した案内ページで、設定方法についても詳しいマニュアルが用意されています。
まさに未体験ゾーン
まずは、外出先では基本的に差しっぱなしにしているH”カードを使ってアクセスし、モニター登録を行いました、その後、H”カードを自宅から持参した無線LANカードと交換して、設定を済ませて、所定の手続きによりログインすると、これまで自宅で無線LANを経由して利用していたのとほぼ同じ、まさにブロードバンドと呼ぶのにふさわしい環境でインターネットを利用できるようになります。…いや、画像が表示されるまでの時間などを見ると、この速度は自宅以上かも知れない…という体感がありました。
そこで、前にも使ったosoさんのSPEED TESTを利用して通信速度を測ってみたら、その速さは実に1.9Mbps以上。私は未だ体験したことのない超高速です。無線LANの暗号化や多ユーザーとの共有のことを考慮すると、少なくとも8Mbps ADSL以上の回線が用意されているはずです。
あまりに通信速度が速いので、ついつい自宅でするのと同じようにWindows Updateを確認し、ウイルスパターンの更新も行い、さらに主要ページのネットサーフィンまで全て済ませてしまいました。全体を通して実に快適でしたが、そうなってくると「これがどこでも使えるようになればなぁ」という欲張りな気持ちが湧いてきます。携帯電話のようにどこにいても使えるようにするのは無理でしょうけど、せめて各社が独自に設置しているホットスポット相互の乗り入れをスムーズにしてもらえると、東京の人たちはとても便利だと思いますね。
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