♪夏が来?れば思い出す? 遙かな尾瀬? 遠い空?♪
と、唐突に歌など歌い出してしまいましたが、一年ぶりに登場の旅行レポート・Weekend SSK、今回の目的地はこの歌「夏の思い出」にも歌われている尾瀬です。尾瀬は群馬県・福島県・新潟県の県境に広がる日本最大の湿地帯にして国の特別天然記念物。夏のシーズンはとっくに終わり、秋の紅葉の季節にはまだちょっと早いところなんですが、実は今所用で群馬県内に来ているものですから、せっかく近所に有名な観光名所があるのに行っておかなくてはもったいないかな?と言うことで、今回出かけてみました。オフシーズンだからこそじっくり見られると言うこともありますし。
尾瀬の湿地帯は、大きく分けて西側の尾瀬ヶ原と東側の尾瀬沼に分かれます。あまりに広大なので、この両方を回るためには尾瀬にいくつかある小屋のうちどこかに泊まらなくてはなりません。今回、日帰りで出かける予定だったので、尾瀬ヶ原にポイントを絞って湿原を満喫しよう…ということにしました。設定したルートは、西側の鳩待峠から山の鼻に入り、尾瀬ヶ原をぐるりと一周する19.8km(詳細地図参照)。1日で、しかも徒歩で3県を踏破するという、言い方によってはとんでもないコースです。
今回、尾瀬には自動車で向かったんですが、尾瀬ではもう20年以上も前から厳しいマイカー規制を行っていて、シーズン中には車でたどり着けるのは麓の戸倉まで。そこから先はタクシーやバスを利用して入ることになります。戸倉から鳩待峠までは車で20分ほど、料金は一人片道900円。冷静に考えてみるともっともな価格設定ではあるんですが、どうしても割高感を持ってしまいます。まあ、徒歩で行くと何時間かかるかわかりませんからね。仕方ないところです。
鳩待峠で目に付いたのは、トイレが有料であること。といっても、尾瀬の環境保護のための「協力金」ということで、別にお金を払わないと入れないわけでもないんですが、私も含めて貴重な自然環境である尾瀬に関心を持っている人たちなら払わないわけには行きません。富士山麓などでも同様の手法を取っていますよね。
「夏の思い出」にも歌われている水芭蕉。もちろんシーズンは春から初夏で、今はこんな状況になっています。がっかりしても仕方ないんですが…またシーズンに行ってみたいものですね。ただ、そんな時期の週末なんてものすごい混雑で大変なんでしょうけど。
尾瀬ヶ原では、草紅葉の色にはもう一つ鮮やかさがありませんでしたが、その非常識なまでの広大さには圧倒されました。天気も幸い晴れの一日となり、青空と黄金色の湿原が鮮やかなコントラストを見せてくれました。点在する沼に青空が映り込んでいるのもまた趣があります。もちろんこの写真以外にもたくさん撮影してきました。Photo Worldの写真もご覧ください。
今回は静止画も全てこの春購入したデジタルハンディカムで撮影しました。高画質を謳っている製品なだけに、明るい綺麗な画像が撮れているんですが、静止画撮影に限って見るとシャッターの反応が少々鈍いのとメモリーに書き込む時間が長いのは気になるところです。
道程では、ときどき強力(ごうりき)さんの姿を見かけました。尾瀬に点在する小屋では、食事や宿泊が可能になっていますが、こうした小屋にいろいろな物資を運んでいるのがこの強力さん。直接尾瀬にアクセスできる自動車道は全くありませんから、こうして人力で運ぶしかありません。その荷物の重さは何と80kgにもなるとか。私たちが尾瀬を観光地として楽しめているのも、こうした人たちのおかげです。感謝したいですね。
ちなみに、強力さんたちの手に負えない荷物はヘリコプターで運ばれるのだとか。それなら全部ヘリコプターで運べばいい…という意見もあるかも知れませんが、そこはやっぱり経費の問題なんでしょうか。
ところで、尾瀬と言えば強力さんも私たちも歩いている木道(もくどう;写真にも写ってますね)なんですが、本来こうした施設は歩行者が湿原に足を取られないように設置されるものです。ところが、尾瀬の木道はこれとは全く逆で、湿原を登山客たちから守るために作られたものなのだとか。実際に昔は登山者たちが湿原の好きな場所を歩くことが出来て、その結果湿原の荒廃が問題になったことがあるのだそうです。
木道は、関係3県が多額の費用をかけて維持管理しています。試験的にアルミやコンクリートの通路を設置してみたものの、観光客の木道へのこだわりが強く、実用化はされなかったとか。尾瀬の木道は戦後になってから付けられたもので、歴史は浅いんですけどね。この辺りは構造物の材料としては自然に近い木の持つパワーなんでしょうか。
実は、今回尾瀬ヶ原で「夏の思い出」の歌を聴くことが出来ました。といっても、そこはさすがに尾瀬。別にスピーカーから歌声が流れているわけではなくて、観光客の中に朗らかな声で歌を歌いながら歩く紳士がいたんです。二人でハーモニーを奏でながら優雅に歌っていました。ただ、歌詞カードらしき紙を見ながら歌っていたのにはちょっと笑っちゃいましたが。
この紳士たちを含む10数名の一団が、道中に設けられた休憩用のベンチで「夏の思い出」を合唱していました。普通の場所ならちょっと恥ずかしいと思うんですが、尾瀬の雄大な自然の中で、腹の底から声を出すのが気持ちいい…という感覚はわからなくもありませんでしたね。
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