デジタルの大原則
前回は、我が家のブロードバンド環境をより強力にしようと目論みながら、見事なまでにズッコケてしまいました。もともと非常にデリケートな通信環境であるADSLですから、条件的に不利な我が家の場合は仕方なかった面もありますが、それでもさすがにがっかりしました。
しかし、そんな現状からでも少しでも高速にする方法はないのか?と考えたときに目に付いたのが、家庭内での配線。これまでは、NTT西日本から送られてきた機材に付属した電話線を、ただ単に接続しているだけでした。ところが、Web上などでADSLに関する様々な記事を読むと、この配線の部分にこだわりを見せる人が多く、しかもそれが意外なほど成果を上げていたりします。
改めて考えてみると、ADSLの場合でも電話線の中を流れているのはモデムによって変換されたアナログデータです。高度なデジタル機器になるほど、実は一番重要なのはアナログ部分の品質である…というのは別にADSLに限った話ではなく、デジタル機器の大原則です。オーディオの場合でもそうですよね。CDから出てくる音を超高級アンプとスピーカーで鳴らすのとパソコン内蔵のスピーカーで鳴らすのを比べてみればすぐにわかる話です。
地道な努力
そこで、今回は家庭内の配線にちょっとこだわってみることにしました。アナログデータの通る部分である電話線で、いかにノイズを排除するかがポイントになります。一番単純で効果的なのは、経路を短くすること。というわけで購入してきたのが2本の短い電話線です。壁のモジュラージャックからスプリッタにつなぐための線は10cm、スプリッタからADSLモデムにつなぐ線も30cm…と、ギリギリまで短くしました。さらに、ケーブル自体にノイズ混入に強いと言われるツイストペアケーブルを使用したものを選択。それでも価格は2本で数百円に納まりますから、それほど高価な買い物ではありません。
電話線とACアダプターの端には、フェライトコアを装着しました(写真ではACアダプターに付いていませんが)。要するにケーブルの周囲に磁石の輪を巻いているわけなんですが、これもノイズ混入対策として効果があると言われています。1個でも数百円と、ケーブルに比べると少々高い買い物になります。個人的には、ACアダプターに装備したのがポイントです。電源はもともとそこまでノイズに対してデリケートな造りをしていないはずですから、ここで対策しておくのも有効だと思います。
電話線が短くなった分、ADSLモデムから無線LANアクセスポイントまでのLANケーブルを長くしています。こちらはもともと超高速のデジタルデータが走ることが前提になっている線ですから、電話線よりはずっとノイズに強いものです。結果的に、この2つの機器は別室に置かれることになり、距離はこれまでよりずいぶん離れました。無線機器からの電波も重大なノイズ発生源ですからね。これまた一定の効果を上げてくれるはずです。配線の経路そのものも、電話線をなるべく他の線から離すように工夫してみました。
ま、こんなものでしょう
配線を変更した効果はどうでしょう?。早速通信速度を計ってみることにしました。計測には、前にも使ったosoさんの受信速度自動計測ページを利用し、配線変更直前と変更直後に5回ずつ測定し、平均値を求めました。
変更前:
799kbps(777?813)
変更後:
840kbps(830?858)
数値的には、約5%の速度の向上が見られたことになります。グラフにすると、「たったこれだけなの?」という感じになってしまいますね。確かに、この程度の差では高速になったことは体感できないレベルです。それでも、「最大1.5Mbps」と謳われている通信能力の中で、発揮できていない部分が少し減った…という考え方も出来るわけで、全く意味がなかったとも言えないと思います。総額3,000円くらいの投資に見合うだけのものだったのか?と考えると辛いところもありますけどね。
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