そもそもブロードバンドって何?
「ブロードバンド」という言葉がちまたに溢れるようになったのはここ1、2年でしょうか。そもそもブロードバンド(Broadband)は日本語では「広帯域」と訳されますが、思いっきり簡単に言うとこれまでの通信よりも密度の高い情報を…同じ量の情報なら「より高速に」ということになりますが…やりとりできる通信手段の総称ですね。
ブロードバンドと言えば、これと一組にして語られるものに「常時接続」というのがあります。広帯域の通信回線が必ずしも常時接続されている必要はない訳なんですが、ブロードバンドの利用代金はたいてい定額ですから、いくら使っても、それこそ常時接続していても問題ないわけですね。ただ、提供されているシステム自体いろいろあって、実際には「つなぎっぱなし」と言うよりも「使い放題」と言った方が適切な場合も多いようです。
ちょうど去年の今頃、ISDN回線で定額制のサービスを打ち出した「フレッツ・ISDN」の登場をWeekly SSKで採り上げたことがありました。当時は常時接続可能であることが革命的だと思った訳なんですが、今はそれだけじゃダメ。まさかたった1年でこれだけ状況が変わってしまうとは思いませんでしたね。通信速度の単位も、いつの間にかキロからメガへ変わってしまいました。
昔から、高速通信の可能な回線自体は存在したんですが、1年前の時点で個人にも手が届くブロードバンドはケーブルテレビの回線と通信衛星を使ったものくらいでした。ケーブルテレビは元々放送をデジタルのデータとして送っていますから、これをインターネットに使うのは当然の流れでした。通信衛星の場合も、スカイパーフェクTV!やBSデジタルは同じようにデジタルデータを送っているわけですから同様ですね。当時から1Mbps程度の通信速度で、しかもケーブルテレビは常時接続を実現していましたが、通信衛星は営業的に上手く行かずに挫折してしまいましたし、ケーブルテレビはサービス地域がどうしても限られてしまいます。
NTTは偉大だった
そんな状況も、この1年間で激変しました。決定的な影響を与えたのは、ADSLという方法の登場でしょう。ADSLは、「Asymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者回線)」の頭文字をとったもので、加入者回線…つまりごく普通の電話回線の上にデジタル信号を流すと言うものです。「非対称」というのは、送信と受信の速度が違うことを指します。インターネットの利用がWebサイト閲覧中心の現状では、送信速度を犠牲にしても受信速度を上げることが求められ、ADSLはそうしたニーズに応えています。
普通の電話回線の上にデジタル信号を流す…という意味では、実はISDNも同じことをしています。ただ、ISDNの場合には電話の音声信号もターミナルアダプタ(TA)でデジタル信号に変換してから送り出しているのに対して、ADSLは電話の音声信号はアナログのまま普通に送り、そこに広帯域のデジタルデータを重ねてしまう…という手法を採っています。電話の音声信号はかなり低い周波数を使うので、これよりずっと周波数の高いデジタル信号を重ねても分離することが可能なんですね。
ADSLは、普及していく上で他のどんなブロードバンドよりも圧倒的に有利なポイントを持っています。それは、ほとんどの家庭に既に行き渡っている電話線をそのまま使うこと。人の住んでいる場所のほとんどに電話線が伸びています。これこそが、ADSLが現状で「ブロードバンドの本命」と呼ばれる理由ですね。これだけの基盤設備を全国に展開してきたのはかつての電電公社、そして今のNTT。国の事業も最近はいろいろと悪いことを言われますが、国でなくては出来なかったこともいろいろとあるような気がします。
意外に多い選択肢
私も、ブロードバンドの第一候補としてADSLを考えたわけですが、調べてみるとこれが意外にややこしいんです。NTTの敷設した電話回線を使うADSLですが、実際にADSL回線を提供してくれる業者はNTT以外にもいくつかあります。最近話題のYahoo! BBもそうですし、日本テレコムのODNも全国でJ-DSLの展開を始めます。他にも地域限定でADSL回線の提供を始めた会社がいくつかあります。
そんな中で、私が選んだADSL回線はNTT西日本のフレッツ・ADSL。決断した最大の理由は、これまで使っているプロバイダであるBIGLOBEのサービスやアクセスポイントをそのまま使えること。特に、出先からのダイアルアップでの接続も無視できない私としては、ADSL専業の業者を利用するとダイアルアップ用のプロバイダとの契約も維持しなくてはならず、結果的に割高になってしまいます。メールアドレスやメーリングリストの引っ越しも大変…と言うこともありますしね。実は、Yahoo! BBを使うとそうした条件を考慮しても割安になる可能性があるんですが、どうもあのサービスには根拠のない不安を感じるんですよね…。
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