ついに正式デビュー…ですが
ついにパッケージ版のWindows XPが市場に登場しました。16日の午前0時にはまたも深夜販売が行われたりして、久々の話題商品の登場に市場も期待しているようです。アップグレード版を購入されたみなさんは、もうインストールを済ませたんでしょうか?
Windows XPがインストールされたパソコンそのものは、10月下旬から店頭に並んでいますね。各社の製品ラインナップを見ていて残念なのが、持ち運ぶことを想定したパソコンであるB5サイズ以下のいわゆるサブノートパソコンにWindows XP Professionalを搭載したモデルがないこと。
先に少し触れていますが、基本的にHome EditionとProfessionalのベースは全く同じもので、Professionalには拡張機能がいくつか含まれています。確かに普通に使うだけならHome Editionで十二分な機能がそろっていると思いますが、Professionalにのみ含まれる機能の中には外出先でパソコンを使うために便利なオフラインフォルダ機能(ハードディスクにネットワーク上のファイルのコピーを置き、切断時にも利用できるようにして、再接続時に同期をとります)や、小さなノートパソコンもデスクトップ機から遠隔操作できるリモートデスクトップサーバー機能といったサブノート向けの機能が含まれます。まさに2台以上のパソコンを使いこなすプロフェッショナル向け…ではあるんですけどね。
赤外線通信、復活?
ところで、今回の話題はもう少し違う方面から入ります。それはWindows XPでの赤外線通信機能について。赤外線通信機能について少しおさらいしておきますが、ノートパソコンに装備されていることが多い黒色の窓が赤外線ポートで、ここから家電製品のリモコンと同じように赤外線という光を発してデータのやりとりを行います。115.2kbps、4Mbps、16Mbpsといった通信速度の仕様がある、れっきとしたワイヤレスの通信手段です。光は電波と違って指向性が非常に強く、しかも赤外線通信機能では利用距離をかなり短く(せいぜい1m)に設定しているので、実は情報の漏洩にも結構強いという意外な長所があります。パソコンの側では、この赤外線ポートを様々な他のデバイスに仮想的に割り当てて利用します。
パソコンの他にこの赤外線通信機能を実装している機械はそれほど多くないんですが、面白いものにICカード公衆電話があります。Windows 9xでは、パソコンの側で赤外線ポートを仮想シリアルポートとして割り当て、NTT東日本やNTT西日本から提供されている設定ファイルを組み込むと、公衆電話の前にパソコンを置くだけでデータ通信ができるようになります。ところが、Windows 2000には「赤外線ポートを仮想シリアルポートとして割り当てることができない」という仕様があるために、この機能は使えず、私もあきらめていました。
ところが、最近になってちょっと事情が変わってきました。例によって情報源はあのFPANAPCだったりするんですが、Windows 2000では赤外線ポートを仮想シリアルポートに割り当てるためのパッチが公開されているそうです。FPANAPCでは、このパッチを利用して赤外線ポートを持つDoCoMoの携帯電話・NM502iをモデムとして利用していましたが、基本的に公衆電話の赤外線ポートも同じもののはずです。
先のWindows 2000用パッチのページからWindows XPに関する英語版ホームページの記述をたどってみたところ、どうやらWindows XPでは赤外線ポートを仮想シリアルポートに割り当てることが可能になったようです。日本語のヘルプドキュメントを検索してみると、確かにその旨の記述があります。そうだとすると、公衆電話との赤外線による接続も可能になっているかも知れません。
実験あるのみ…しかし
そうとわかれば、早速実験してみるしかありません。ICカード公衆電話を探しに出かけました…が、これがなかなか見つかりません。最近は公衆電話自体が少なくなりましたからね。車で近辺を走り回り、結局私が見つけたのはセブンイレブンの店頭にあった硬貨も使えるタイプのICカード公衆電話。どうもセブンイレブンにはこのタイプの電話が良く置かれているようです。
早速公衆電話の前にCF-B5Rを持って行くと、硬貨を投入するよりも前にB5Rのスピーカーから聞き慣れない音が出てきました。もしや?と思ってデバイスマネージャを開いてみると、「Standard Modem over IR Link」という新しいモデムが認識されています。ちゃんとシリアルポート「COM7」に割り当てもされています。公衆電話から離れるとこのモデムは消えてしまうので、電話の前でLet’s noteを抱えたままこのモデムを使ったダイヤルアップ接続を追加。あとは、従来のデータ通信の手続きと同様に、硬貨を投入してから端末側でダイヤルアップの操作を行います。
ところが、ダイヤルアップの操作を行った直後、一瞬公衆電話側に「接続しています」とメッセージが出るんですが、その後すぐに硬貨が戻ってきてしまいます。もちろんインターネットへの接続は失敗。設定を変えながら何度か挑戦してみましたが、結局公衆電話の赤外線ポートを利用した通信は成功しませんでした。今のところまだ理由はわかっていません。もし接続に成功した方があったら教えていただけませんか?
でも、まあいいか
結局期待外れの結果に終わったんですが、私個人としては公衆電話が使えなくてもそれほど影響があるわけではありません。というのも、既に外出先でのインターネット接続にはPHSを使うという強力な手段がありますから。PHSを使えば、公衆電話を探さなくてもその場で接続を試みることができますし、全国共通番号のアクセスポイントが使えますから現在地がどこかを意識する必要もありません。さらに、通信料金だって大して違わないんですよね…公衆電話からの発信は固定電話よりも割高に設定されているそうですから。
確かにPHSの利用できる地域は都市部に限定されますが、私が実験するために苦労したことも考えると、ICカード公衆電話がある場所でPHSの電波が使えない…という事態はあまり考えられません。もしそういう状況が実際にあったとしても、ICカード公衆電話には赤外線ポートの隣にモデム用のモジュラージャックもちゃんと装備されていますから、実用上は全く問題ないんですよね。
(追伸)
公衆電話の赤外線ポートによる通信では、「Standard Modem over IR Link」のプロパティの詳細設定で追加コマンド「ATS100=1」を設定すると接続できるようになるそうです。NTT東日本とNTT西日本のホームページでも解説されています。これについては追試してみるつもりです。
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